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なぜ君は絶望と闘えたのか
なぜ君は絶望と闘えたのか
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新潮社

¥ 1,365

単行本

売上ランク:747位

2008-07-16

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ユーザーレビュー一覧(全17件 平均:5.0)

評価5点「絶望の淵をあるき、司法の世界を変えた本村さんに感服する」 2008-10-11
レビュアー:サトマン(11人中10人が参考になったと回答)
山口県光市母子殺人事件で当時未成年のFに妻と9か月の子供を殺害された、本村洋さんの3300日間を追ったノンフィクションです。タイトル「なぜ君は絶望と闘えたのか」は事件から最高裁判所での死刑判決までの本村さんの状況をピタリと表現しているように感じた。

 中学時代から難病と闘っていた本村さんは、「子供は授かれないかも知れない」と病院の先生にいわれている。しかし学生時代に弥生さんと出会い子供に恵まれる。自分の命以上に大切にしていた弥生さんと、夕夏ちゃんをある日突然失い、何度も自殺を考えるほどの絶望の淵にたつ。

 裁判の中で見えてくる司法の問題を、出会った仲間らと解決し全国を巻き込んでいくパワー。それは本村さん個人のものではあるけれど、限りない妻と子供への愛がそのような行動を生んだように思います。長い絶望との闘いを終えた本村さんに、新しい人生を歩んでほしいと心から思う。
評価4点「私怨から公憤へ」 2008-10-01
レビュアー:紫陽花(15人中9人が参考になったと回答)
山口県光市で起きた極悪非道な母子殺害事件を克明に追って、時には警察と、時には司法・弁護士と、そして犯人と闘い続けた被害者の夫(父、以下夫で統一)の姿を描いたドキュメンタリー。

夫は最初、被疑者として扱われる。悲嘆の中にいる夫にとっては二重苦である。やがて犯人Fが捕まるが、Fが少年法の対象だった事がその後の裁判に影を落とす。当時の少年法ではFを極刑にする事は不可能に近い。夫は、「日本では被害者の人権が守られていない」と痛感し、「犯罪被害者の会」を結成する。また、裁判の席では、「Fが極刑にならなければ私がFを殺す」とまで言明した。裁判の傍聴に遺影を持ち込もうとして裁判官と争ったりもする。題名に則して言えば、それだけ夫の恨みが強かったと言う事だろう。

しかし、この事件は多くの公憤を併せ持つと言って良いだろう。警察の初動捜査ミス。裁判をイタズラに引き伸ばした司法行政。当時の最高裁の裁判官は厚生省入省後、"あの"社会保険庁長官を務めた人物で、この後批判を浴びて、退任した。デタラメぶりが分かると言うものだ。そして何と言っても許し難いのは、人権擁護を標榜してトンデモナイ詭弁を繰り返した弁護士達である。死後姦淫を「復活を願っての儀式」とFに陳述させるとは三百代言ここに極まれりと言うべきか。弁護士はあの麻原の弁護も務めている。

一つの事件・裁判を追いながら、様々な問題を提起するドキュメンタリーの秀作。
評価5点「社会人たれ」 2008-10-23
レビュアー:まつたけ(9人中8人が参考になったと回答)
本村さんがたまらずに、辞表をだしたときの上司のひとこと。「君は社会人たれ―」
でした。犯罪被害者・家族は仕事をするにも手につかないというのが本音でしょう。それは誰にも責められない。しかし、裁判で戦っていかなければならない。そのとき、職がなければ(国から恩給をうけていながらの主張)では、「遠吠え」になりはしないかと助言した上司がいました。

どんなにつらくとも、君は社会人たれ。

本村さんが歯を食いしばってでも仕事を続けたことが、言動に説得力を増し、言霊にのせて絶大な世論を巻き込むことができたのは、その一理があったと、今となっては思えます。

上司の的確すぎる金言。これにも、まず感動せずにはいれませんでした。

犯罪被害者家族は、残されても生活を継続しなければならない「試練」もかされるわけで、過酷すぎる境遇にあることは容易に想像できます。
評価5点「もっとも考えさせられた書籍」 2008-11-10
レビュアー:読書好き(4人中4人が参考になったと回答)
 ものすごく重い本です。重いといっても重量ではなく内容に深みがあり、重圧感があるということです。

 有名な事件に関する書籍ですので概要はみなさんご存じだと思います。本書ではドキュメンタリーというより小説風に進展していくため非常に感情移入しやすく考えさせられました。ルポなどにありがちな淡々とした展開ではなく会話が非常に多い構成であるためとても生き生きとした内容に仕上がっています。

 本村さんの怒り、やるせなさ、無力感などが自分のこととして感じられる非常にすばらしい書籍であると感じました。法律に無関心な方も少年法について考えさせられるでしょうし、普段自分が不幸であると感じている方も現在の幸せを感じられるようになるかもしれません。人により感じ方はそれぞれだと思いますが読者に何らかのインパクトを与えることができる力のある書籍です。間違いなくお勧めの1冊です。
評価5点「事件を風化させないために」 2008-10-24
レビュアー:前略、amazon様(4人中3人が参考になったと回答)
山口県光市で発生した少年による凶悪犯罪。
事件の過激さゆえにマスメディアに数多く取り上げられながらも、犯罪被害者家族として公共の場で意見や訴えを真摯に述べられる本村洋さんの姿に胸を打たれた方は大勢いらっしゃると思います。

事件の経緯を含め報道の枠を超えた切り口で、裁判制度の実情や置き去りにされた被害者家族の現状から本村さんの葛藤まで細かに描かれています。
最後に、事件の加害者と著者が拘置所で接見した模様が記されており衝撃的でしたが本書の質の高さと内容の深さに感銘いたしました。