ユーザーレビュー一覧(全31件 平均:5.0)

「世界観を変える本」 2007-03-04
レビュアー:ぷりうす(37人中34人が参考になったと回答)
大脳生理学者が、「脳の組成はどうなっているのか」「どのように機能しているのか」といった解剖学的な視点から、「脳とコンピュータの違いはなにか」「心とは何か、心がどこから生まれるか」「心がそもそも存在する意味は何なのか」といった、心理学や哲学の領域に至るまで、現在の脳研究の最新の成果を、高校生(理科系)レベルでも分かるように平易に解説する。
普段、あまり脳関連の書籍は読まないのですが、本書は本当に刺激的でした。しかも、専門的になりすぎず、「ロボットネズミ」の話や「視覚の偏見」の話など、専門外の人でも興味をかき立てられるお話がつまっています。お話の展開がうまいです。好奇心旺盛な高校生ならずとも、大人の自分でも知的興奮を覚えます。
僕が印象に残ったのは以下のような点です。(特に最後の点は非常に好感がもてました)
・脳は体をコントロールしているが、体も脳をコントロールしている。
・「悲しい」といった感情は単に脳の副産物、脳の活動の結果にすぎない。
・「見る」とはものを歪める行為である。
・ヒトの脳は柔軟性を生むために発達した。
・部分と全体は互いに不可分で、相互に影響を与えている。脳も複雑系。
・人間の脳がそんな簡単にわかってたまるか
脳という器官についての知的好奇心をかき立てられると同時に、世界の見方を変える本。大脳生理学の入門として、また、認知心理学や哲学にも繋がる本として、高校生には是非読んでもらいたい。大人も今からでも遅くないですよ。

「テンポよく語られる脳」 2007-02-10
レビュアー:kaz-p(28人中25人が参考になったと回答)
脳に関する本をちゃんと読んだのは本書が初めてです。
高校生向けのレクチャーということで、
殆ど予備知識なしに読めました。
テンポの良い語りは、読むものを飽きさせません。
内容的には、理系の人には少々物足りなさを
感じさせるかもしれません。
本書の内容そのものも、もちろん面白かったのですが、
あとがきに記されているこのレクチャーを行った当時を
振り返ったコメントが、同年代の者として、
共感をおぼえました。
しかし、ブルーバックスも高くなったものですね。
石浦「遺伝子が明かす脳と心のからくり」と
似たような価格ですから、買う前に見比べて
合う方を選ばれたほうが良いと思います。
神経細胞については本書の方が深く、脳機能
としては、「遺伝子…」の方が深いようです。

「イメージをわかせることができる」 2007-02-03
レビュアー:ベンジャミン(21人中15人が参考になったと回答)
脳、神経、医学、記憶のメカニズムといったものを、これだけ平易に、イメージをわかせやすく説いた書はない。まるで、立体的に、断面的に、脳を見るがごとく、脳の命令系統の手順の動きが色や形であらわれるがごとく、想像力をかきたてさせられる。

「脳科学の最先端を中高生に理解させる著者の挑戦、すごい!」 2008-01-09
レビュアー:MM(15人中13人が参考になったと回答)
『記憶力を強くする』『海馬』の著者で脳科学者である池谷裕二氏の著作。中高生を対象とした数回の授業での話をそのままの言葉で活字にしている。最新の脳科学の研究成果をもとに、記憶とは何か、思考とは何かを論じ、個性や心とは何かといった究極のテーマについての考察を述べている。平易な言葉を用いており、少なくとも理系の高校生以上の知識があれば誰もが理解可能と思われる。
本書は、『高校生レベルに話して理解させられなければ、その人は科学を理解していることにはならない(ファインマン)』という理念にたいする著者自身の挑戦である。本書のすばらしさを列挙すると、最先端の脳科学が網羅的に述べられ、かつそれぞれの情報が相互に結びつけられているため、一貫性と整合性が保たれていること。多数の引用文献はすべて権威ある国際誌に掲載された論文であり、著者自身の研究データも含まれていること。話が面白く、読み出したら次が気になってやめられなくなること。学生と対話形式で授業を行っていること。これによって学生のレベルを量りながら、次の言葉のレベルを考えていたり、途中で発生する疑問に即座に答えることで、理解力を向上させることが可能となっている。このような形式で授業を行うことによって学生の能力を最大限引き出していると思われる。これらによって著者の知識量、機転などのほかに、教育者としての能力の高さが読者に伝わってくる。
最近、数名の学者と称する著者の書を集中的に読んだが、すばらしい書からとんでも本まで千差万別であった。思考や教育姿勢においては、菊池聡氏や安斎育郎氏もすばらしいが、池谷氏の能力の高さも際立っているように感じた。他の低レベルな書において『論旨は矛盾しているが著者の心意気を買う』という理由のみで高い評価をするレビューが散見され、たいていそれらの著者はマスコミによく登場する者であったりする。しかし、真に買うべき心意気というのは、池谷氏や菊池氏のような真摯な挑戦をする学者に見いだされるものだと実感する。池谷氏の著書は3冊読んだが、どれもすばらしく、世界の最先端をリードしているのは、間違いなく本著者のような科学者である。星5つ、万人に勧められる良書。

「確かに高校のとき読みたかった」 2007-04-03
レビュアー:yukaricoffee(12人中10人が参考になったと回答)
「進化しすぎた脳」は、ベストセラー「海馬」の著者と高校生が対話式の講義を行った記録です。
「高校生レベルの知識層に説明して伝えることができなければ、その人は科学を理解しているとはいえない」とは物理学者ファインマンの言葉です。
一方的に専門用語を駆使して行う授業ではなくて、生徒からの意見を聞いて、常にフィードバックを行っているため、文系の私にも確かにわかりやすい内容でした。
受験勉強の範囲を超えて、こうした勉強ができることは、ひいては学習意欲につながるのではないかと思います。