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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ
ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ
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徳川 家広[翻訳]

講談社

¥ 1,680

単行本

売上ランク:198位

2008-09-02

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ユーザーレビュー一覧(全26件 平均:4.5)

評価5点「新たな金融市場理論を求めて!―ソロス氏の深い哲学的思索の含意とは何か?」 2008-09-08
レビュアー:Tsukaya(148人中112人が参考になったと回答)
 かつて読んだ1998年刊行の『グローバル資本主義の危機』の魅力にひかれて、彼の最新書を手にとった。2007年8月以降のサブプライム住宅ローン危機によって、米国経済のより一層の脆弱化・不安的化が懸念されるなかでの緊急出版書(2008年)だ。原著タイトルの主題は「金融市場のための新たなパラダイム」。本書は全二部構成で、第一部は「危機の全体像」、第二部は「分析と提言」と題されている。冒頭に置かれた松藤民輔氏による「解説」と巻末の「訳者あとがき」も有益な内容が語られている。

 投機家・慈善家としての知名度のほうが圧倒的に高いソロス氏ではあるが、本書の第一部などを丹念に読むと、市場の自動調節機能を絶対視する(誤った)立場から規制撤廃を強く主張する市場原理主義とそのイデオロギーを基盤とする新古典派均衡理論による金融市場論に代替しうる新たな概念枠組み(パラダイム)の構築に、著者がいかに粘り強く哲学的に探求を重ねてきたのかがよく理解できる。著者が「根本概念」として強調しているのが「再帰性(別訳では「相互作用性」)」であり、それは「参加者の思考と、参加者がまさに参加している、ある状況との間の双方向的な関係を説明する言葉」(50-1頁)だ。ソロスはこの概念と、「人間は誤る運命にある」ことを指す「根本的な可謬性」によって、自然科学と社会科学との根源的な違いを説明し、方法論の単一性の原則が孕む問題点を鋭く指摘する(134頁)。1980年代において、アカデミズムの世界のみならず政策現場でも席巻をきわめた、合理的期待理論やマネタリズムの不毛性をめぐる諸批判も説得的だ。第一部の最終部分では、「現在のパラダイムは、既知のリスクのみを認めており、自らの欠陥や誤解がとんでもない結果をもたらしうる可能性を受け入れようとしない。その傲慢さこそが現在の金融危機の根っこにあるのである」(138頁)と喝破する。人生の大半を国際金融市場と対峙してきた著者ならではの認識ではないか。

 第二部で最も興味深く感じられたのは、「超バブル仮説」や「政策提言」を行った諸章ではなく、第6章の「私はいかにして投資家として成功したか」という、戦後金融経済史を平易に説明した章である。金融経済に関する知識がない読者でも、じっくりと読めば、おおよそのことは理解可能であるくらいの明快さと面白さが特徴的である。アメリカを支配大国(覇権国)とする世界経済秩序の構図が今後どのような変貌を遂げるのか、その正確な診断を下すことは困難だが、ヨーロッパはもちろんのこと、中国やインド、中東産油諸国との連動性を踏まえて展開されるソロスの考察は刺激に満ちている(日本についての言及がほとんどないのは、「解説」も述べるごとく残念)。サブプライム問題解決(緩和?)のために初めて公的資金が注入されたとさきほど報じられたが、事態が沈静化するのはまだまだ先になりそうである。いずれにせよ、ソロス氏の直感と深い洞察力、そして示唆に富むリアリズム論から学ぶべきことは多いに違いない。注目に値する「警告」書だ。
評価4点「英語版へのレヴューのコピーです」 2008-09-06
レビュアー:recluse(124人中92人が参考になったと回答)
なんとも不思議な作品です。ルポルタージュでもなければ、理論書でもないし、といって詳細な回顧録でもない。ましてや投資指南書でもない。一言で言うと、ソロスの全体像が不思議な融合を示した作品です。今回の危機を目にしたソロス自身、コメントせずにはいられなかったのでしょう。しかし本書は今回の危機の具体的な解明自体を直接の対象とはしていません。今回の危機の特徴と全体的な位置づけについては、morrisのmeltdownをソロス自身がこの作品の中で薦めているくらいですから。ここでは、ソロスらしく、reflexivityという概念枠組みが提示され、それにより現在の経済学そして市場原理主義の根本にある啓蒙主義人間観と世界観が完膚なきまでに否定されます。題材とされるのは、彼が参加してきた金融市場の過去の歴史です。そこから彼が導き出したのは「誤謬」とその連鎖という命題です。radical fallibilityというテーゼは魅力的です。「全員が無知で間違っており、本質的に人間はそうならざるを得ない存在だ」という世界認識です。この世界認識は説得力のあるものです。この認識にたどりついたものにとって、「金儲け」という行為そのものは、もはや本質的な意味はありません。むしろその行為に狂奔する人々、そしてその行為の正当性を「アカデミック」に弁護する人々の「思考装置」の理解こそが、主要な関心となってきます。そして出てくるのが、ソロス独特の「哲学」への傾斜です。demons of our own design, black swanなどの著者は、皆、金融市場という市場原理主義の世界の中での「成功者」たちですが、皆そのキャリアの終わりには、ソロスと同じように市場原理主義のイデオロギー性と虚妄さとその非現実性を指摘するようになったというのは、意味深な現象です。これこそが20世紀後半の危険な知的遊戯だったのでしょう。いまどき「金融立国」なんていう時代遅れの遊戯に国の知性を動員して取り組もうとしている日本は「愚者の楽園」です。
評価4点「投資の真髄の啓蒙書」 2008-09-15
レビュアー:INNOVATE(109人中86人が参考になったと回答)
現下の相場不況への警鐘というより、ソロスの投資哲学をその歩みとともに開示し、真の意味での投資に立ち向かうスタンスを示唆する書。ソロスの依拠する「再帰性の理論」は俄かには理解の域に及ばないが、本書を通じてソロスが強調するこれまでの政策当局及び投資家の誤謬を、一般人にも理解させうる説得力がある。
評価5点「危機を予言したタイムリーな一冊」 2008-09-17
レビュアー:hbspmd(88人中63人が参考になったと回答)
原書は2008年3月末に執筆を終えた様であるが、本書の中で2008年末までにどうなるかを予測しようとしていた、その悲観的かつ危機的な予測は、残念ながら本人の予想よりも早く現実のものとなった様である。

現在起こっている危機は住宅バブルの崩壊のみならず、(ソロスの言葉によれば)市場原理主義が育ててしまった「超バブル」のなせる業であり、その根は深く、影響がどこまで拡がり得るのかという点については未だに底が見えない状況である。足元で起こっているリーマン・ブラザーズの破綻や保険最大手であるAIGの経営危機に至る負の連鎖は留まる所を知らない。その大きな要因はレバレッジの濫用にある。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の契約残高が42.6兆ドル(注:本書中の記述。現在は62兆ドルと言われる)という途方もない規模に膨れ上がっている金融商品が世界中に蔓延していることから、一つの金融機関の破綻がドミノ倒しの様相を呈している。

ソロスはグリーンスパンに一定の評価を与えつつも、市場の力を過信し、金融業界に必要な規制を加えなかったグリーンスパンを批判している。現在の危機を脱する為には、経済の安定を維持出来る範囲内で、最大限の自由を与えつつも、金融業界に対する監督と規制を強化すべきとしており、金融当局はマネーサプライのみならず、信用創造にも気を配るべきとしている。

現在の金融市場の混乱を見るにつけ、彼の予言・指摘は正しいと思わざるを得ないが、同時にこういう機会にも自らの資産を更に拡大し続けているであろう強かさには複雑な思いもないわけではない。
評価5点「現在進行中の金融危機を見事に的中させている。 ソロスの眼力に脱帽!!」 2008-09-23
レビュアー:21世紀のケインジアン(72人中51人が参考になったと回答)
本書で彼は「2008年中に巨大バブルが弾け大恐慌の危機が来る」と見事に予告している。

他に彼は
@サブプライム危機は巨大なバブルの一部にすぎない
Aこのバブルは信用マネー取引の膨張と市場原理主義によって生み出された
Bドルの下落は今後も進んで行く。
CCDS市場に大きな問題が発生するであろうが、もし、そうなったら、それがヘッジファンド の連鎖破綻を引き起こし、資金提供元である大手金融機関をも直撃する大変な事態に至る。

と見事なまでに、現在進行中の金融危機を的中させている事は驚くべきことである。

なお、これらのソロスの予告の後の数年間、一体、どうなって行くのかに興味のある方には
副島隆彦著「恐慌前夜」、ラビ・バトラ著「2010年資本主義大爆裂! 緊急近未来10の予測」と「資本主義最後の5年」、竹森俊平著「資本主義は嫌いですかーそれでもマネーは世界を動かす」、藤原直哉著「世界同時株大暴落」そして恐慌論の名著ガルブレイスの「大暴落1929」を是非、読んでいただきたいと思う。それぞれの本についてもレビューを書かせていただいたので、ご一読いただければ幸いである。