いもづる式 トップに戻る ヘルプ

書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

隠された証言―日航123便墜落事故 (新潮文庫)
隠された証言―日航123便墜落事故 (新潮文庫)
click for big image

 

新潮社

¥ 540

文庫

売上ランク:16734位

2006-07

Amazonでの販売状況

→通常24時間以内に発送

amazonで詳細を見る

ユーザーレビュー一覧(全10件 平均:4.5)

評価4点「こういう著書の存在は賞賛に値するが、、、」 2006-10-19
レビュアー:よ(15人中12人が参考になったと回答)
広く知られるべき内容が書かれている。しかし、文庫版あとがきだけ読めば、分かる人には十分かもしれない。

自衛隊の不可解な行動、ボーイング社の自社権益維持優先の対応、事故調の情けない小役人ぶり、確かに腹立たしい。ただ、20年経ったネット社会の現在では、あの時のような情報操作は難しくなっていると期待したい。また、著者のような信念に従って行動する専門家が存在しただけでなく、著者のような行動力は無くとも、良心に従って行動を起こした内部告発者が居たことは、やはり喜びたいし、ネットの時代は、そういう人達に有利であることも信じたい。

基本的に、私はこの著書を賞賛したい。でも星1つ減点なのは、次ような理由からである。

1)事故原因の究明は重要であり、事故調査再開という著者の主張にも全面的に賛同する。しかし、事故後20年経ったが、123便と同様の事故は起こっていない様子である。であれば、事故原因は、あの機特有の問題であった可能性も高まっているのではないだろうか? 機個体の問題なのか、機種の問題なのか、これは非常に重要な問題であると思うが、この点について20年という時間を生かした検証が不足しているように思われるのが非常に残念。
2)自衛隊の初期行動に不可解な点が大きいことがよく分かるように、客観的に書かれているし、著者も陰謀説に与している訳でないことも分かる。著者は、墜落現場の発見を遅らせるような意図が働いた可能性が高いことを合理的に指摘しているが、そいいう意図の背景の推察について、歯切れが悪いように感じたのが残念。

事故調査再開を期待したい。
評価5点「決して昔の話ではないことがよくわかる」 2006-08-25
レビュアー:mfhty(15人中11人が参考になったと回答)
 1985年8月12日、520名もの死者を出した日航123便事故。今でも、お盆に遺族らが墜落現場である御巣鷹山に登って行う慰霊・祈りがニュースで流れる。だが、遺族や関係者でない多くの人にとっては「過去の」事件だろう。
 しかし、この本を読めば、この事件が決して過去の事件ではなく、改めて事故原因を追究すべき、「現在進行の」事件であることがよくわかる。
 著者は、事故調査委員会の調査結果(機体後部の圧力隔壁が修理の際の不手際が原因で破壊し、これにより尾翼が破壊、飛行機はコントロール不能になったという説)が根本的に誤っていることを、論理的にしっかり論述している。特に、圧力隔壁が破壊されると急激な減圧が生じるが、生存者の証言や機体のフェイルセーフ構造からすると、そのようなことがありえないという主張は説得力がある。また、このような調査結果を導いた事故調査委員会は、修理不手際説をとるボーイング社の意向(修理の不手際であれば、事故があった機体だけの問題だが、尾翼の構造など747の本来の機体構造が問題なのであれば大打撃をこうむる)を忖度しながら、結論を導いているとしている。
 この本は、運輸省や事故調査委員会の閉鎖的で情報を外部に出さない体質、一方で、運輸省内部関係者からの情報リークがあることなど、事故そのものにとどまらず日本の官僚組織の体質も明らかにしている。
 さまざまな面で、貴重な示唆が得られる本なので、航空マニアだけでなく、広く読まれるべき本だと思う。
評価5点「真実を求めることこそ、さらなる「安全」への一歩」 2006-09-14
レビュアー:fujii7(11人中9人が参考になったと回答)
 事故から20余年。
 元日航機長である著者が、事故調の最終報告書に対して「隠さざるを得なかった」と指摘する真実を生存者の証言、ボイスレコーダー、フライトレコーダーの記録などから求めていく。
 事故調の最終報告が報道されたとき、これが真実なんだと鵜呑みしていた自分も反省を促された。まさに「真」の真実を求めていく著者には感服する。
 日航機123便事故については、多くの著書がある。一部には陰謀説を展開しているような著書もあるようだが、この著書はそれらと一線を画している。
 ICAO(国際民間航空機関)の国際条約に基づいて、政府・国土交通省は、再調査を速やかに再開しなければならないと、著者は結んでいるが、この著書を読む限り、まさにその通りと深くうなずきながら、この本を閉じた。
 ただ一点、ボイスレコーダーの記録が最後に付されているが、もう少しわかりやすければと思う。その点は、米田憲司著『御巣鷹の謎を追う−日航123便事故20年−』もあわせて読むと理解がより進むだろう。
評価5点「再調査を希望」 2006-12-09
レビュアー:vatmideo(9人中7人が参考になったと回答)
怒りという感情を抑えた、よくできた本です。
この本を手に取るまで、日航123便は圧力隔壁の修理不完全という報道を信じていました。大阪在住なので、当時この便にも何回か乗ったことがあり、また知人・友人にも犠牲者がいたので、今まで騙されていたような気がしています。
実際、圧力隔壁の損壊であれば、相模湾上に新聞や雑誌、毛布などが散逸しているはずで、著者の指摘は尤もです。著者の主張するように、新しい事実が出てくれば、再調査をするという運動が始まることを期待します。
なお、これから読まれる方は、P.95と105、193の地図とグラフは読み進む上でとても参考になります。事前に付箋をつけておくことをお勧めします。
評価5点「真面目な考察」 2007-09-17
レビュアー:isayamabushiko(5人中4人が参考になったと回答)
 隠された証言、という表題ですが、際物ではなく、真面目な考察です。事故調査委員会の結論は、当初から専門家の間でも疑問の声が上がっていました。現役のパイロットも「(事故調の結論したような)急減圧はあり得ない」と言っていましたね。今も日航の労組は再調査を要求しています(それにしても、この会社の労組ってやたら沢山あるんだよね。羽田沖事件であれだけ批判されたのに全然体質が変わってないなあ)。労組がからんでいるので政治がらみになって再調査が行われないとしたら危険な話です。この本を読んで、純然たる工学的観点からも再調査が必要だということがよくわかりました。
 「ジャンボは堕ちない」という安全神話があります。私なども長年素朴に信じてきました。ジャンボ機の事故が多いのは、単に就航機数が多いからだろう、と考えていました。この本のあとがきで、最も死亡事故率が高い機種だと知って愕然としました(100万フライトあたり0.84)。ジャンボももうすぐ退役すると思いますが、今でもたまに搭乗することがあります。怖い話です。