ユーザーレビュー一覧(全26件 平均:4.5)

「すばらしい」 2006-01-19
レビュアー:鈴木純一(37人中31人が参考になったと回答)
ミシガン大学に研究員として,そしてコロラド大学に助教授として滞在した際のアメリカ滞在記.70年代に書かれた滞在記が今読んでも色褪せないのは,アメリカを観察してこうだった,ああだったと外面的なことに終始するのではなく,アメリカ滞在で著者自身の内面が何を感じ,なぜそれを感じ,そしてどう揺さぶられ,どう変化したかが克明に書かれているからだと思う.そこに見え隠れする,不安やコンプレックス
,興奮などは,今アメリカに滞在する人々にも共通するものだと思う.印象的だったのは,アメリカ滞在初期にご自身の情緒・精神がどのように不安定になっていったか克明に記しているところと,初めて教壇に立つときの様子や著者の興奮と緊張など.出版20年を迎えて,この先20年も色褪せない内容ではないかと思う.

「大切なのはどこにいても「日本人」でいること」 2006-08-09
レビュアー:夢ふうりん(26人中24人が参考になったと回答)
「数学者」という肩書から、一瞬難解で論文調の文章を想像してしまいましたが、実際はとても読みやすい文章でした。
アメリカ滞在中、作者が味わった孤独感や疎外感、対抗意識、仲間意識などが実に素直かつ率直に語られており、おもしろかったです。自分は「留学生」や「旅行者」という立場でしか外国滞在の経験はありませんが、共感できる部分はたくさんありました。
日本で暮らしている時はあまり意識していなくても、外国に行くと「自分が日本人である」ことを意識させられる瞬間がたくさんあります。この本の中で、作者はアメリカ社会をオーケストラ、アメリカ人をヴァイオリン、自らを琴に例えて、滞在中の心境の変化を次のように語っています。
最初の頃はオーケストラに加わることを拒み、ヴァイオリンはライバルだと思っていたが、ヴァイオリンが「素晴らしい友達」だとわかってからは自分もヴァイオリンになろうとしていた。だが、オーケストラに加わってはいても、深い部分で共鳴することはなかった。その後、琴、すなわち日本人らしく自然に振舞えるようになってからは、深い部分で共鳴できる人も出てきた。
要約するとこういう感じですが、外国滞在中、同じようなことを感じる人は少なくないのではないかと思います。自分自身、ヴァイオリンになろうとしていた時期はありましたし、そうしている日本人留学生をたくさん見てきました。言葉の面でも、英語のスラングを連発したからって
相手から尊敬されるわけではない。「琴」が「ヴァイオリン」になる必要はないのです。
これから海外に行かれる方に、是非読んでいただきたいと思います。

「凡人のわてが先生の文章を読んでいるとやはり血は争えないと思いますわ」 2006-01-24
レビュアー:チェコもんが最高ですわな。(33人中23人が参考になったと回答)
本書をスタンフォードで読んだときの感銘を忘れられない。こんな「自分」をもった先輩が居たのか。「アメリカの日本人」的に読めるけども、大学の本業に加えて今だに保守のオピニオンリーダーでらっしゃる論調も本書に含めて判断すると、自分の考えをもち主張する大切さを一貫して説いて居られる。米国式の虚しい合理主義は一刀両断に切り捨てながら、欧米流の、自説の揺るぎなき主張法を後輩に説いて居られる。湯川秀樹の対談集の奥深い創造を説いた著作や寺田寅彦の今なお斬新な思考の切り口と並んで、私の大好きな科学者著書3人組、といったところである。☆は百個くらい必要やろ

「なかなかよかったです。」 2006-02-07
レビュアー:乱読者(28人中21人が参考になったと回答)
今をときめく保守派の論客のデビュー作ですが、なかなかよかったです。
よみごたえあり。
数学者でもあり、時に論理的、数学式的思考が随所にかいま見えます。
冷静にアメリカを判断しているところが、かえって保守的な思考につながるのかもしれない。

「数学者の「分析力」」 2007-01-27
レビュアー:Hit(19人中18人が参考になったと回答)
ほんの暇つぶしのつもりで読み始めたが、結局最後まで一気読み終えてしまいました。
「若き数学者」がアメリカへ行き、文化・習慣の違いに戸惑いまごつく。
しかし、学業では大成功を収め、最後にこう言う。「外国へ行くと、かえって
日本の良さが良くわかる」。。。その程度の内容だろうと、単純で陳腐な想像を
していた自分を反省した次第です。
この本の最大の特徴は、著者の「分析力」ではないでしょうか。数学者なのだから、
数学的分析に秀でているのは当たり前で、また社会的事象に向ける目の鋭さも人並み以上です。
ただ私が最も感心したのは、自分の内部・内面に向ける分析の刃の鋭さです。
アメリカに着く前から、着いた直後、そして突然やってきた「危機」など。
著者はそのつど真剣に「戦い」ながら、常に自分を分析する。そして、それを
実に分かりやすい言葉で表現する。
「外国に行くと、かえって日本の良さがわかる。」たしかに、そういうことも
あるのでしょう。しかし、本書を読んでみて、行ってみれば見えてくる、というものではない事がよくわかりました。