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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

グラスホッパー (角川文庫)
グラスホッパー (角川文庫)
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角川書店

¥ 620

文庫

売上ランク:3284位

2007-06

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ユーザーレビュー一覧(全52件 平均:4.0)

評価3点「これはおもしろい、のか!?」 2007-09-05
レビュアー:かほひめ(37人中28人が参考になったと回答)
 もしも人に、この本おもしろい?と聞かれたら、すごくおもしろいよ、とは言いがたい。かといって、おもしろくない、と言うわけでもない。

 登場人物たちには全く共感できない。珍しいほど、魅力がない。とはいっても、描き方が足りないと言うのではなく、嫌悪感を催させるほどに人間味のないキャラクターがうまく描かれている。殺し屋という稼業だけあって、もちろん人を殺すのに何のためらいもないのだろうが、たとえば「蝉」という殺し屋のように女子供も分け隔てなく自分の手で殺せる、と言われても、どうしてそんなことができるのか全く理解できないし、おふざけで人を車でひき殺したりする社長のドラ息子もむしずが走る。これほどまでに嫌な人間がほんとにいたらどうしよう、と寒気がするほどに救いようのない悪意が描かれている。

 主人公はそんな社長のドラ息子に妻をひき殺されて、復しゅうのために彼の会社で働き始める。いかがわしい薬を売りつけるあくどい商売だとわかっていても、妻のために彼は街で通行人に声をかけ続ける。ものすごく復しゅうに燃えているのかと思えばそれほどの必死さ、用意周到さは感じられなくて、むしろ妻を失った自分が生きていくためにそうするしかなかった、というような虚無感さえ感じられる。

 簡単にたくさんの人が死んでいくストーリー展開は、読んでいて背筋が寒くなるほどだった。どこかに救いはあるんでしょ、そんな思いで最後まで読んだ。

 なんといったらいいのだろう、単なる推理小説でもないし、かといってハードボイルででもないと思う。作品の中で人間は昆虫だとかバッタに例えられている。それもわかる気がするが、一番いいたかったことは何だったんだろうって、読んだ人によって全くとらえ方が違っていく作品だと思う。
評価4点「キャラ作りの名人による、殺し屋たちの物語」 2007-07-20
レビュアー:RBM/MS(18人中14人が参考になったと回答)
最近お気に入りの伊坂幸太郎の作品です。
キャラクタ−作りの達人伊坂氏の作品らしく、今回も個性的な登場人物が多数登場!
主人公の鈴木以外誰にも感情移入できないという状況です。

話しているだけで死にたくなるという鯨、ナイフの達人蝉、ク−ルで謎だらけの押し屋という3人の殺し屋が入り乱れる、一気読み間違いなしのエンタメ作品。

伊坂作品の特徴である、写実的な場面描写や哲学的発言も健在です。
個性的過ぎる登場人物にお腹いっぱいになりながら、ラストシ−ンでは少し救われる。
そんな作品です
評価5点「気持ちよかった。」 2007-12-16
レビュアー:総てに捧げる鎮魂歌(11人中9人が参考になったと回答)
伊坂さんの小説を読み始めて日が浅いですが、文章にとても味があり、読みやすいです。
私は「グラスホッパー」が2冊目で、1冊目が「重力ピエロ」でしたが、この2冊だけで伊坂さんの文章に侵されてしまいました。

伊坂さんの文章は、思想家の著書を読んでいる気分になります。
登場人物それぞれが、何かしらの「信念」というか「心の柱」を持っていて、会話の端々……どころか前面にそれを押し出してきます。
この作品ではそれは亡き妻の言葉であったり、自分自身に課した取り決めであったり、しじみであったり、ロック歌手であったり、ロシアの有名小説であったりします。

けれど文章自体はゴタゴタしていなく、軽妙な会話や地の文のおかげで非常に読みやすい。エンターテインメント・娯楽として楽しむとしては確かに「重い」「くどい」感がありますが、文学作品として読むにはとっつきやすいです。

またエンターテインメントとしてみても、私は十分に楽しめるレベルにあると思います。登場人物の視点が頻繁に変わりますが、3人称だし、視点の切り替えが起きるときには文章間に人物名の判子が捺印(?)されているので混乱することはありません。
視点の切り替えによるトリックなどのサプライズ的な要素は薄いですが、それぞれ別境遇にいる登場人物達が徐々に近づき始める様子は、「この先どうなるのか」という楽しみを否応なく演出してくれます。
また先も述べたように登場人物全員が何かしらの信念を持っているので、キャラクターとしても非常に魅力的です。

文学作品とエンターテインメント、この二つを高い水準で融合した作品。これが、私の感想でした。


あと個人的に、渋いおじさんが多すぎて悶絶ものでした。生き方に筋の通った渋い野郎が好きな人にも楽しめるかと(笑)。
評価5点「一人の復讐者と三人の殺し屋」 2007-08-16
レビュアー:理系の文系(9人中6人が参考になったと回答)
 内容は重たい.人もバタバタ死ぬ.それなのにとても読みやすい.スイスイいける.これも著者のなせる文章技巧の妙だろう.
 突飛な始まり,ぶれる時間軸,登場人物たちの意味深な発言,勧善懲悪的な倫理的収束.現在の作家の中で最も力のある一人なのも肯ける.今後の作品も楽しみにしたい.
評価4点「現実味ある作品ですね」 2007-07-21
レビュアー:俊(5人中4人が参考になったと回答)
"人間は哺乳類というより昆虫に似ている.
こんなにも集団で行動する哺乳類は人間くらいで,
哺乳類というよりもむしろ昆虫に近い。。"

妻を交通事故で亡くした鈴木,
そして自殺屋,殺人屋,押し屋,劇団と呼ばれ。。
殺人に関わる数人の男たち.

伊坂作品の特徴とも言える複数同時進行のストーリー.
そして他の作品を話の中で出す遊び心.

伊坂作品では初とも言える現実味のある作品であり,
純粋にドキドキを楽しんで読める.

ただ,
伊坂作品を読みすぎたせいか先を読みやすい気もする。。