ユーザーレビュー一覧(全4件 平均:4.5)

「「官邸崩壊」を超えた!」 2007-11-10
レビュアー:辻本あずま(11人中7人が参考になったと回答)
すごい。まず驚かされるのは筆者二名(共同通信のキャップクラス?)の取材力の深さ。特ダネの連発。官邸内部の様子がまるで見てきたかのように克明に記録されている。安倍総理がやめた本当の理由や、公務員制度改革を巡る政治家と官僚の凄まじいバトルなど、新聞報道や週刊誌などではまだ出ていないエピソードばかりで、まったく新しい安倍政権の実像が浮かび上がる。政治に少しでも興味を持っている人なら必読。
とにかく安倍政権を叩けばいいという雰囲気が世間を支配するなかで、あえて客観的な事実の積み上げを通じて冷静な分析を試みている視点が新鮮。安倍ファンの自分としては、週刊誌記事の寄せ集めのような「官邸崩壊」を読んで悔しい思いをしていたので、ようやくこういう冷静な本が出てきたことをうれしく思う。後世の歴史家が安倍政権を検証するときは、間違いなくこの本が研究対象になることだろう。

「迫真の政治ドキュメンタリー」 2007-11-09
レビュアー:巨摩王子(6人中5人が参考になったと回答)
日本がいつから「幼稚な国」になったのか、ひとつの内閣の崩壊の軌跡を克明に描きながら、深く考えさせてくれる名著である。普通、政局視点だけの政治ドキュメントが多い中、共同通信の二人のベテラン記者が政策と関連付けて丁寧に安倍内閣の実態を明らかにしてくれた。最近のマスコミはポピュリズム政治をただ煽るだけの邪悪なマッチポンプかと思っていたが、この著書を読んで少しは気骨のある政治記者がいたかと思い、少し安心した。

「器でない人を選んだ悲劇」 2007-12-22
レビュアー:興津(5人中5人が参考になったと回答)
気が滅入るのを覚悟して読む本。駄目な組織が崩壊していく様を容赦なく描き出す。安倍氏が定見なく選んだ秘書官や閣僚たちの勝手な振る舞いで、政策決定過程は混乱。手綱を締め直す器量も首相にはなかった。
臨場感のある描写が本書の売りだ。彼は鼻持ちならない奴だがそれなりに頑張ったんだなとか、桜の花が咲く頃の元長官は相変わらず能無しだった、といったことが見てきたように分かる。
もう一つ強く感じるのは、官僚たちの悪質さ、国民の利益を損なって平気でいられる厚顔さである。トップが変わっても何も変わらない、などと言われるが、これが多くの首相に当てはまるのは官僚たちのせいでもある。政治家ばかり非難していても駄目で、我々は官僚や規制に守られた人たちに目を向けていかなければならない。

「一気に読んだ。政治ドキュメンタリー。」 2007-12-24
レビュアー:えっつい(6人中4人が参考になったと回答)
何処まで正確なのかわからないが、当事者でその場にいたかのような詳細な内容だ。一つ一つの取材の賜物なのだと思う。
この本を読んで、暗澹たる気分になった。
官僚の保身とその厚顔さ、抵抗。
人間同士の利権、虚栄心。
所々に見える”落としどころ”。 それによって、かくも適材適所から離れていく人事。妥協の合意案。こうやって形骸化されていくのか、時には当事者同士のプライドからの衝突を収めるために。
これは、果たして元安倍首相だけが見舞われることになるのか。
派閥が形骸化し、まとめる役目を果たさない環境で、本来のリーダーシップを発揮できる人はごく少ない。同時に、リーダーのみならず、リーダーに沿う実力のある秘書官を持てるか。
実力ある秘書官やスタッフを考えると、やはり若い政治家には無理なのか。
安倍氏の悲劇は、複合的な産物だが、心配になったのは、官邸をサポートするインフラが非常にプアだ。何故首相の外遊に一貫した主治医が同行できないのか。マレーシアでは、”大使館付の医師がいないため”インドネシアの大使館付医師を同行させたとある。
こういう状態の時には、東京からずーと同じ医師が看た方がいいのではと思うのだが。
結局安倍氏が退任したのは、健康が原因だ。
相手の国での食事についても、外務官僚と官邸で調整ができていない感じがする。
こんな状態で首相を務めるのは、命を縮めるようなものだ。
しかし魑魅魍魎が多すぎる。