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決断力 (角川oneテーマ21)
決断力 (角川oneテーマ21)
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角川書店

¥ 720

新書

売上ランク:1387位

2005-07

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ユーザーレビュー一覧(全117件 平均:4.5)

評価5点「Scientistが読んでも、得るところが沢山あります」 2005-07-17
レビュアー:ゴルゴ十三(47人中36人が参考になったと回答)
将棋の羽生さんが書く本だから、もっぱら将棋ファン向けの将棋の本なのだろう、とお思いの方がいらっしゃるかもしれません。しかし、視点を変えて本書を読むと、将棋だけに通じる話ではない、と気付かされます。これはあらゆる分野における「研究者」にも通じるところがある話なのです。

現代の将棋は昔の将棋と違いデータベース化が進んでおり、パソコンで誰でもデータにアクセス出来ます。(→ 却って情報過多な位で、全ての情報を調べるのは時間的に不可能)「新手一生」でなく「新手一局」、どんな新アイディアもたちまち古くなる。そんな中で、如何に創造力を発揮し続け、最前線で活躍を続けることが出来るのか? このような話は、将棋の分野だけに限りません。現代の自然科学の研究でも、状況はまさに同じです。「将棋の研究」を「科学の研究」と置き換え、「将棋の対局相手」を「自然」と置き換えると、面白いことに研究者としてのあるべき心構えは将棋でも科学でも同じなのだ、と気付かされるのです。
例えば「対局相手にアイディアを引き出してもらう」という処を読んで、「科学とは自然と人間との協同作品である」(中谷宇吉郎氏)を思い出しました。対局(実験)する前に「こうなるのではないか?」と色々と考え尽くした積もりになっていても、いざ対局(実験)してみると、予想外のことが必ず起きます。そんな慣れていない状況になると失敗する確率も当然高まりますが、未知の事態に踏み込むのを恐れるのでなく、そこに挑戦する楽しみ(新発見の喜び、充実感)を持つことが本当に大事なのです。「現在のリスクを回避することは、未来のリスクを高めることになる」という氏の発言に、ドキッとさせられました。

この羽生氏の本を読むと、氏が将棋だけの勉強でなく、他の色んな分野に興味を持っていることに気付かされます。(「素人のように考え、玄人として実行する」の本を書かれた金出武雄先生の話まで出てくるのにはビックリしました) あらゆることに興味を持ち、自分なりの言葉で理解するという氏の姿から、「知識を知恵に」昇華させるご様子が窺えます。「大局観」を磨くとはこういうことなのだ、ということが氏の言葉の端々に現れています。他の分野の学徒も、そんな氏の姿勢から学ぶ処が多いと思います。「自分はこれからどうやって研究を進めて行けば良いのだろう?」と迷った時に、こういう本も読んでみては如何でしょう? 得る処があることは請け合いです。

評価5点「読みやすすぎて気味が悪かった」 2005-08-24
レビュアー:おぎはら(28人中21人が参考になったと回答)
究極的には、将棋で次の一手になにを指すかという軸をおいて、そこから派生的に考えられる決断の諸般の論点を著者の視点から書かれたものだ。そこにある、いわば自分への戒めとしてある「べき」姿勢が書かれている。全体の流れは非常に読みやすい。

将棋を指さない人がどう読み取るかは分からないが、すべての章において将棋以外のことと関連付けている箇所が少なくとも一箇所はあるため、決断の共通性を認識できるのではないだろうか。正直なところ、このような決断をせずに言葉を濁して困った顔をしている人達に突きつけたい本である。

一貫して感じられることは、決断をするのは自分であること、そのために自分をコントロールしなければならない、そして決断で自分を甘やかせば将来的にそれは自分への負担として返ってくるという著者の信念である。自分のために自分で考える、自分のために自分を戒める、このような背景が感じられ、とても感じの良い一冊である。

評価5点「プロの世界とは」 2005-07-18
レビュアー:kazu-chika0120(23人中17人が参考になったと回答)
 かつて、王将・名人・竜王・棋聖・王位・王座・棋王の7大タイトル(7冠)を独占(現在は4冠)した羽生氏による、プロの世界というものがどのような世界であるのかを垣間見させてくれる本である。羽生氏は自身の、将棋界を通じて今まで経験してきたことから学び感じてきたことを、淡々と冷静に、そして粛々と綴っている。「直感の7割は正しい」「勝負に生かす集中力」「才能とは継続できる情熱である」。自身も語っている様に、これは将棋界だけにとどまらない、一流プロならではの経験から出た見方・見識といえるだろう。
 また米長邦雄氏や谷川浩司氏とのエピソードやテレビゲーム(将棋)に対する羽生氏の見解等も興味深く読める。
評価5点「シンプル、かつ、重みのあるメッセージ」 2006-01-02
レビュアー:海援隊(20人中15人が参考になったと回答)
羽生名人の将棋上の経験則から書いているのだが、「直感の7割は結果的に正しい」「ある決断を下すには少なからずリスクを負う覚悟が必要である」「前例を覚えることは必要だが、重要なのは前例から離れた後の応用力と柔軟性」などなど一般社会にも敷衍できるメッセージが多い。やはりその筋の一人者の書く文章というのは自分の成功体験を前提にしているため、重みがあり、頷かされてしまう。
評価4点「「決断力」の内容は半分ぐらい。上達の方法論ととらえるべき」 2005-08-16
レビュアー:konno(19人中13人が参考になったと回答)
内容はとても興味深く読ませていただいた。羽生氏の将棋に対する姿勢や、それを敷衍して日常生活や社会に相対するときの姿勢、考え方(羽生氏の言葉で言うと「知恵」)が多くの例や比喩を挙げて分かりやすく述べられている。
しかし、タイトルの「決断力」はこの本の内容を正しく反映していない。決断力について書かれている部分は、全体のおよそ半分ぐらいではないだろうか。また章立てに一貫性が感じられない。いろいろな話題に飛ぶので面白いことは面白いのだが、ひとつひとつのテーマを深く掘り下げているわけではない。考えを煮詰めきれていないと感じる部分も散見される。言うなれば「羽生の雑感」というべきものになっている。羽生氏の言葉だから重みがあるが、実績のない人が同じ本を書いたら説得力を持たないだろう。
全体としては面白い本だし、特に将棋の勉強に関する箇所などはとても参考になった。上達の方法に興味がある多くの人にお勧めできる本だと思う。羽生氏にはもっとテーマを絞り込んで深く掘り下げたものを書いてほしいので、その期待をこめて星をひとつ差し引いた。