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心は孤独な数学者 (新潮文庫)
心は孤独な数学者 (新潮文庫)
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新潮社

¥ 460

文庫

売上ランク:37090位

2000-12

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ユーザーレビュー一覧(全22件 平均:4.5)

評価5点「天才数学者の心の内」 2005-12-29
レビュアー:鈴木純一(26人中24人が参考になったと回答)
天才数学者三人を取り上げ,彼らがどういう育ち方をして,どういう環境で偉大な業績を残し,晩年はどうだったのかを紹介し,精神的に健全とは言えなかった彼らの心の内まで垣間見てみるという趣の本.著者自ら縁のある土地を訪れ,その文化や風土が天才数学者たちにどういう影響を及ぼしたのかを考察しているのが面白い.

最も印象的なのはニュートンの話.全く人となりを知らなかったので驚きの連続だった.若い頃に故郷に戻って1年半の間に「プリンキピア」の基盤は出来ていたが,その後錬金術に20年も没頭したとか,先取権には徹底的にこだわる割には匿名で論文や本を書き続けたとか,フックと意地の張り合いをしたりライプニッツと泥沼の先取権争いをしたり,プリンキピア後には燃え尽きて国会議員や造幣局局長などを勤めた等々.
ニュートンの捻くれた性格や,老後に徐々に精神を病んでいく過程を,さまざまな観察や調査から説明しているところは実に興味深かった.「遠くを見渡せるのは巨人の背中に乗っているから」という有名なセリフは実は当時流行った言い回しに過ぎなかったというのも驚きの発見.
評価5点「天才たちの息遣い」 2005-12-12
レビュアー:Norry(21人中21人が参考になったと回答)
自らも数学者である藤原氏がニュートン、ハミルトン、ラマヌジャンという数学史上の天才の足跡を追います。
ケンブリッジ、アイルランド、マドラス(南インド)とそれぞれの天才にゆかりのある土地を訪れ、縁のある人たちに話しを聞きます。
たくさんの伝記からの引用を縦糸として、訪問記が横糸に織り込まれていきます。
それはとてもミステリアスでありながらも、とてもリアリティのあるもので、天才たちの息遣いが感じられるようです。

公理・定理や数字の類はまったく出てきません。
人間的な側面から3人の数学者に迫って生きます。

それにしても、毎日半ダースも定理を思いつくラマヌジャンって、ほとんど神がかった人ですね。
読み応え十分です。
評価5点「ラマヌジャンのことをもっと知りたい」 2005-07-10
レビュアー:ib_pata(20人中19人が参考になったと回答)
 イングランドの保守性と創造性に想いをはせる場面は印象的。「力学(ニュートン)、電磁気学(マクスウェル)、進化論(ダーウィン)はみなイギリス産である。近代経済学(ケインズ)もビートルズもミニスカートもイギリス産である。ジェットエンジンもコンピュータもイギリス産である」「ケンブリッジ大学は戦後だけで三十人以上のノーベル賞を輩出している。古い伝統を尊ぶ精神が、新しい流行や時流に惑わされることを防ぎ、落ち着いて物事の本質を見つめることを可能にしているのかもしれない。伝統を畏怖する精神が、人間に宗教的とも言える謙虚を与え、それが心や目の曇りを取り除くのかも知れない。あるいは古い伝統の中で日常を送ることが、非日常の中で、反動として斬新への爆発力を生むのかも知れない」(pp.62-63)というあたりはいいなぁ。

 もっとも頁を割かれているのはラマヌジャン。「アインシュタインの特殊相対性理論は、アインシュタインがいなくても、二年以内に誰かが発見しただろうと言われている」そして「数学では、大ていの場合、少し考えれば必然性も分かる。ところがラマヌジャンの公式群に限ると、その大半において必然性が見えない。ということはとりもなおさず、ラマヌジャンがいなかったら、それらは百年近くたった今日でも発見されていない、ということである」(pp.241-242)というぐらいの超天才だという。彼の残したノートブックの解明は、未だに完成していないが「彼の美しい公式は、今や素粒子論や宇宙論にまで影響を及ぼしている」(p.258)という。

評価5点「言葉が綴る数学の世界」 2003-08-24
レビュアー:yass(19人中15人が参考になったと回答)
数学者の伝記にして、あまりに文学的な作品でした。公式のたぐいは出てこないし、読み進めるだけで数学の奥深さにふれることが出来そうです。数学は西洋だけの物ではないと言うことがラマヌジャンの話から分かります。また、宗教が科学の発達を阻害していた事実には驚かされます。ひらめきのない自分にとって、ひらめくことの出来る人が本当に羨ましくなりました。
評価5点「教育者藤原先生」 2003-08-15
レビュアー:(17人中14人が参考になったと回答)
天才数学者の頭脳を特殊とするのではなく、育った環境から天才が生まれる事を必然として述べる作者の論理に感動しました。勉学だけでなく神への信仰が加わり天才となるというのは、天然への畏敬の念を失いつつある21世紀において、本当に夢のある物語です。多くの友人から助けられたというラマヌジャンの伝記は、天才は親や学校だけでなく社会全体が作るものであることを教えます。このちっぽけな自分でさへ責任ある行動をせねば、天才が生まれない世の中になると、心が引き締まります。明治には我国においても天才が居たのは武士道と神仏や美しい四季への愛着の為であろうという藤原先生の他の著作での意見にも、この物語を読んだ後に強く賛同できました。