ユーザーレビュー一覧(全604件 平均:3.5)

「評価が難しいが、読んで損はない本」 2006-01-03
レビュアー:海援隊(42人中26人が参考になったと回答)
評価が難しい本である。数学者である著者が「この世の中すべて論理で片付くと思ったら間違いだ」「論理とは言っても、出発点と条件設定を間違えたらまったく異なる解に行き着いてしまう」「論理よりも大事なのは日本古来からある情緒だ」「日本には情緒がなくなりつつあるから国力も落ちている」などと主張している。論理力をつけるための本がよく売れる世の中で、それとは逆行するような主張なので、「何だこの本は」と、あきれる人もいるかもしれない。ただ、日本が欧米と同じ、論理性の土俵で戦おうとする限りは色々な分野で二番煎じに甘んじるほかなく、他国に敬意を払われるような国になるためには、それ以外のところで頑張るしかないというのはおそらく正しいと思う。それが情緒かどうかは分からないが。こういう考え方もあるんだということを勉強する意味で読んで損はない本だと思う。

「最後に評価されるのは中身」 2006-02-11
レビュアー:Takahiro(46人中26人が参考になったと回答)
安易な愛国論でも、排他的なナショナリズムを主張するのではなく、著者が感じる母国の危機感を素直に表現した本だと思う。
データによる裏づけとか、そんなものは関係なしに、思ったことを表現しているので、受け取る側も共感できるか、できないか、という判断になると思う。
私としては大筋共感できる。
特に、人間として中身が充実していれば、例え英語などができなくても外国人からも評価されるという点。
仕事柄、日本以外の顧客とも接点があるが、英語が下手でも技術の点で確たるものがあれば、通じるし信用もされる。表面的な体裁より中身が大事。
それが武士道かどうかは個人に任せるとして、やはり日本人として産まれているからには日本人の良い所を受け継ぎ、次の世代へ伝えていくべきだと思う。
それが何所でも通用する人材の育成に繋がり、結果として日本に底力がつくんではないかと、本書の著者の考えに漠然と共感できる。

「うーん」 2006-02-21
レビュアー:どら(43人中26人が参考になったと回答)
賛否両論、色々とあるようですね。
それだけ議論をしなければならない内容であることは確かです。
「この本の本質は、どこにあるのか?」は、読む人によって、異なると思いますが、「日本人とは?」ということを歴史的、世界的観点から考える機会を与える本としては、オススメできます。
しかしながら、筆者が考える歴史的、世界的観点がキチンと正確に記述されているかどうかを期待するのであれば、筆者の偏った考察も入っている為に、オススメはできません。プロの文章を期待する方もちょっと…
アプローチの仕方は、自分と異なる点は、多かったですが、
若い人やナショナリズムについてあまり意識しない人が、昔よりも多くなってきたことも事実…。共感できます。
そういったことを含めて考えるよい機会ではないでしょうか。
簡単に切り捨てるべき本では、ありません。読んで判断するべし!

「生きる上では品位が大切」 2006-03-01
レビュアー:希望を探して(48人中26人が参考になったと回答)
日本という国家には品格がないといっています。正確に言えば、昔はあったが今は無い。それは、経済最優先で近代を走ってきた為、品格の基盤となる情緒を失ったからだとしています。情緒を失う理由は幾つかあって、読書をしなくなったことと、どうにでも作り出せる論理を全面に打ち出した為と考えています。
なぜ品格が大切かと言うと、現代で重用されている論理を展開する為には自らの出発点を規定する必要があるが、その出発点を選ぶ能力が情緒に依存しているからです。すなわち情緒が優れていれば、他人にとって理不尽な論理を振りかざす様な事が無いと言っているのです。
感覚的に殺伐としてきた現代において、これ以上の悪化を防止する為には情緒を回復するしかないのです。知識や技術は蓄積しますが、情緒は一代限り。家庭的に社会的に、どの様に情緒を育てていくかを考えねばならないのです。

「大人になるための本」 2006-03-19
レビュアー:野翁(63人中26人が参考になったと回答)
西欧近代の象徴、「平等」「自由」「民主主義」が、いかにむなしい妄想でしかないかを、著者は身近な現実から簡単に立証する。まるで「王様は裸だ!」と言われたようだ。しかもそのユーモアには腹を抱えて笑ってしまう。そして著者は、この「革命の為の屁理屈=自由、平等、民主主義」に替わる、日本独特の概念を持ってきて、その相対的優秀さを示す。
著者は数学者であるゆえに、論理中心の学問の「独善性」がよく分かるらしい。だからこそ、こうも簡単に西洋の近代を、ひっくり返すことができたのだろう。しかも、優れた芸術家一家の中で育ったお陰で、我々の庶民的美意識が、非常に優れた実践哲学になっていることに、早くから気づいていたようだ。
今は、数十年前に「現代っ子」と呼ばれた世代、「西欧の屁理屈で教育された、トラブルだらけの世代」が、政治・経済の中心を担う時代だ。これからの青年が、この世代からの害毒を避け、「日本の大人」になるためには、ぜひ読むべき本だと言って良い気がする。もちろん、「現代っ子」が「良い大人」に戻るためにも、この本は特効薬となるだろう。
それにしても、何と明快かつ愉快な文章だろう。名文だと思う。尚、この本は大手各書店で、アッという間にベストセラーとなり、今も売れ続けている。分かる気がする。