ユーザーレビュー一覧(全29件 平均:3.5)

「響かなかった.....」 2008-10-18
レビュアー:由良(28人中17人が参考になったと回答)
魔王の続編的な話しで登場人物がリンクしたりはいつも通り、会話等は伊坂氏らしいものでそこは楽しめた。
内容としてはあまり目新しさは感じられない。他の作家も既に似た内容の事を書いていたし恐怖は感じず「あぁ、そうですね」な印象。増長だし間延びしている気がして辛かった。
ゴールデンスランバーと似ていると書いていたが、残念ながらあの友人に薦めたくなるような昂揚感は正直本作には感じなかった。

「賛否両論でしょう」 2008-10-19
レビュアー:エリマキトカゲ(19人中13人が参考になったと回答)
実験的な作品です?そしてある意味で現在までの伊坂幸太郎の集大成です。伊坂幸太郎のエッセンスはいたるところに散りばめられてます。しかし微妙なところをつきましたね。好きな人にはたまらないはず。姑息なのに姑息じゃない。そんな感じです。物語は破綻寸前かもしれないし、そうじゃないかもしれない。それでも絶妙のキャラクターに導かれて成立しています?私にはかなりツボでした。ただし、魔王と呼吸を読んでいなければサッパリでしょう。そして伊坂幸太郎を好きでなければ最低の一冊になるでしょう。(伊坂幸太郎が好きでも最低の一冊になる人もいるかも。)

「あえて厳しく評価です。」 2008-10-25
レビュアー:kanda-da(14人中12人が参考になったと回答)
「モーニング」に連載していた時は、次号を待つのが辛かったため、
5回くらいで挫折してしまいました。
ようやく単行本となったので、喜び勇んで読みました。
伊坂作品はほとんど読んでいますが、その期待感で読むと
残念ながら、期待以上の作品だったとは言えません。
伊坂さんの持ち味である伏線の妙や、人間味あふれるキャラクター像が
今回の作品ではちょっと弱かった気がします。
以前、インタビューで、作品を書くときには途中で何度も元に戻って、
伏線を追加したり、人物の心情表現を追加したりしているんですと
おっしゃってましたが、今回に関してはマンガ誌での連載ということもあり、
その辺が十分にできなかったことが原因でしょうか。
時代の寵児ともてはやされながらも、あえて手を広げず、
小説家一本にこだわっている伊坂氏本人が一番、
じくじたる思いでいらっしゃるのではないでしょうか。
とはいえ、それでもさすが伊坂節!という部分もしっかりありますし、
一読する価値は十分にあります。
そして、どの出版社からの引く手あまたの彼が、あえて書き下ろしではなく、
苦戦が目に見えているマンガ誌での連載ということに挑戦した意気込みは、
読者離れ著しい文学界にとって、大きな貢献にもなったのではないでしょうか。
彼は文庫版を出すときに、再度、手を加えてくれる方です。
その辺も楽しみにしていたいと思います。
伊坂ファンとして、あえて厳しい評価ということで。

「「勇気はあるか?」、ひと味違う伊坂ワールド」 2008-10-21
レビュアー:Wakaba-Mark(12人中11人が参考になったと回答)
’08年度の本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した『ゴールデンスランバー』から約1年ぶりの長編。’05年の『魔王』の続編とのことだが、あれから50年ほど経った21世紀半ば過ぎの物語で、関連性はさほど強くないので、独立した物語として読むことが出来る。
「実家に忘れてきました。何を?勇気を」と、のっけから伊坂テイストにあふれるフレーズではじまる作品である。
渡辺拓海は、多忙を極めるシステムエンジニア。ある日、課長から失踪した社員にかわってプロジェクトを継続実行するよう命じられる。その日から彼の周りで奇妙な事件が続く。先輩社員の失踪にはじまって、同僚の誤認逮捕、上司の自殺、不倫相手の失踪、妻に不倫調査を雇われた男の家の火事など、不穏な出来事のオンパレードだ。しかも、それらは、パソコンである言葉を検索した者に降りかかるようなのだ。
この謎を解くべく、渡辺、同僚そして彼の妻や、失踪していた先輩社員も加わって、一大冒険活劇が繰り広げられる。
本書では、あいかわらず、「人を喰ったような」伊坂ワールドは健在だが、書き下ろしとは異なり、もともとは週刊コミック雑誌の連載小説だっただけに、各章の終わりの、次回予告っぽい期待感と、全56章のそれぞれに読みどころがあり、ファンとしては充分楽しむことができた。

「作品の本筋をないがしろにした読者への甘えが出た作品」 2008-10-24
レビュアー:naonao-703(33人中10人が参考になったと回答)
『モダンタイムス』に出てくる井坂好太郎が言う「人生は要約できねえんだよ」は、
小説家なる井坂好太郎の作品が映画化によって「粗筋は残るが、基本的には、その小説の個性は消える」経験から放たれる台詞だ。
だが、この言葉が今の伊坂作品を象徴している。
要約出来ない屁理屈を個性と勘違いし作品に盛るようになり、その盛りは私から言わせてもらえば甘えにしか映らない。
個性が消えるような作品だった映画化なら、粗筋でも消えないような本筋を鍛えるようにしてくれ!
作品を掘り下げる作業がいかに大変で孤独だと知っているからこそ、生み出されてきた名作と共に作家が尊敬されるのではないか。
ラッシュライフ (新潮ミステリー倶楽部)のシンプルさが消え、屁理屈をこねる男と気の強い女がじたばたするだけの作品などに、お金も時間をも注ぎ読むことで読者は何を得るというのだ。