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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

魔王 (講談社文庫)
魔王 (講談社文庫)
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講談社

¥ 650

文庫

売上ランク:911位

2008-09-12

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ユーザーレビュー一覧(全28件 平均:3.5)

評価4点「人は言葉に縛られている」 2008-10-26
レビュアー:くまくま(10人中7人が参考になったと回答)
 超能力という要素が含まれているが、それはこの作品をノンフィクションからフィクションにするための手法に過ぎない。そんな気がした。
 頭が良いの定義は難しい。人が知らないことを多く知っている人も頭が良いように見えるが、それは知識が豊富なだけだ。本当に頭が良い人は、何もないところから価値あるものを生み出せる人のことを指すのだろう。しかし、この知識がすさまじい量だったらどうだろう。生み出すまでもなく、ただ持って来れば十分に価値あるものに見えるかもしれない。つまり、通常は、情報を入手し、考察し、判断するというプロセスを経なければ行動できないのに、考察するというプロセスをアウトソーシングすることで、考察結果を入手し、判断するということでよしとする世界になりつつあるのではないだろうか。この結果として、人々は誰かの言葉を自分の考えであるかのように錯覚して行動することになる。
 安藤は、考えろ、考えろ、マクガイバー、と言う。彼は、考え、行動することによって、世の中の流れを押しとどめようとするが、結局は濁流に飲み込まれてしまう。潤也は、濁流の外にあって、流れを変えようとする。そして犬養は、流れを作り出していた側だったはずなのに、おそらくは、いつの間にか自分も流されてしまっていることに気づいたのだろう。
 彼らは自分の考えで行動し、発言しているはずだった。しかし、本当にそれは彼らの言葉だったのか。かつて存在した誰かの言葉だったのではないか。本当に彼らは考えて行動しているのか。そして自分は…
 おそらくそこに魔王はいる。
評価4点「起承転結がよくわからないけれども・・・。」 2008-10-16
レビュアー:ちゅーじろう(8人中6人が参考になったと回答)
大好きな伊坂幸太郎の書籍が文庫になったので購入。

お金がなくてハードカバーには手がでなかったので、なんとも嬉しい限り。

今作も伊坂テイストは衰えていない。
独特のテンポ、文体はやはり楽しい。
「仲のいい兄弟2人」というキャラクターも見ていて何か嬉しくなる。

「魔王」とはいったい何か・・・。
強健な政治家?なんとなく動いていく世論?それとも、世論によって動かされる一般大衆か?
自分なりに「魔王」の定義について考えさせられる。

終盤からラストにかけては、ちょっと歯切れが悪かった。
と思ったら、続きがあるみたいなので、そちらに期待。
評価2点「深みがない」 2008-10-22
レビュアー:アホロートル(9人中6人が参考になったと回答)
誰もがおかしいと感じるのに変わらず続く政治の世界、この作品に登場するような政治家を想像したことがある人は多いのではないでしょうか。それを実際に文字に表してしまった伊坂幸太郎さんですが、残念なことに青臭い。

そのような政治家を恐怖の対象にするとひねりやエンターテイメント性はあるものの、あらゆる伏線が最後に繋がる快感を感じさせてくれる彼のそのほかの作品に比べると中途半端でクオリティーは格段に落ちます。政治的内容も読んでいてちょっとイタさを感じてしまいました。なんというか、テーマに深みが感じられなく、ちょちょっと手軽に書いたという印象が。面白くなりえただろうに誠に残念。
評価5点「人間の「思い込み」の危うさを描いた小説」 2008-11-11
レビュアー:ボンちゃん(8人中5人が参考になったと回答)
人は、世の中の流れに流される者も逆らう者も、
その根拠があるにせよないにせよ、自ら「ある考え方」を
どこからか選んできて、その考え方を自分のものにしてしまい、
それをときには「信仰」して生きているのでしょう。

それが人の行動に影響を及ぼす事は言うまでもありません。

宗教、政治的観念、大小様々の思想、哲学、、、
これらすべて個人的な信仰の対象です。
そして、人はそれぞれ自分の信じた、選んだ、、、
「主観的な真理」をなにかしら持ち歩いて生きているのだと思います。

伊坂幸太郎さんの「魔王/呼吸」という一対の小説は、
超能力?による奇跡的な事柄や、政治的な問題を物語の前面に押し出しながらも、
人間心理の脆さ、危うさ、「信仰、思い込み」によるその恐ろしい一面を、
それこそ作家自身の超能力を駆使して登場人物に語らせ、行動させて表現しています。
その危うさは、対決(反動)せざるおえないという人間の本性と同様、
隠されていてなかなか見えないものです。

「魔王」とは、、、全体主義者や平和主義者や無関心な大衆
のように決して目に見える存在ではないのだと思います。

このレビューを書いているおれも、危うい思い込みやろうのひとりです(^^)
評価3点「漠然とした恐怖」 2008-09-25
レビュアー:y.ito(11人中4人が参考になったと回答)
ナイフを持った男、銃を構えた兵士、
迫りくる炎、猛スピードで向かってくる車、
といったような、具体的に恐怖を感じられる
ものではない、漠然とした恐怖が描かれている
ように感じた。

ヒトラーは悪の化身に思えるかもしれない。
しかし、それは集団心理が生み出した、
自分たちの思いを代弁してくれるだけの
マリオネットや象徴としての価値しかなかった
のかもしれない。

もしそういった象徴がいなくなったとしても、
実際には集団心理という実態のないものが
存在し続ける限り、恐怖は存続する。

そういった流れが、今後の『モダン・タイムス』で
描かれる「システム」にもつながっているのかもしれない。

本書を読む上ではストーリの本筋には影響しないが、
『死神の精度』を事前に読むことが望ましい。