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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)
どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)
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講談社

¥ 620

文庫

売上ランク:2677位

1999-05

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ユーザーレビュー一覧(全39件 平均:4.0)

評価5点「ミステリの常識に囚われるな!」 2006-07-23
レビュアー:occhi(12人中11人が参考になったと回答)
犯人を特定していく過程が面白くて一晩で一気に読んでしまった。
一気に読み終わった後は、謎解きのヒントを得るために即座に注意深く二度読み開始!
確かに注意深く読んでいれば、おのずと犯人は特定される。
しかし、最後には当然犯人が明かされると思って読んでいたので、一度目の読了後はさっぱりわからなかった。

東野氏は
「最後には犯人が明かされる」
という推理小説の常識をひっくり返した。
この暗黙のルールに慣らされている読者に対しての挑戦であり、ミステリの可能性をまた新たに広げたと思う。
非常によく練られた秀作。
東野氏の引き出しの多さには、毎回感心させられる。
評価4点「渋いロジック重視の傑作ミステリ」 2004-07-12
レビュアー:uno(11人中7人が参考になったと回答)
最近の「新本格」と呼ばれるミステリが大嫌いな私が久々にロジックの快感に酔えた小説。私が「新本格」が嫌いな理由は、読者をあっと言わせたいばかりに非現実的で無理のあるトリックに傾きがちであること、謎解きをする探偵がこれはこうだったあれはああだったと断定的に語る裏に根拠やロジックがまったくないこと、の2点である(二階堂黎人のミステリが典型的)。ミステリにおいては真相にいたるロジックこそが美しいと考える私にとって、名探偵が何の根拠もなく「あれはこうだったのです」と断言すると、プロの警察官が検証もせず「そうだったのか!」とのけぞるようなミステリは馬鹿馬鹿しくて読んでいられない。それ、あんたの単なる推測じゃん、と言いたくなる。なぜそれ以外に回答があり得ないのか、どうしてその回答が導き出されるのか、がミステリの一番面白いところだろう。

本作品はそういう子供だましなミステリの対極にある。大掛かりなトリックもなし、意外な犯人もなし、怪奇幻想もなし、しかし端正なロジックがある。本書では最後まで犯人の名前が書かれていない、従ってロジカルに考えれば誰でも明確に犯人が特定できる設定でなければならない。そして実際それはできる。にもかかわらず、袋とじを読む前に論理的に犯人を指摘できる読者は多くはないであろう。

最後の最後、加賀刑事と和泉の議論の中で、謎解きのための数多くの手がかりがたった一つのポイントに収斂していく様は異様にスリリングであり、ついに問題が最もシンプルな二者択一に還元された瞬間に物語は終わる。読者にゆだねられているのは最後の一ステップだけであり、この一ステップは完全に論理的にクリアできる。その一ステップの匙加減がまさに絶妙。

ミステリに渋いロジカルな推理を求める人にお勧め。

評価4点「前衛的な推理小説」 2006-11-29
レビュアー:海山ごはん(7人中6人が参考になったと回答)
変死を遂げた実妹のため独自に犯人探しをする交通課の警察官「和泉」を主人公にした、刑事加賀恭一郎シリーズの第2作目。
タイトルそのままに、早い段階で殺人事件の容疑者はふたりに絞られるが、本編中で犯人の名が明かされることはない。
このため、単行本の発表時には、読者から犯人に関する問合せが多かったようで、文庫化にあたり「袋とじ」の解説が付けられたのは有名な逸話である。
この解説は、読者のための犯人探しのガイドになっているのだが、真犯人がどちらかということよりも、著者が犯人探しのヒントをいかにうまく文中に潜ませているかに驚く。
そのように推理の部分に特化した作品で、文章は読みやすいため物語のテンポも良く読める。
証拠品を隠蔽してまで私刑をしようとする和泉と、的確かつ冷静な判断で真実を追い求める加賀、この対決にも似た人間関係の構図は、『容疑者Xの献身』にも通じるところがある。
評価4点「推理じゃないけど犯人はわかる」 2007-08-14
レビュアー:真木数詞(10人中6人が参考になったと回答)
 これは「犯人当て小説」として有名な作品なので、東野圭吾ファンのはしくれを自認する私としては、未読だったのは恥ずかしいのだけど、どういうわけか「加賀刑事もの」は苦手なので…。でも読んでみました。

 結論から言うと、なかなか面白かった。犯人当て以前に、ミステリーとしての設定が凝っていると思う。
 東京で一人暮らしの女性が、自殺とも思える状況で変死。第一発見者は兄。現場のわずかな痕跡から他殺と見抜いた兄は、自分の手で犯人を突き止め、復讐しようとする。
 そして、同じく他殺と判断して、復讐を防ぐため、先に犯人を逮捕しようとする加賀刑事。
 犯人と刑事の対決ではなく、犯人に復讐しようとする被害者の兄と、阻止しようとする刑事の知恵比べ、というのが、この小説の面白さだと思う。おまけに兄は、愛知県の交通課勤務の警察官、警察の手の内は知り尽くし、重要な証拠も加賀刑事には渡さない…。
 二人の火花が散るようなやりとりはドキドキする。この兄のキャラクターが秀逸で、加賀刑事と対等に渡り合えるところもすごい。

 肝心の「犯人当て」だが、容疑者は二人。男と女。
 ラスト近くに、「犯人が〇〇〇〇。犯人でない方も××××××。」という文章がある。その「〇〇〇〇」「××××××」という表現で、どちらが男でどちらが女か、わかってしまった。袋綴じ解説を読んでも正解だったし。
 もちろん、こんなのは「推理」じゃない。でも、読者は刑事ではないし、文章を読んで犯人がわかる、という意味の「犯人当て」なら、当たりとも言えるよね。こういうレベルで当たっていいのか?、とは思うけど。
 この一文は、東野圭吾は絶対に意識して書いているはずで、まあ「大サービスヒント」ということなんだろう。もちろん、ちゃんと推理できる手がかりも書いてある(袋綴じを読めばわかる)。
評価4点「真犯人究明のために知恵を絞れと作者は怠惰な読者を挑発している!?」 2008-05-10
レビュアー:Tsukaya(7人中6人が参考になったと回答)
 東野圭吾の本格推理小説のなかでも特に有名な『名探偵の掟』において名探偵を笑いものにした作者が、最後まで犯人を明らかにせず読者に推理させることを目論んだこれまた著名なのが本書である。警察官の妹を殺害した容疑者は二人に絞られる。「密室」や「アリバイトリック」といった小細工は盛り込まれていない。単純明快な「フーダニット」の世界だ。事前に読者はそのことを知らされているから、必然的にどちらが真犯人であるのかを究明すべく本書と格闘することを義務付けられている。私も細心の注意を払って読み進めた。手がかりは容易に分かる。おおよその犯人の見当もついた。

 しかし「論理的に」説明することにやや時間を要した。仕方なく巻末に付された「推理の手引き」を紐解くことにした。なにやら禁断の袋とじの体裁に映った。それを読んでようやく「確信」を持つことができた。要するに「逆算」の発想だ。二人の容疑者を一人に絞り込めればいいし、実際に被害者の兄(そして加賀刑事)は犯人を突き止めている。犯人確定のポイントをここで書きたいところではあるが、それは読者自身が味わう楽しみであるからして、述べるのは控えておこう。他のレビューが述べているように、「利き手」にヒントが隠されていることは誰の目にも明らかだから、作者は一応の道筋を与えてくれてはいるのである。あとはそれをもとにどう推論を組み立てるか、である。

 被害者の兄は、時間を見つけては何度も上京して、そして努力に努力を重ね、真犯人がどちらであるのかを突き止めることに成功した。執念の結果だ。こういう作品はたしかに新鮮だった。しかし結局のところ、ヒントはある一点に集中し、やや面白さに欠ける印象があったことも否定できない。とはいえ、自分が「名探偵にはなれない」ことを完全に自覚させられたという意味ではなかなかインパクトがあった。難易度が増した『私が彼を殺した』にも挑戦したい。