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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)
遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)
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新潮社

¥ 460

文庫

売上ランク:72901位

1994-06

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ユーザーレビュー一覧(全22件 平均:4.5)

評価5点「人間性」 2005-02-28
レビュアー:志村真幸(44人中42人が参考になったと回答)
 1991年に出たハードカバーの文庫化。
 1987-88年にケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジで研究を行った著者の生活記。
 旅行文学・エッセイとして第一級の出来。著者は数学者だが、文学寄りの人にも科学寄りの人にもお奨め。
 ケンブリッジの数学研究者たち、イギリスの人種差別、次男へのいじめ、研究報告の準備など、生活のなかの様々な出来事が包み隠さず語られている。人種差別やいじめの問題に見られるように、苦しいことや辛いことにどのように対応したか、自分の駄目だったところを含めて書かれているから、読者は親しみが持て、感情移入できる。そして現実世界の出来事として実感できる。虚飾や隠蔽ほ排したところに豊かな体験があるのだということを教えられた。
 イギリスの事物・人間を描いた文章としてもレベルが高い。一年間暮らしただけでこれだけ深い洞察を得られてしまうのでは、本職のイギリス文化研究者は立つ瀬がない。
評価5点「十分楽しめた本でした。」 2005-01-20
レビュアー:凛子(44人中39人が参考になったと回答)
この本は彼が文部省の長期在外研究員として約1年間ケンブリッジ
に滞在した時のイギリス見聞禄なのですが、イギリスやイギリス人に
対する深い考察などが彼独特のユーモアで味付けされマジメで
あると同時に大いに笑わせてくれます。

それとケッサクなのは、次男のいじめ問題をはじめ、そこかしこで繰り
広げられる奥さんとのバトル。これがまた抱腹もので実に可笑しい。

「それで、次郎はなぐり返しているのか」「なぐり返さないなら、
こちらが悪い」

「なぐり返すなんて。次郎はやさしい子だから。第一、そんなことで
問題は解決しないわよ」

「オマエは子供の何たるかを分かっていない。子供の世界は動物と同じで、弱い奴が徹底的にいびられる。一発やられたら二発やり返すことが最善だ」

「そんな野蛮な」

「野蛮なことがあるものか。大学で発達心理学を専攻したらしいが、何も分かってない。子供を人間とみなすような学問は屁みたいなものだ。子供は動物だ。残酷な動物だ。ケダモノだ」

「それはあなたのことでしょ」

こういったバトルが至る所で展開されている。

すぐ熱くなる夫と妙に冷静で醒めている奥さんの会話というか、私も似てるんですね、性格が。単純で怒りっぽくて卑怯なことが大嫌いなところが。

同じ野蛮人ゆえか彼のコトバに「ソウダ!ソウダ!」とうなずく私なのである。

もちろん彼に同調する部分もあればそうでない部分もありますが
その同化と異質な部分を再認識するのがこれまたとても楽しい。

という訳で私にとっては十分楽しめた本でした。

評価5点「毒抜きに」 2005-03-19
レビュアー:あいとるい(36人中30人が参考になったと回答)
少し誇張表現に思われるかもしれませんが、運命を感じました。この本を買った目的はケンブリッジ大学への入学を考えたことからで、全く藤原先生に興味があった訳でもなんでもなかったのですが、読みはじめた導入部分からひきこまれる何かを感じ、気がついたら当初の分析目的を忘れ、完読していました。私は、留学経験もありまして、どこに行くにも最初は楽しいけれど、徐々に大切なものの上に濁った水のようなものを注入されているような感覚におちいり、最後には不穏な泥の足跡を残されているような日々をすごしておりました。ですが、このエッセイを読んだおかげで、不思議な感慨と真っ直ぐな道筋が見え、身を清められた感覚に陥りました。今の若者に読んでもらいたい。今の時代に必要な本だと思いました。またレイシズム等心理考察の描写が素晴らしく才能を感じました。
評価5点「藤原先生イギリス奮闘記」 2003-04-22
レビュアー:プータロウ(22人中22人が参考になったと回答)
若いときにものした『若き数学者のアメリカ』も面白かったが、本書もあっという間に読了した。藤原氏の魅力は、古武士然とした日本男児の原型みたいなキャラクターと豊かな国際性が同居していることにある。イギリスの教育制度、大学制度、他の研究者との交流、そして海外滞在時にしばしばおこる子供の教育やいじめの問題などが縦横無尽に語られる。これからイギリスで勉強しようと考えている留学生、オックスブリッジのカレッジ・システムに関心を持つ研究者、かの地での長期滞在が予定されているビジネスマン、それに巻き込まれて不安になっている御家族、またなぜかイギリスが好きになってしまったあなたにぴったりの一書。
評価4点「イギリスとイギリス人を知ることで日本と日本人を知る。」 2006-09-04
レビュアー:くりぴょん(24人中22人が参考になったと回答)
 私も他のレビュアーの方と同じく、「若き数学者のアメリカ」
が面白かったので、こちらも読み始めた口です。

 ケンブリッジでの生活、キャンパスでの教授の人間描写、次男
のいじめから人種差別を考え、その対応etc.全編がエッセイなの
でさくっと読めます。

 第七章のレイシズムからが特に面白かったです。イギリスの階
級社会の問題点を読む新聞から考察しているところなどは、なる
ほどと思いました。

 第12章のイギリスとイギリス人も興味深いです。ユーモアを
大切にし努力をひけらかすことを嫌う国民性。私はイギリス人の
友人はいませんが、なんとなく頭の中にイメージがわきあがりま
した。

 こんなジョークが書いてありました。

 無人島に男2人と女1人がたどり着いた。

 もし男がイタリア人だった場合、殺し合いが始まる。

 フランス人だった場合、一人は夫婦、一人は愛人として話がま
とまる。

 イギリス人だった場合、口をきかないので何もおこらない。

 日本人だった場合、東京本社にFAXで指示を仰ぐ。

 世界各国で文化や国民性が違いますが、だからこそ面白いとも
思います。旅行に行くのも新しい友人との出会いも、そのような
「違い」を認めるところにあると思います。自分との異質性を認
め、自己の見識を広める。読後にこんなことを感じました。