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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

悪人正機 (新潮文庫)
悪人正機 (新潮文庫)
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新潮社

¥ 540

文庫

売上ランク:5234位

2004-11

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ユーザーレビュー一覧(全13件 平均:4.5)

評価5点「教条主義と正反対の人生相談書」 2007-02-25
レビュアー:麟太郎(35人中30人が参考になったと回答)
「生きるってなんだ?」から始まる28個の「○○ってなんだ?」で構成される、糸井が吉本の話を聞き書きした本。
国際化、戦争、性、はては株までと、広範な領域にわたる吉本の考えを追ったものであり、各パートの最初に、“相談する人”である、糸井の「まとめ」が綴られている。

吉本隆明の言葉は、まったく教条主義に陥らない。
その辺のことを糸井は次のように語っている。

「吉本隆明さんのことばが、ザラザラしていたり意表をつくような逆説に見えても、聞いていて気持ちがいいのは、ごまかしたりウソをついていないからなのだと思う」

「この本は人生相談のかたちを借りているくせに、あらゆる『うその考え』をまる裸にする社会とか人間とかいうものの『解体新書』みたいなものとしてできあがってしまった」

この本の題名は、隆明さんが未曾有の思想家という親鸞からとって「悪人正機」。
日本の知識人の多くが親鸞を評価するが、ここだけは小生は意見を異にする。
宗教はじめにありき、ではなく人間ありき、を評価されているのだと思うが、
そこは日本仏教の研究不足であると思う。

表紙の裏に載っている、今年83歳になる吉本と、59歳になる糸井の笑顔の写真が素敵だ。
評価5点「軽さと深さが上手くマッチした本」 2005-04-07
レビュアー:だーーー(24人中17人が参考になったと回答)
吉本隆明という人間には以前から興味があったけど、どの本もちょっと難しそうで、ためらっていた。
そこに来て、糸井重里が提示する日常的な話題に対する内容だけあって、楽しく読むことができた。
話題はどれも日常的だけど、その答え一つ一つが深く吟味された言葉でいちいち感動と驚きが僕にはあった。

役に立つ話題(糸井さん本人も言っていたが)としては、『素質』ついて、
「他に特別やらなきゃならないことなんか、何もないからね。10年間やれば、とにかく一丁前だって、もうこれは保証してもいい。100%モノになるって、言い切ります。(P172)」

あと、自分は『旅』好きなので、そのくだりも面白い。

「まずね、若い男の子が家の中でゴロゴロしていると、本人も親のほうもなんとなくイライラしてくるんです。(中略)昔だったら、そういう状態でいると、どこかに遊びに出ちゃうわけです。(中略)今の若い人たちの旅っていうのは、そういう意味合いをもっているんだなあと思うんです(P215)」

他にも、『金』の話や『仕事』、『上司』など・・・。どれも面白い。絶対買いだと思う

評価3点「意外に常識的な人生訓」 2006-06-17
レビュアー:丁三(22人中13人が参考になったと回答)
吉本隆明氏に糸井重里氏がインタビューしたものを、対談形式ではなく、吉本氏の語りおろしという形で編んだもの。テーマは「生きる」「友だち」「挫折」など、28点。それぞれのテーマのあたまに糸井氏の短文が添えられている。

結論からいうと、やや期待はずれであった。たとえば、巻頭の「生きる」ってなんだ?では、

・本当に困ったら泥棒して食ったっていい
・死は自分に属さない

泥棒云々は一休さんの有名な逸話と同じだし、死云々は養老孟司氏の持論。どうもありきたりである。他にも、

・生きる価値なんてわかんない。探すのがおもしろいという人は探せばいいし、それよりおもしろいことがある人は探すのをやめても構わない。
・誰か殺してやりたいと思っても、思うだけなら問題なし、ほんとにやったら駄目。
・真剣に考えている自分の隣の人が、テレビのお笑いに夢中になっていたり、遊んでいたりすることが許せなくなってくるっていうのは、間違っている。

と、極めて常識的な話が多い。糸井氏のもう飛び上がらんばかりの大絶賛にも、そんなにすごいこと書いてありましたっけ、という感じでついていけない。本書はおそらく、吉本ファンのための一冊であろう。

というわけで、内容的に新しい発見はほとんどないのだが、しかし、読んだ後にはどういうわけか相当の重量感、厚みのようなものが残った。それがなんだかよくわからないが、これまで敷居が高くて避けていた吉本隆明氏を、一度ちゃんと読んでみたいと思う。
評価4点「思想界の巨人に近づける本」 2005-09-09
レビュアー:韓国の龍(17人中12人が参考になったと回答)
本書は糸井重里が聞き手として、いろいろなテーマにつき吉本の話を聞く形式になっている。テーマの選択の仕方、話の引き出し方に糸井のセンスが現れている。吉本は思想界の巨人だけあり、また詩人・評論家と言葉の専門家だけあって、不意をつかれるような表現が多々あって面白い。20年経って本人が丸くなった為か、読み手の私が大人になった為か、或いは吉本氏の病気入院が契機となって懐が深くなった為か判然としないが、私が抱いていた生硬な考え方をする、ひねくれた頑固おやじというイメージを覆す、味わい深い考え方、言葉が沢山出てくる。

糸井さんも80年代前半の「軽チャー」的上滑り感がなくなっていて真摯さ優しさが出ていて好感がもてる。

本書は単行本としては2001年に発刊されているが、文庫ではその後吉本氏が病気入院した後の2004年に追加対談した内容も収録されており、この内容が圧巻。

評価5点「まずは、誰にでも読める「吉本の本」である、ということ。」 2006-07-25
レビュアー:japanATGC(13人中9人が参考になったと回答)
吉本隆明さんの本は難しいものが多いと言われます。

対談者の糸井重里さん自身、別の機会に
「だいたいぼくには、<吉本本>は難しかったよ」
ということを言っています。

しかし、この悪人正機は誰にでも読めます。
それこそ漢字さえ読めれば、誰でも、です。


内容は、さすが高名な吉本さん。
これまで彼に触れてこなかった人ならば、「新鮮さ」を存分に味わえます。

「新しい考え」に触れたときの、あの高揚感。
僕はこの本で吉本隆明に出会えて幸せです。


「読みたいけど、難しいんじゃないか」
そう心配している人には間違いなく「買い」ですよ。