いもづる式 トップに戻る ヘルプ

書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

官僚との死闘七〇〇日
官僚との死闘七〇〇日
click for big image

 

講談社

¥ 1,785

単行本

売上ランク:15765位

2008-07-31

Amazonでの販売状況

→通常24時間以内に発送

amazonで詳細を見る

本書を含むリストマニアリスト

ユーザーレビュー一覧(全7件 平均:3.0)

評価5点「ジャーナリストが当事者として書く出色の実験ノンフィクション」 2008-08-18
レビュアー:ぴょんきち(22人中17人が参考になったと回答)
私は、ジャーナリストがここまで当事者として踏み込んで書いたものをこれまで読んだことが無い。
出色のノンフィクションの実験作だと思う。同時に、ジャーナリズムがどこまで「客観的に」真実に迫れるかというナイーブな議論が今こそ必要だと思わせる、たいへん考えさせる本だった。

論理的整合性がなければ破綻する政策立案過程と違って、政策決定過程には多方面の利益関係人が調整にかかわるために人間臭く、それぞれの行動主体の世界観なり倫理観なりが裸同然で表出するものだと思う。著者が本で認めているように、おそらくこうした政策決定過程に直接たずさわる人たちにしか目にし、感じることができない肌寒くなるような本書で書かれた現実は、政策決定過程関係者のバイアスがかかった、あるいはある方向へリードしようとする、誤解を恐れず言えば生ぬるい二次情報とは、相当違う感触のものだったのではないかと思う。

以上のことから、こうした事実過程に関わった当事者がインサイダーとしてモノを書くとき、二次情報からネタを得て記事を書くジャーナリストとは、書き方が違って当然だ。読者のほうも、取材対象との距離感といったノンフィクションを読む通常の作法とは違う態度が迫られているのではないか。これも著者がこの本で行った「実験」のように思える。

そういう読み方をすると、この本の著者の執筆スタンスを、ジャーナリストとして適当か否かという議論から判断するのは難しい。著者本人もそんな議論があることは百も承知の上での出版なのだろう。

それより意味があるのは、中枢にいた当事者が書いたものをどう読んだらいいのか、という議論だろう。

情報過多な分野であればある程、二次情報の数は多く、その中身は希薄化する。この本の舞台になった総理官邸のように、その内側で起きたことは、ほんの数人しか直接目にできないのに対して、そこで起きたことが政策決定過程に及ぼす影響は大きく、そのぶん出来事の重要性も高いだけ、利益関係人が多い。ごく少数の当事者の情報と、数多い利益関係人による二次情報。情報入手の難易度と価値は、情報過多な分野であればある程、正比例する。

そういう意味からいうと、この本で書かれた情報は、「マスコミでよく聞いた話」とは、表面だけ見れば同じでも、そうした「話」の出所であったことに注意を払わなくてはいけない。「話の出所」がどこに存在し、マスコミによってどう扱われるかを、この本は結果的に示すことになった。マスコミに載る記事を、どこかうさんくさいと感じている読者にとっては非常に腑に落ちる物語であるし、記事の信憑性を担保するものは本当のところ何なのかに迷う大手マスコミに所属するジャーナリストにとっては、とても悩ましい内容だと思う。
評価2点「「さらば財務省!」を読めば充分」 2008-08-13
レビュアー:ナオクン(22人中14人が参考になったと回答)
小泉改革、途中で頓挫したものの安倍内閣が推し進めようとした諸改革において、「さらば財務省!」の著者高橋洋一氏のいわば内助の功が大きかったことは同氏の著書などで広く知られるところである。
本書は、高橋氏と同士関係にある著者および本書では「教授」とだけ記され名前が伏されている学者らがこうした改革をいかに陰で支えていたかを記したドキュメントである。もうひとりの目からみた「さらば財務省!」といったところだろうか。
内閣官房副長官が公務員改革に抗う醜悪ぶりなども実名で書かれているなど、最後まで飽きずに読むことは出来る。しかし、ジャーナリストの仕事としてはマズイのではないだろうか。
本来、事実を冷静、客観的な目で追うべきが、ジャーナリストである本人自身が主人公として物語のなかに登場し、しかも、陶酔してしまっているので、書いてあることが事実かどうか分らない。その陶酔ぶりにも、読んでいる方は興ざめしてしまう。著者たちは疑うこともなく安倍支援で突き進んでいるのだが、上杉隆氏の「官邸崩壊」などに書かれている官邸の惨状を読むと、何でそこまで官邸を信じて突き進めるのか少し不思議でもある。それに、ここに書いてある著書の行動が本当ならば、政治に首をつっこむという点で、スケールの小さいナベツネみたいな感じでもあり、ジャーナリストの本分なのか疑問である。
さらに、著者のプロフィールからみても引っかかる点がある。各審議会の委員をやっている(いた?)ようだが、メディアの記者が審議会の委員をやってこられたということは、相当各省庁に迎合気味の記事も書いてきたということではないだろうか。少なくとも全くなかったとはいえないのではないか。それで「官僚との死闘」と言われても、戸惑ってしまう。
「さらば財務省!」を読んだ人は、それだけで充分だ。
評価1点「ぜんぜん死闘じゃない」 2008-08-15
レビュアー:毎日太郎(22人中11人が参考になったと回答)
高橋洋一に番記者のようにくっついて700日間過ごしました。
という内容です。
メディアと政治の距離感がわからないこの著者は
上杉隆の名著「ジャーナリズム崩壊」を読んだほうがいい。
評価3点「政策決定の内幕が垣間見れる本」 2008-08-10
レビュアー:あさがお(16人中6人が参考になったと回答)
財制審委員、税調委員などを務める、東京新聞の論説委員の著作。改革派官僚、高橋洋一らとともに、当時の安部首相のブレーンとしても動いた。

内容としては、特に新しい情報は出てこないが、改革派と官僚組織との対立の内幕が分かる面白い内容だった。特に、改革派をつぶしにかかるとされている官僚の実名や実際の行動もでており、政権内部ではこのようなことが行われているのかと思った。

改革派である著者は竹中、中川ラインを支持しており「成長率を高めを予想」「増税よりは歳出削減」「小さな政府を志向」との意見に与する。財政再建派の財務省官僚などと対立する。

「増税か歳出削減かは、大きな政府か小さな政府かの、論点にも帰着する。増税は政府の財布が大きくなるので、大きな政府につながり、歳出削減なら財布を小さくするので、小さな政府である。一見学術的な装いをまとった論争だったが、内実は政府の大きさ、言い換えれば霞ヶ関の適正規模をどうみるか、につながる政治的な戦いだったのである。」

増税が実現してしまうと、歳出削減の努力が失われ、政府の無駄・非効率をなくす改革が出来なくなるとの立場である。

この本を読んで感じたのは、著者は改革派に属するとされるが、改革派は、いわゆる新自由主義的な「小さな政府」を志向する立場をとる。確かに官僚機構には、無駄・非効率が多いのかもしれない。しかし、筆者は、新自由主義的な「小さな政府」への志向が本当にいいものであるかどうかには深い関心を抱かず、まずは、ジャーナリスト的な立場から財務省をはじめとする官僚組織を非難する立場をとるため、「小さな政府」路線に与しているように感じられる。官僚機構の無駄は排除されるべきであるが、政府の大きさを決める議論は、それとは別に、受益と負担の関係から議論すべきものである。いわゆる改革派は、官僚組織を攻撃するためだけに、「小さな政府」路線をとっているように感じられ、それでは議論は深まらないのではないかと思った。
評価5点「総選挙前の必読書(行革抵抗勢力を実名で!)」 2008-08-31
レビュアー:潤(うるう)(8人中5人が参考になったと回答)
安部政権時代の霞ヶ関との戦いが描かれています。戦いの概要は、「さらば財務省!/高橋洋一」「官僚国家の崩壊/中川秀直」を読んでいれば充分だと思うのですが、本書の特徴は、登場人物の多くが実名であることです。登場人物の言動に注目しながら総選挙に臨みたいものです。