ユーザーレビュー一覧(全604件 平均:3.5)

「武士道精神とて民主主義と同じ道を歩むのでは」 2006-12-04
レビュアー:BOB(34人中26人が参考になったと回答)
「論理には出発点(仮説)が必要であり、仮説を選ぶのは論理ではなく、それを選ぶ人間の情緒である」と筆者は述べ、だから真のエリート教育や武士道精神が必要なのだと言う。だが、真のエリートによる政治や武士道華やかしき頃の政治が、現在の状況と比べて段違いに優れていたのかには疑問がある。
戦前に比べれば、日本での犯罪発生率は著しく低いといわれている。「真のエリート教育」が行われているイギリスでも贈収賄は耐えないし、武家政治の頃にも賄賂は横行していたという。現代のいじめも陰湿だが、戦前のマッチョな思想に基づく根性論により行われてきたシゴキは大義名分があるだけ救いようが無い。
「盧溝橋事件以降の中国侵略という卑怯な行為に走ったのは武士道精神の衰退によるもの」との筆者の考えは、民主主義が衆愚政治に落ちていくプロセスと同じのように私には見える。武士道精神とて、民主主義同様、人間という種には、美しすぎて適していないかもしれない。
武士道精神の素晴らしさに依存は無いが、手放しに賞賛するのは短絡的過ぎないか。
しかしながら、「情緒力は蓄積しない」、「卑怯を憎む心」、「ダメなものはダメ」、「英語より国語教育」などの点では溜飲を下げさせてもらった。

「論理「だけ」を徹底すると・・・。本書のポイントは「だけ」の部分」 2007-02-12
レビュアー:手帳の達人(44人中26人が参考になったと回答)
現代を荒廃に追い込んだのは「自由」や「平等」である。
なるほど、論理(だけ)を徹底することによって間違った指摘をしてしまう。
(第1章〜第3章)
論理(だけ)を徹底しても人間社会の問題は解決できないと説く。
その理由として、人間の論理や理性には限界があり、
人間にとって重要なことの多くが理論的に説明できない。
論理には出発点が必要だが、それは、主として人の情緒によって選ばれ、
一般の世の中では論理は長くなり得ない。
したがって、論理の出発点を正しく選び出すためには、
論理に日本人の持つ美意識である、
「情緒」、「形」を付加付与せねばらならないという。
(第4章〜第7章)
著者の言わんとするのは、「情緒」や「形」の重要性。
第1章〜第3章に感じ入った方は、
「情緒」「形」「武士道精神」についての考察の、
第4章以降をじっくりと読み込んで欲しい。

「国家の品格の書評」 2005-11-22
レビュアー:藤原贔屓(57人中25人が参考になったと回答)
本書こそは長年(と言っても良いであろう)の著者の論理、倫理と哲学の集大成である。日本人の読書人にみならず学生諸君にも心から勧める。 This is a must read.である。
英語の早期教育は書評者本人が60年も英語を勉強し且つ使用してこそ自信をもって言えるのだが国際化とは殆ど限りなく無関係である。本人がどれだけ文化と教養に裏づけされた自信を持ってるかだけで英語力とは関係なく尊敬される事が有りうる、但し全く英語が出来ないのもチョットは困るかな?と言う程度である。我々がどれだけの考えと文化、歴史があるだけで西洋では、勿論東洋でも評価される。本著にある卑怯の考え方が判らないから政治家や官僚までここまで劣化したのだ。今の大国にも卑怯者が多い。無抵抗の市民に原爆を落としたのだから。翻訳して欧米人にも読ませたいと心底から思う数少ない著作である。Samuel Johnsonの皮肉をイギリスで引用したときのイギリス人の驚いた顔を思い出す。その後態度が変わったから。

「目から鱗が……」 2005-12-22
レビュアー:とんちんかん(48人中25人が参考になったと回答)
いちいちうなずける本でした。愛国心とかナショナリズムを宣揚する内容ではなく、国や国民が美意識を持たないかぎり一流国にはなれないという論旨が貫かれています。数学というのは自分に縁のない科目だと思っていましたが、数学者がこのような本をお書きになることに興味を惹かれました。

「教師の皆様は、ぜひ。」 2006-01-08
レビュアー:kaz-p(54人中25人が参考になったと回答)
文庫「祖国とは国語」の内容とかぶる部分が目立ちますが、
講演会の内容に加筆されたものだけあって、
非常にテンポ良く読むことができます。
大学教育に携わる者の端くれとして、新入生の知的内容が
年々低下しているのを目にする私には、
著者の意見には、いちいち納得できます。
学校の種類を問わず、教師の皆さまには
ぜひ一読していただきたく思います。