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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)
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新潮社

¥ 620

文庫

売上ランク:13254位

2001-12

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ユーザーレビュー一覧(全23件 平均:4.5)

評価5点「日本の現実」 2002-03-02
レビュアー:くま(14人中11人が参考になったと回答)
恩地元は最後にはケニアに左遷させられる。山崎豊子の長編は、「不毛地帯」にしても「大地の子」にしても、途中はともかく、最後はすっきりとした終わり方をしてきた。この作品に限って言えば、なんとも希望の無い終わり方をしている。それはこの作品が久しぶりに日本を舞台にしているのに関係あるのかもしれない。「不毛地帯」の主人公を髣髴させる龍崎一清もここでは権謀術数を謀る一政治家に過ぎない。日本の政官財を巡る汚濁はもう救いを描きようが無いほど進んでいたということなのかもしれない。最後に司直の手が暗部に伸びていくのだが、あまり期待の持てる描き方になっていない。恩地の眼はもはや第2の故郷とも言えるケニアに向いている。
山崎豊子の次回作が楽しみだ。
評価5点「優秀さゆえの悲劇」 2005-03-23
レビュアー:カジやん(17人中11人が参考になったと回答)
恩地さん。あなたは偉いよ。強いよ。すばらしいよ。でも「優秀さゆえの悲劇」って感じがしました。これが純小説(事実を基にした小説でなければ)だったらその苦労が報われたんでしょうね。「白い巨塔」の里見と人物像がダブリました。人間的には尊敬しますが、あなた一人の人生ではないんですよ。やりたいことをやって、自分を貫く。これはすばらしいことです。ただ、一人でやってください。献身的に支えている家族のことを考えているとはとても思えません。「悪」はだめです。「善」だけでもだめです。みんなそこんところでギリギリに生きているんです。まさしく恩地さんは職場で働く者のヒーローです。でも家庭ではどうだったのかな?奥さんや子供さん達にそこが聞きたいと思いました。「恩地さん」みたいな能力も行動力も私にはありませんから何とも言えませんが、もっと自分や家庭も守って欲しかったと思います。本のストーリーに関係なく、おせっかいなことを書きましてすみません。でも、この本を読んだ率直な感想です。
評価5点「ビジネス会話の勉強にもなる」 2004-05-12
レビュアー:ishii104(11人中10人が参考になったと回答)
労働組合の仕組み、アフリカでの狩猟の仕方、為替を使っての
裏金作りなど、専門的な知識が網羅されていて知的好奇心が
刺激され、長編にもかかわらず飽きずに読めました。

その中で私は、登場人物の会話がとても印象に残りました。
こういったビジネスシーンではこのような言葉を使うと効果的な
のかと思う部分がたくさんあり勉強になりました。

感情的にならず丁寧な日本語が使われていて、それでいて人の
心を動かすような会話がされていたのです。

そして飛行機墜落の場面では手に汗を握り、墜落で亡くなった人
や残された遺族の悲しみに涙し、また利権を貪る会社内部の
輩たち、悪徳政治家・官僚に強い憤りを覚えました。
最後まで読んでみてやっと題名の「沈まぬ太陽」の意味が

理解できました。

評価4点「「沈まぬ太陽」の意味」 2004-02-02
レビュアー:くらびぃ(12人中6人が参考になったと回答)
 全て読み終わる直前まで「沈まぬ太陽」は再建された飛行機会社が
安全な旅客機運送を行うようになる事の比喩だと思っていた。そういう
伊丹十三的世界をどこかで期待していたのかもしれない。或いは「白い
巨塔」や「不毛地帯」がそうであるような鮮やかなラストを。

 全然、違っていた。

 勿論小説の原型となった事実がそうであるわけだから、それをなぞっ
たに過ぎないといえばそれまでである。また、小説といってもはっきり
解る企業名、政党名、個人名で糾弾されている人達や利害関係者からの
自己防衛、自己弁護的論難とは別に、この書が今一つ受け入れられなか
ったのは、「小説的構成」としてのカタルシスを山崎氏が最後まで与え

なかった事だろう。

 それは何故かと考えるに、本書に限っては、山崎氏は小説的構成の対
象である小倉氏(恩地氏)に対し、公憤のあまりか距離を最後まで持ち
得なかった点であるように思う。それが告発書としても、日本型企業組
合である鐘紡の家父長制的労使関係を無批判に了としてしまっており、

小倉氏や伊藤氏(国見氏)側が持っていた組織運営上の陥穽について無
頓着に留まっている。
 
 要するに「白い巨塔」等で展開されていた、人物像の複雑性が織り成
すドラマではなく、失敗し蹉跌した勧善懲悪物語に留まってしまってい
るのが、山崎豊子が持つ独特の魅力を逸しているように思えてならない。

評価5点「結末。」 2002-01-10
レビュアー:ざぼん(5人中5人が参考になったと回答)
そうか。このような結末になっていたのか・・・・・・。
この巻の最終章まで、「善と悪のどちらが勝つのだろう?」、と、その答えを追いかけて読んでいましたが、答えは、「これが世の中。これぞ世間。これこそ現実。」でした。読み終えて数日経った今なお、ココロに寒風が吹き荒んでいます。と同時に、深い納得と、やはり、山崎豊子氏に深い尊敬の気持ちを抱かずにはいられません。
読み終えた方には問いかけたい。「あなたは、登場人物の生き方のうち、どの生き方を選べる人ですか?」あえて、「選ぶ人」ではなく「選べる人」と言う表現を使って。