ユーザーレビュー一覧(全604件 平均:3.5)

「あまりに強引な話」 2006-04-24
レビュアー:RS(56人中31人が参考になったと回答)
著者の言うことが正論を含んでいることは認めます。
しかし,「現代社会は荒廃している + 昔は良かった」という懐古主義に他ならないと思います。
論理だけでは説明がつかないこともあります。情緒も大事です。でも,論理的に物事を考えなくて良いわけはありません。民主主義や自由主義も完全ではないにせよ,現時点で最良と考えられるシステムです。民主主義や自由主義の問題点ばかりを指摘して,そこに突然武士道を持ち出すのは実に乱暴な議論ですし,しかも,民主主義や自由主義に代わるシステムを何も提唱していません。著者は個人主義を「万人の万人に対する闘争」と殆どイコールのようにとらえているようですが,個人主義についての理解が誤っていると言わざるをえません。このような記述を見る限りでは,著者は到底まともな学者とは思えません。
この本が多く売れたのは,中身が良いからではなく,言うことが単純で,内容を理解するのに深く考える必要がないからだと感じます。参考程度に読むべきで,著者の主張を鵜呑みにするのはとても危険です!この本を読む人が多いということは,自分なりの解釈を通すことなく,情報を受け入れてしまう人が多いことの証ではないでしょうか。
皮肉なことに,日本人の日本語力が低下し,その結果として思考力までもが低下していることだけは当たっているように思いますし,著者自身が証明してくれているようにも思います。

「タイトル負けの本」 2006-08-06
レビュアー:101(54人中31人が参考になったと回答)
とにかくタイトルが素晴らしい本ですが、
内容は偏向した中学生の独白のようで恥ずかしいものでした。
タイトルさえ良ければこれほど売れてしまう、
という驚きを感じることの出来る作品です。

「誇りと自信を持って・・・で、それから?」 2006-12-26
レビュアー:うたかた(63人中31人が参考になったと回答)
日本人は歴史が長くて、独自の文化と価値観を持ってて、とにかくすごい国なんだ。だから誇りを持て。海外じゃなくて自分の国の文化と価値観を大事にしろ。
これも、そう主張するあまたの本のなかの1冊。
こういう本を読みおわっていつも思うのは「で、それで?」ということ。
自国文化、自国の国語を大事に。それは正論だ。でもそのためには具体的にどうすればいい?著者も、同書の支持者も、掛け声はさかんにあげているが、かくべつに何のアクションも起こしていない。
例として、国語を大事にするという主張。それってもちろんいいことだけど、たとえば子どものためには具体的に何をするの?学校で国語の授業を増やし、文法をたたきこむ?それとも作文の量を倍にする?それとも強制的に読書の時間を増やす?また、時間のない大人は国語の教養を増すためにどうすればいいの?・・・一切提言も提案もなし。言いっぱなし。それで何かなしとげた気になっている。まさに現代を象徴する本だと思って、いやになった。
世間への憂いを大声で口に出すときには、その前にまず自分のできることを見つけたい。そう確信させてくれたので★2つ。

「いや、良本ですよ。」 2006-12-27
レビュアー:憩(55人中31人が参考になったと回答)
相当数売れただけ、賛否両論色々あると思います。しかし、私は賛成派。
流石数学者だけあり、又、アメリカで教鞭をとっていただけあり、証明を見せられているような簡潔な分かりやすい表現。しばしば唸る箇所もありました。そして、読みやすい。
キーボード一つで世界の裏側に瞬時に繋がるこのご時世。
全体的にグローバル化しているうねりの中で、単に英語をアメリカ人みたいに話せればいいのか?それで果たして国際人と呼べるのか?と、藤原氏自らの体験から出た、エッセンスが集約されている本だと思います。
実際、日本の外に出た瞬間に日本の看板を私たちは背負っている訳で、その割にはあまりにも日本のことを知らなすぎる自分にふと、外国人との対話を通して気付かされることがあります。
自分の国を愛する心。文化や歴史を大切にする心。たおやかな情緒、そして礼節。
確かに日本は本当に素晴らしい国です。
きっと自分の国を愛しいと思えれば、他の国に対しても思いやりや友情や、大きな愛情を持てるのでしょう。
英語はあくまでもゴールではなく、ツール。結局そのツールを使って、何を表現していくのかは、その人の中身なんですね。自分の国、そして自分の国に住んでいる人達。大切にしたいものです。

「何だかなあ」 2007-03-11
レビュアー:ハオハオ(43人中31人が参考になったと回答)
著者は新渡戸の「武士道」を誤読している。
明治の元武士たちは海外で尊敬されたと書かれているが、実際には人種差別に合い、一部のキリスト教徒が差別をしなかったことで新渡戸はその倫理観に感動し、キリスト教を深く信仰するようになった。
「武士道」の内容としては、西洋ではキリスト教が道徳教育を担ってきたが日本では武士道がそれを担ってきた、武士道は今は消滅した封建制に基づくものであり、武人の教えであるためキリスト教の愛の観念が欠けているが、それらを融合させれれば(つまり武士道にキリスト教を接ぎ木すれば)、日本の新道徳となり得るだろう、と説いたもの。
この本を約百年後に持ち出し、日本には昔から武士道という普遍的価値があったが欧米にはそれがなかった、粗野な外国に合わせず武士道と情緒をもって世界を救うのが日本の使命と主張するのは理解に苦しむ。
どの国の情緒と形にも善良なる部分と幾何かの悪が混じっているもの。
新渡戸は「武士道」の中で、アングロ・サクソン的恣意的妄想を含むキリスト教徒が、自己の善悪なる部分を隣人の最悪なる部分と比較し、それをもって他宗教を貶すことを非難している。
文化や道徳という比較が困難なものを、自国の文化や道徳を「普遍的価値」として比較し、だから自国が優れていると主張するのはどこの国民であっても品格がない。
新渡戸は武士道の欠点として、深遠なる哲学を欠くこと、国民の感情に過ぎ事に激しやすい性質、自負尊大や名誉心を挙げているけれど、それはまさしく的中しているのではないか。
とにもかくも、新渡戸がこの本を読んだら切腹したくなりそうだ。