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卒業―雪月花殺人ゲーム (講談社文庫)
卒業―雪月花殺人ゲーム (講談社文庫)
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講談社

¥ 620

文庫

売上ランク:10546位

1989-05

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ユーザーレビュー一覧(全29件 平均:3.5)

評価5点「青春推理ミステリの第2弾における主人公は大学生。加賀恭一郎の原点ここにあり!」 2008-05-28
レビュアー:Tsukaya(12人中10人が参考になったと回答)
 27歳の若さで乱歩賞を受賞した作品『放課後』で鮮烈なデビューを果たした著者による第2弾作品。主人公らはT大学に通う大学生である。ベストセラー『赤い指』(単行本)で今なおその活躍を見せ続ける加賀恭一郎が初めて登場する作品であり、ファン必見といったところだろうか。彼の大学時代の様子を窺い知るにはもってこいだ。

 シンプルなタイトルではあるが、この「卒業」という言葉の意味を私はあまりよく考えたことがなかった。卒業しても大学時代の友人との付き合いは続くわけだし、いつになっても大学時代の想い出は永遠に消え去ることはない。10年以上も前に卒業したにもかかわらず、大学での4年間は何にも換え難いまことに貴重な日々だった。こうした感覚はすぐに分かるものではなかろう。やはり10年くらいの期間を経たのちに得られる特殊な感覚なのかもしれない。本書を読みながら自らの大学時代をフラッシュバックさせていた。東野作品の青春推理ミステリはいまだに色褪せることのない新鮮な魅力を秘めている。登場人物の会話・行動様式や価値観(思考様式)などは決して古びていない。「解説」で指摘されているとおりである。本書はとくに若い世代の記憶に残る作品であるに違いない。むろん私もその一人である。

 友情や信頼とは一体何であろうか。仲間を信じる「根拠」とは何であろうか。そんな根拠などなくとも自然と振舞える人間同士の付き合いこそ「仲間」なのかもしれない。本書を読むと、「友が友にとって殺害される」という生々しい描写が活写されている。若いからこそ友情や信頼に悩むのかもしれないが、本書に潜む難解なテーマは「青春」という華々しい言葉の裏に歴然とその姿を曝しているように思われるのだ。初登場した加賀恭一郎は本書でも独特の存在感を放っている。推理力もなかなかのものだ。彼に自らの大学時代を重ねる読者もいるだろう。「卒業」―人は何から卒業するのだろうか。
評価5点「加賀刑事のファンならぜひ読むべし。」 2003-12-06
レビュアー:かほひめ(8人中7人が参考になったと回答)
 加賀刑事の大学生時代のお話。トリック・謎解き、というよりは、青春小説として楽しみました。この密室のなぞって、多分最初から丁寧に読んでも解けないと思う。

 ラストシーンを読んで、このタイトルがとてもしっくりしているなあと思いました。できれば、彼の思いが沙都子に届いてほしかった。これを読むと、彼がどうして人の哀しみを理解できる心優しい刑事なのかがわかる気がします。

評価5点「殺人以外の部分にも深い味わい」 2004-05-27
レビュアー:minoru223(9人中7人が参考になったと回答)
この作品は東野圭吾が『放課後』で乱歩賞を受賞して鮮烈なデビューを飾ったその次に発表された、著者2作目の長編です。彼は『放課後』で乱歩賞を取れなかったら次は『卒業』で応募するつもりだったそうです。卒業を控えた大学生たちの物語で、仲間たちの中の2人が殺され、どうやら仲間たちの中に犯人がいるらしいという設定。割とよくあるパターンなのですが、東野圭吾の手にかかると妙にリアル。仲間を疑わなければならない辛さや、事件をきっかけに友情が壊れていく悲しさが痛々しく描かれています。犯人が殺人に至らざるを得なかった苦しみだけでなく、事件に関わりを持つ周囲の人の苦しみもきちんと描いているところが東野ミステリの魅力だと思います。探偵役は剣道部主将の加賀恭一郎。後に多くの東野作品で刑事として活躍することになる人物です(但し、この時点では作者にはシリーズキャラクターにする意図はなかったそうです)。『放課後』も見事な作品でしたが、私はこの『卒業』でいよいよ本格的に東野圭吾のファンになりました。
評価4点「トリック重視の作品」 2002-04-10
レビュアー:くま(6人中4人が参考になったと回答)
加賀恭一郎初登場の作品である。そして彼が最も魅力的に描かれている作品である。

これはトリック重視の作品である。だから図入りの状況説明がやたら多い。本当に犯人を当てようと思ったら、そして動機を推理しようと思ったら、このトリックというハードルを越えないといけないのだが、私はややこしい「花月の式」の図がでてきたときからあきらめてしまいした。

話の筋とは関係ないが、恭一郎の沙都子に対する不器用な恋心がひどく切なく後に引く物語であった。どうも東野圭吾は男の不器用な恋を描いて秀逸なところがある。と発見しました

評価3点「学生時代が偲ばれる作品」 2004-07-14
レビュアー:海山ごはん(5人中3人が参考になったと回答)
純粋な推理小説である。

仲のいい大学生7人の中で、表面には現れない炭火のように燃える憎しみの心が「雪月花之式」という茶道の茶会を使って業火となる。
殺人事件は、複雑なトリックを使っているが、図解もついて謎解きとともにわかりやすい。

大学の卒業は、小中高のそれと違った側面を持っている。

追い出されるといった後者とは違って、自分の意思で迎えるといった感が強い。さらに学業の探求をを志すものにとっては、在籍も希望できるのだから。

そういったあいまいではあるが、親の傘下で過ごした「学生」という一くくりを卒業するのだという。同時に一己の大人としての旅立ちとも言える、やるせない思いを巧みに描写したエンディングに心にじんとくるものがあった。