ユーザーレビュー一覧(全11件 平均:5.0)

「小学館 1995年6月10日初版第1刷発行 ー品切れー」 2007-08-12
レビュアー:人形美々寿(79人中75人が参考になったと回答)
写真家オダネル氏は2007年8月10日にテネシー州で亡くなった。享年85歳。
スミソニアンの展示がキャンセルされたことについての和文の
あとがきが英文のそれにはない。理由の説明ももちろんない。
96頁の写真「焼き場にて」はあまりにも有名で、オドネル氏の死亡記事にも
あわせて小さく掲載されていた。写真とそれにつけた彼の文章(翻訳)を読むと
この少年は今どうしているのかなどいろいろ思いが及び、
同時に涙を誘う。
ヒロシマナガサキ(オカザキ監督)をはじめとして映画が製作される。
映画を見るのもいい。私はこの写真集が増刷されて、入手できる
日をこころまちにしよう。

「絶望」 2007-12-07
レビュアー:しゅんひか(60人中58人が参考になったと回答)
戦勝国の従軍カメラマンとして日本に上陸した時点の高揚感と、帰国直前の絶望・苦悩。著者の心象の大きな変化・隔たりが、ページをめくるごとに伝わってくる。日本で出会った多くの人々(多くは子供や老人)の痛み・飢え・悲しみを知るうち、著者は戦争に勝ったはずの米国人でありながら、大きな喪失感とともに日本を去った。
広島・長崎の廃墟とりわけ崩れ落ちたカテドラルの写真は、著者の心象とオーバーラップする。

「焼き場の少年が見た「戦争と虚栄、そして現実」」 2008-02-21
レビュアー:かっく(38人中35人が参考になったと回答)
オダネル氏は戦争中、私の地元に撮影に来られたことがあるそうです。
たまたまそれを知り、たまたま地元の写真展でオダネル氏の作品を拝見する機会があり
足を運びました。
焼き場に気をつけをして立つ少年。
この写真のチカラとメッセージ、実際に目にした時、身体の震えが止まらなかったのを
覚えています。
今一度、戦争とは、原爆とは何だったのか。
考える機会をくれた作品でした。
この本はなかなか実際に見る事が出来ないオダネル氏の作品と、その背景を知るには
充分な本だと思います。
私達が忘れてはいけない真実が刻まれています。

「焼き場に立つ少年が語りかけるもの」 2008-04-13
レビュアー:辰巳(20人中20人が参考になったと回答)
アメリカの従軍カメラマン、ジョー・オダネルが、
原爆投下後の広島や長崎を撮影した写真集だ。
何もなくなってしまった広島の街。崩れ落ちた長崎大浦天主堂。生存者の笑顔……。
中でも衝撃的なのが、「焼き場にて、長崎」である。
この写真だけでも、この本を買う価値がある。
幼い弟を背負った直立不動の少年。弟の表情は穏やかだが、首は大きく後ろに倒れている。
うながされて少年は弟をおろす。係員はその子を燃えさかる炎の上に乗せた――。
少年は焼けていく弟を見ることなく、じっと気をつけの姿勢で前を見続けたという。
ピンと伸びた指先……。
この写真集は、スミソニアン博物館での展示がキャンセルされた。
展示されたのは、原爆を投下した「エノラ・ゲイ」だけだ。
「原爆によって終戦を早めることができた」とアメリカは今も言う。
しかし、すでに戦争の勝敗は決していた。そこで何万人もの一般人を焼き殺す必要があっただろうか。
写真とともに添えられた文章が、いい。
写真に釘付けにさせられた視線を揺さぶるような文章。
国家の壁を越えた人間愛のようなものを感じる。
なお「焼き場に立つ少年」の写真は長崎市に寄贈され長崎原爆資料館に展示されている。

「「焼き場にて」の衝撃」 2008-03-12
レビュアー:速水竜輝(15人中14人が参考になったと回答)
背に負った幼い弟は、眠っているのではない。
傍らに立つ米兵カメラマンが即座に立ち去りたいと思うような異臭の中で、指の先まで伸ばして直立不動の姿勢で焼き場の炎を見据える少年。
この写真を見て、かの少年と同じ年齢になる現代の子供たちは何を感じるだろうか。
60年余りの歳月を経て、彼の目に今の日本はどう映るのだろう。