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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

ユージニア (角川文庫)
ユージニア (角川文庫)
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角川グループパブリッシング

¥ 660

文庫

売上ランク:5034位

2008-08-25

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ユーザーレビュー一覧(全9件 平均:3.5)

評価4点「謎は謎のままで」 2008-08-30
レビュアー:本城 りつ(11人中6人が参考になったと回答)
ある名家の祝い事の最中、突如起こった大量毒殺。事件から数十年が過ぎ、事件の関係者から語られる当日の供述の中で浮かび上がる少女の姿…。残された謎の詩、真犯人は誰なのか、何故痛ましい事件は起こってしまったのか、果たして真相は…。

恩田さんの作品からしばらく離れていたので、久しぶりに彼女の引き込まれる文章にどっぷり浸からせてもらいました。当時の事件に関わってしまった人達から話を聞くという形で物語は進んでいきます。それはとても生々しく、夏の暑さがこちらにも伝わってくるようです。続きが気になってしまい、次々とページをめくらせる文章力はやはり魅力的でした!

しかし、残念なことに謎は明かされず、よく分からないままで終わりを迎えます。ここが評価が分かれるところだと思います。謎を解き明かすのが好きな方や白黒はっきりつけなきゃ嫌!という方にはお勧めできません。妖しい独特な世界観に浸りたいという方にはお勧めです。

謎が明かされないことは他の方のレビューで知っていたので、覚悟して購入したのですが…謎が解明されない度合いを受け入れることが出来ませんでした。まさかここまで明かされないとは…もう少しすっきりとした終わり方の方が個人的には良かったかな?と思います。ただ、そのラストのボカシ方が良い!という方もいらっしゃいますし…今回はかなり人を選ぶ作品だと思いました。

ラストまでおそらく誰でも引き込まれると思いますが、結末をどう受け入れるか?評価が難しいですが、楽しませてくれたのは事実なので、私は星四つにさせていただきました。
評価4点「それぞれの「真実」のあわいに立ち上がる「虚構の迷宮」」 2008-09-24
レビュアー:カナン(6人中5人が参考になったと回答)
芥川龍之介「藪の中」を彷彿とさせるオープンエンドなリドルストーリー。

とはいっても、作中において大量毒殺事件は実際に起き、
実行犯は特定される、という事実自体はブレません。

真犯人が誰であるかだけが、最後まで明かされないのですが、丹念に読み込めば、
おそらく、この人ではないか、という当たりはつけることができます。


ただ、本作の読みどころは、おそらく、そうしたフーダニット興味にあるのではなく、
後年になって、関係者それぞれの視点から語られた事件の「真実」が集められることで
形作られていく、虚構の迷宮とでも呼ぶべきものの佇まい自体を味わうことにあると思います。


一人の人間が把握できる事実などは、ごく限られて
いますし、時が経つにつれ、したいに忘却していきます。

そして、後になって、いざそのことを語ろうとする際、改変・改竄された
「真実」には、色濃く自己の願望が反映されたものになっているのです。

よって、ミステリでよく見られる超人的な犯人による巧緻な《操り》なども現象に
整然とした意味と構図を求めてしまう現代人の願望に過ぎず、現実はそんなに
単純でも透明でもありません。


「真実」が人の数だけあるというなら、たとえ自分の理解が及ばなくても、
相手を思いやり、寛容の精神を持って接していくべきなのに、異端者を排除し、
わかりやすく、自分にとって心地よい「解決」に飛びついてしまう――。


本作は、そんな人間の哀しい業を描いているといえます。
評価4点「この書き分け方がすごい」 2008-10-13
レビュアー:サトル。(6人中3人が参考になったと回答)
本の内容はほかの方のレビューや内容紹介で十分だと思うので割愛。
この作品のすごいところは、書き分けだと思います。

章ごとに主人公(語り手)が変わります。
だから、あまり本を読まない人はわけがわからずこんがらがるかも。
と、ある大量殺人事件を軸に、その事件へかかわった人間たちがインタビューされているというような形式もあれば、彼ら彼女らが、ただ語っているという章もあるので、深く読まれることをオススメします。

なんていうか、本当に書き分けがすごいなあと思います。
1冊の本に、こんなにもたくさんの人の視点から1つの事件について書く(しかも著書は1人)なんて、頭の中でこんがらないのかなあと思うくらい。

旅のお供にと、文庫を購入してしまった私は魅せられたのかもしれません。
評価4点「余韻」 2008-09-12
レビュアー:chovitz(4人中2人が参考になったと回答)
久しぶりに日本人作家の作品を読んだ。

ここ5年近く、外国作品(アメリカ人の女性作家のサスペンスがメイン)ばかり読んでいた。
本屋で何気なく、知ってる作家だし、なんだか面白そうなのか?と思い、購入。

なんでしょうね、このすっきりしない感…
腹が立つほどすっきりしないのではなく、消化不良に似ている。
膨満感?

インタビュー形式で、20年ほど前の事件を、様々な視点で振り返る。
すごく不思議なのだが、どこにも登場人物一覧なんてないけれど、
とにかく読めば、分かる…というのは、驚きである。
ないほうが、「あ、この人、あの人の○○で…」と強い印象が残る。

会話…といっても取材されているほうが、一方的に喋っている感じだし、
他には、メモや新聞記事や日記や、通常の3人称で書かれているものもある。

その事件について描かれたという小説の中身も気になるし、
最後の最後で、根底から覆される事実が分かるわけでもないし、
その事件が終結するわけでもなく…本当に不思議な感じの本です。

会話だから、スピード感があり、どんどん読めます。
面白いけれど、お腹の中にしこりができる感じがします。
本当にすっきりしません。
真犯人は誰なのか、いつまでも推理してしまいます。
評価4点「2回読んだ」 2008-10-25
レビュアー:yass(4人中2人が参考になったと回答)
1回目の読みでは、何が何だか分からないままに終わっていた。
読み返してみて、自分が誤解していた部分が理解できた。
でも、過去の話を振り返ることの繰り返しからは、真相は見えてこない。
美しかった過去が現実に打ちのめされている感じだ。
二重写しされた過去と、故意に歪曲されている過去が繰り広げるだましあいのせめぎ合いなのだろう。