ユーザーレビュー一覧(全30件 平均:3.5)

「いい意味で軽い話」 2007-02-17
レビュアー:アップル(9人中9人が参考になったと回答)
三話目のフィッシュストーリーを読んで、明日自分が生きる事で世の中の何かが変わる可能性があるとゆうことを知りました。無駄な事なんてないんですね。誰かの些細な行動が全てを変える力をもってるんです。変な宗教の勧誘の様になってしまったけど、そんな事を考えさせられる美しい話を伊坂さんの才能によって相変わらずいい意味で軽く、オシャレに教えてくれます。四話目のポテチはいいですね。母親の愛を感じる作品でそれを上手く作品とリンクさせています。黒澤さんは恰好いいけど、僕は今村の方が人間らしくて好きかな。個人的に最後のセリフを読んだ時にウルウルきました。

「危惧していたタイプの本が出版されてしまった」 2007-03-03
レビュアー:naonao-703(18人中9人が参考になったと回答)
伊坂幸太郎作品が好きで、毎回新作を愉しみにしてきましたが、
危惧していた本が出版されてしまいました。
それは、固定ファンが出来た伊坂幸太郎だから出版されてしまった程度の本に思うからです。
書き下ろし作品も掲載されて、デビュー作も味わえる本なのですが、正直肩透かしをくらいます。
それは、積み上げてきた伊坂作品に対する期待に沿わない本だからです。
これまで読んできた何かに似た作品、デジャブのような作品、洗練されてない作品に、読む手が何度か止りました。
伊坂幸太郎を初めて読もうと思ってこのレビューを読んだ人は、どうかお願いです。この作品は最期に回して下さい。『ラッシュライフ』をどうか先に読んで下さい。

「テンポ良く快調に読み進められる伊坂作品に潜むユニークさを知ろう!」 2008-04-30
レビュアー:Tsukaya(10人中8人が参考になったと回答)
本書には、「動物園のエンジン」、「サクリファイス」、表題作の「フィッシュストーリー」と書き下ろしの「ポテチ」の計4作品が収録。読みたい彼の作品は他にもあったが、今回は「祝!本屋大賞」という帯文字が目に留まり購入。
最初の「動物園のエンジン」は短いうえにさほど面白さを感じなかったが、続く作品はどれも読み応えがあった。「サクリファイス」は結論的には大したことが判明するわけもなかったが、結論に至るプロセスの筆致が巧みであった。本書では二度登場する、なかなかの渋さを醸し出す黒澤と老婆との会話がなんともいえず絶妙であった。「90歳の慧眼か」という黒澤の呟きに対する、「だから、90じゃなくて92だって言ってるべ。この二年だって、充分大事だったんだから、飛ばさないでほしいんだよね」(78頁)という老婆の応答はまことに微笑ましい。映画『阿弥陀堂便り』に登場した91歳の老婆の口調や姿と、私の脳裏では重なった。この老婆の話し方や人柄は、最終作品「ポテチ」における今村の母親を間違いなく想起させる。
今村の母親と彼の彼女である大西との会話もなかなか愉快だ(今村の母親の面白さが際立っているんだが)。最初はなぜ「ポテチ」というタイトルか即座に掴めなかったが、231頁にある大西の言葉からすぐに分かった。空き巣を仕事にしている今村はたしかにある種の出来損ないといえるかもしえないが、実は母親想いの良き青年である。母親と息子―母親は自分の本当の息子を知らないが、息子はそれを知っている―という複雑な話であるが、伊坂氏の文体や展開構成によって「重い」話でなく、明るく前向きな、そして最後は「泣ける」締めくくりになっている。本作品が一番心に響いた。表題作の作品へのコメントは他のレビュアーが書いているので、私の言及は割愛しておこう。「繋がり」を充分に感じさせる好作品であり、それは彼の作風を象徴するユニークさの源泉だ。

「つながっているという思いを意識すること」 2007-02-04
レビュアー:レビューマン(8人中7人が参考になったと回答)
変わらず軽妙な伊坂節が展開されています。単にフィクション(小説)と読んでも面白いですが、
モノの考え方(発想)訓練として味わうのも、また伊坂作品の楽しみ方のひとつです。
・マンション建設に反対するためにプラカードを掲げているのか、それとも?
・風習、言い伝えは「なにか」を隠すための方法だったのでは?
本作品では表題作「フィッシュストーリー」がやはり心地よい。
例えば、今こうして書いているレビューを誰かがを目にして、伊坂幸太郎なんてまったく知らない人が興味を持ったとする。本屋に足を運んだが、店頭には一冊しか在庫がない。同時に手を伸ばす人が隣にいた。それは異性。これをきっかけに二人は恋に落ち、結婚、子どもを授かる。そして、何10年か後、飛行機に乗っている時、「あれ」に出くわす。
その時、ひとこと言ってもらいたいな。
「礼なら、アマゾンのレビューに」と。

「伊坂ファン待望の新作!」 2007-02-13
レビュアー:Wakaba-Mark(7人中7人が参考になったと回答)
伊坂幸太郎13冊目の本書は、デビュー直後に書いた短編から、今回書き下ろした中編まで、四つの物語からなる作品集である。
「動物園のエンジン」―デビュー長編『オーデュボンの祈り』のような不思議な雰囲気のある短編。
「サクリファイス」―あの黒澤がスピンオフで、この中編では主人公として登場する。ある寒村で昔から伝わる“こもり様”の風習を、伝奇ミステリー風の道具にして、“本格パズラー”っぽい物語に仕上げている。
「フィッシュストーリー」―表題作。私は本書でこの短編が一番好きだ。ふとした偶然(!?)が、40数年を隔てたところで意外な影響を及ぼす物語なんて、いかにも伊坂幸太郎らしい。
「ポテチ」―本書のための書き下ろし中編。黒澤が今度は脇役で登場する。書下ろしらしく、随所に仕掛けられた伏線を、ラストでいかにも“伊坂ワールド”らしく収斂させる手腕はさすが。
今回収録の作品はいずれも独立した話で、書かれた時期も、テイストもまちまちなので、一冊を通して楽しむということはできなかったが、それでも、とりわけ後半の2作品は、ファンとしてじゅうぶん“伊坂幸太郎の世界”を堪能することができた。