ユーザーレビュー一覧(全28件 平均:4.5)

「今一体何が起こっているのか?・・・金融経済の初心者にも納得」 2008-11-09
レビュアー:konineko(18人中12人が参考になったと回答)
金融や経済に明るくない為、今起こっていることがどんなことなのか?それを知るべく本書を手に取りました。
既存の金融市場での考え方などに無知な私ですが、その根本的な考え方、その過ちはどこにあるのか、それらがソロスの提唱している『再帰性』の理論と対比して記されています。再帰性の理論の前提となる『人間は謝るものである』『完全な理解はありえない』とする不可避性についてとても納得・共感すると共に、現在の経済が『市場参加者が市場を完全に理解している』という前提の理論に動かされていることに驚きを感じたくらいです。(私が無知なだけかもしれませんが)
本書の良いのはその根底にある思想→出来事と順序だって記してあり、歴史的流れを遡って今回のバブルを紐解いている点で、サブプライムローンに端を発するこの金融危機の理解を深めることが出来たように思います。金融初心者にも根本から説明しているためわかりやすいように思います。訳本のためややわかりにく言い回しや哲学的理論を用いた部分は小難しく感じるがまさに『今』読む本として広くお勧めしたい一冊です。
手に取った目的『今一体何がおこっているのか?』に想定以上に答えるものとして☆5つです。

「バブル論。バブル期の市場は均衡に落ち着くことなく、むしろ崩壊するまで暴走する。」 2008-10-13
レビュアー:twi(22人中10人が参考になったと回答)
バブルは支配的トレンドと支配的誤解との双方向的フィードバックの円環構造の中に生起する。米国住宅バブルはITバブル崩壊後の実質マイナス金利と「価格は金融機関の貸し出し意欲とは独立に決まる。」「市場(価格)はファンダメンタルズの反映にすぎぬ。需要・供給曲線は市場価格とは独立した存在である。価格上昇(下落)が価格上昇(下落)を呼ぶ正のフィードバックはない。」という誤解のうえに膨張した。実際はバイアスのかかった市場価格がファンダメンタルズに影響することがある。(信用膨張時において)この経路ができた時バブルが発生する。期待・誤解・偏見・思想が事実・社会事象・ファンダメンタルズを動かし、更に後者が前者を強化し、強化された前者が後者を動かす、という循環的なフィードバックのループの中でバブルは育つ。社会現象にはこのように思想と現実との間の双方向的繋がり(再帰性)があるので社会科学と社会現象には宿命的に不確定性がつきまとう。自然と異なり社会は、誤謬に満ちた人間たちが観察結果をもとに操作して形成されてゆくもの。古典物理学のように主客二元論を前提とする方法論を社会科学で採ることはできない。それが古典派からマネタリズム、合理的期待学派までの経済学の過ちである、とソロスは考えているらしい。「市場は均衡値に向かって収斂する。」という市場原理主義のドグマも誤っている。これこそレーガン時代に発生した超バブルの支配的誤解だ。支配的トレンドについては..(レーガンの帝国循環;高金利-双子の赤字-過剰消費国と過剰生産国の共依存x金融グローバル化-ビッグバン=米国への資金還流)X(金融自由化。合理的期待論によった金融工学の過誤と合成証券乱発。途方もないレバレッジ。)X(モラルハザード)=四半世紀近い「信用膨張」。これがトレンド。とくにCDSバブルが崩壊したら国際金融はメルトダウンしてしまう。

「破綻するのは当たり前」 2008-11-13
レビュアー:ファンド(10人中3人が参考になったと回答)
金融恐慌が到来するのは、時間の問題だった。
マネーゲームの行き着くところは自ずと決まっている。
金融工学など、人間の欲望に飲み込まれてしまうほど、
机上の数字遊びだったような気がする。
こんなことを考えてしまった。

「★相場に対する歴史認識に気付かせてくれる一冊」 2008-11-23
レビュアー:風林火山(6人中3人が参考になったと回答)
相場は『再帰性』によりあらゆる予想は不確定になり、『可謬性』により投資家の認識と判断は不確実になる。その結果、相場での事象は通常の確率・統計的かつ反復的な事象か、稀に発生する歴史的かつ不可逆的な事象に至る。
この本は金融機関や財政当局の考え方や多くの金融商品が前者の根拠である従来の均衡理論に基づいており、後者のような歴史的事態には無力であることを繰り返し主張している。
その意味では、レビュータイトルに記したように、自然科学的な発想では捉えられない相場本来の持つ歴史的な側面を改めて認識させてくれる貴重な一冊である。
それから、超バブルの発生原因として、(1)過度な市場原理主義による信用膨張、(2)ボーダーレス、グローバル化による害悪の散逸、(3)規制撤廃とリスク誤認の金融技術の無制限な発展、が挙げられている。もし、今後この巨大バブルがはじけたならば、その揺り返しとして、(1)信用の急激な収縮、(2)経済のローカライズ化、地域化、(3)規制強化と管理された金融技術、が現れるのであろうか?ソロスの言うように今回は均衡点が予想できないバブルであるならば、新たな経済的国際的な秩序・制度や倫理を創造しようとする人類の意志と創造性が試される試練の時代が、もうすぐ間近に来ていると覚悟しなければならないだろう。

「ソロスの再帰性とは?」 2008-12-08
レビュアー:soulman2005(2人中1人が参考になったと回答)
ソロスの再帰性理論に関して、この本の大半の内容を占めているが、第2、第3章辺りは翻訳の問題もあるのか、はっきり言って読みにくく、難解な部分も多かった。但し、ごく当たり前の世の中(ソロスにとっては投資だろうが)は不透明で、不確実であることは間違いないし、ソロスのいう再帰性理論も、認知機能と操作機能によって不確実にある意味当然の結果であろうし、改めて考えてみても、全く当然の結論である。文章は難しくなっていることにより、より複雑になりとっつきにくい内容となってしまっていることは、とても残念である。世の中、自分ひとりで物事をすべて結論できるわけではなく、当然大勢の人間の思考、行動、環境の変化などが重なり合って物事は進むのであり、今更何をと思いつつも、納得させられる辺りがソロスのすごいところなのであろう。市場は自由な競争が前提であろうが、市場の監視役となる規制が当然必要となり、それが適正な市場を維持できる要素となることが大事である。そのセフティネットが全く機能できなかったゆえに、あり地獄のような破綻が今後ともに連鎖して起こってしまう。資本注入、公的資金の導入だけでは解決できない次世代の新たな経済システムを近い将来組成しなければならないようになってしまうのではなかろうか?アメリカを震源地とした今回の経済騒動は、今までの景気循環的なバブル崩壊とは違う、米国の根底を揺るがすようなそんな事件に発展するそんな感じがする。本書の執筆事態が、本年の前半のものであり、9月のリーマンショック以降、米三大自動車メーカーの経営危機、そして世界的な不況は
ソロスがある意味楽観し期待していた中国、インドの実態経済をもすでに波及してきている。
ここまで来てしまった世界的な不況に関して、現在のソロスの意見を是非とも聴いてみたい。