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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)
新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)
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講談社

¥ 700

文庫

売上ランク:53868位

2007-03-15

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ユーザーレビュー一覧(全20件 平均:4.5)

評価5点「幕末に生きた英明の女性」 2007-04-09
レビュアー:ringmoo(59人中50人が参考になったと回答)
幕末の激動の時代にあって、薩摩の分家の娘として生まれながら、その英明さを見込まれ、将軍家定の妻となり、姑として皇女和宮を迎えた女性の一生を描いています。

島津斉彬から徳川慶喜を将軍にする密命を帯びて、将軍の妻となった篤姫が、その困難さと少ない情報量の中から、自分が戦略の道具として使われたのではと疑いを持って行きます。
その後、家定が死に家茂の妻として和宮を迎えた時、彼女もまた「攘夷」の推進という使命を持って嫁いできたことを知ります。
この二人のやりとりを通じて、この時代の女性たちが「道具」でしかなかったことを描いて行きます。
しかし、この天璋院はそんな制約の中でも、大奥3000人を統べらい、徳川家の存立を賭けて的確な判断を見せて行きます。「男だったら」という部分が何度か出てきますが、それだけの「人物」だったということでしょう。

この小説は、そうした天璋院の「人間」を描いているのですが、和宮との対比をして一層天璋院という人物を際立たせている見事さがあります。
それと、男に道具としていいように使われる前半から、その能力を如何なく発揮して、徳川家の存続に向けて活躍する中盤を経て、ラストに「余生」として、子どものときの懇ろな家族関係に戻ったような心安らぐ晩年を与えることで、読む側をほっとさせるものがあります。
その点では、非常に読後感の爽やかな作品になっています。
評価5点「TVと全く違う格調高い世界が広がる。」 2008-04-18
レビュアー:正義の味方(28人中24人が参考になったと回答)
宮尾登美子氏の文章が素晴らしい。日頃接することのない格調高い表現の日本語が全編を通じて展開され、こういう日本語を書いてみたいと憧れる。島津本家から分かれたご一門四家の重富家、加治木家、垂水家、今和泉家、その今和泉家の長女に生まれた於一。TVドラマでの描き方とは全く違う優雅な、格式の高い名門武家の姫の生活がよくわかる。五尺三寸の大柄な篤姫、日本外史を愛読する篤姫、一族から「女子に生まれて残念」と言わしめた篤姫、この類希な資質の姫には最初から引き込まれていく。18歳で島津本家の幼女へ。全編を通して、姫のお付の女性が多く登場するが、今和泉家の菊本、島津本家の若年寄広川、老女幾島の存在や、お互いの関係の変化が非常に興味深い。そしてついに大奥総取締滝山を先頭に、老女村岡、幾島、亀岡、花乃井が付従い江戸城へ。いよいよ御台所として大変な大奥の生活が始まった。どう見ても大河ドラマでは本書の描くような格調高さは出ない。やはり本書を読むべきだ。
評価5点「天璋院篤姫は強烈な個性だった」 2008-01-13
レビュアー:花鳥風月(19人中15人が参考になったと回答)
幕末物は、どうしても当時の政治情勢を強く盛り込んだものになりやすい。
そんな中、時代小説でなく歴史小説として一人の女性の生き方を描いている。
もちろん実際の本人(篤姫)の考えていたことと異なる部分も多大にあるとは思う。
でも、何よりもこの小説は”天璋院篤姫”の真実に近づいているのではないだろうか?

時に小説は、何よりも事実に近づく、そう思わせるものがこの小説にはあると思う。
評価5点「宮尾登美子さんの大ファンです」 2007-05-10
レビュアー:八千代の千代女(22人中17人が参考になったと回答)
宮尾登美子さんの作品には、運命に翻弄されながらも自分の人生をひたむきに生きる女性を描いている作品が多く、私は彼女の大ファンです。この作品もそのひとつです。
養父島津斉彬に政略結婚をさせられながらも、これが自分に与えられた運命と割り切り、十二分な才能を発揮しながら懸命に生きていく姿に感動し、同時に江戸時代にもこんな立派な女性がいたんだということを知ることができ、うれしく思いました。しかし、その運命が現代女性のそれとはあまりにもかけ離れているために、気の毒でもあり、才能豊かな女性だけに、もし違う世に生まれていたら華やかな人生を送れただろうにと思うと残念でなりませんでした。
2008年度のNHK大河ドラマが「篤姫」になったそうです。そちらのほうも楽しみです。
評価5点「この時代の女性の英知、そして覚悟」 2008-06-09
レビュアー:パタ(6人中5人が参考になったと回答)
いうまでもなく、今の時代とは女性の役割、世の中の女性観は隔世の感がある。
たった数百年前明治にならんとする近代の黎明期において、トップレディといえ、
主たる役割は世継の継承、バックオフィスの安泰であり、歴史的政治的な役割は
期待されていない。
とはいえ、バックヤードでのあるじたる将軍への影響力を期待され、多いとはいえない
また速いとはいえない情報から裁量をとることが期待されている。

いち早く多くの情報取得をできた人間が勝ち、そして性差は多様性と受け止める
現在とは処し方も違えば価値観も異なる。
そんな中で篤姫は鹿児島の分家の娘として生まれてから島津家の養女そして徳川の嫁として
数奇な運命を進んでいく。
この小説はその48歳の人生をコンパクトに力強く表現していったのものである。
そのストーリーは小気味良く、言葉遣いも印象的で、彼女の思いや時代の流れと共感し、
思いをはせることができる。

彼女はバージン女王ならぬバージン御息所であり、当時の国家である徳川の永続を強く願い、
三千人の大奥の人間を統率したすばらしい女性である。

惜しむらくは、直接のコミュニケーションやリアルな会話ができにくい体制や時代の中で
相互理解が進まず誤解と哀しみ怒りばかりにとらわれ、和解していくまでの和宮との関係、
夫でありながら共感をすることが難しかった将軍との関係。
こういったことは今の時代ではもう少し緩和されていくはずのものであろう。
今の時代に彼女が生きていればどのような姿勢で生きていったかを想像してみようと思うのである。