ユーザーレビュー一覧(全59件 平均:4.0)

「ベストセラーの誘惑」 2006-02-14
レビュアー:かすたまぁ(15人中9人が参考になったと回答)
『バカの壁』に続き、ついつい「誘惑」に負けて勝ったしまった。
私には、特に目から鱗的な発見はなかったものの、ややもすれば単純な一元論や二元論の誘惑に負けやすい高校生や大学生が読むには良いと思われる。
結局のところ、養老さんは、世の中は黒か白かの世界ではなく、グレーの世界であって、清濁併せ呑んで判断せよ!と仰っている。例えば、遺伝子組み換え作物(耐農薬遺伝子・耐害虫遺伝子を付加された作物)をめぐる議論においても、対立する意見が「科学的」に出されており、素人にはどよく分からない(ヨーロッパやアフリカでは、グレーなので使わずという方向(予防原則)に進んでいる。もちろん、遺伝子特許に対する食料安全保障の意味もある。EUは、全面解禁にすると同時に規制を厳しくし、名を捨てて実をとった)。私たちは難しい問題を前にしたとき、感情的に吹き上がったり原因を単純化したりしやすいが、こうした「バカ」を回避させたいが為に養老さんは、次から次へと本を出しているように私には思われる。
余談だが、多くの国民が、「憲法は国民が守るもの」という「バカの壁」を脱し「憲法は国民から統治権力への命令」という世界の常識を踏まえない限り、民主主義もクソもないような気がしてならない。

「考えるための指針として」 2006-01-19
レビュアー:忍者 悟(15人中8人が参考になったと回答)
とある人から勧められ、私自身も以前から養老氏に興味があったので、読んでみた。
本書の内容は、これといって難しくもなく分かりやすいのだと思う。「こういう考え方もあるのかな」と思わせるところがあるのが本書なのだと思う。
「戦争責任の問題(P94)」と「靖国の問題(P108)」と題された題された箇所があるので、そこに興味のある人は読んでみるといいのかもしれない。だが、それらの箇所は別に緻密な分析とか研究というわけでもないので、そうしたものを期待するのなら別の本がよいのだろう。
本書のまえがきには<この本は、『バカの壁』『死の壁』の続編だという事になる......相談をするときに、具体的な答を期待する人がある。それはおかしい。自分のことは自分で決めるので、相談とは、根本的には「考え方」についての疑問である>とある。
具体的な答えを期待するのは基本的におかしいものとしか私には思えないのだが―、ともかく、『バカの壁」と「死の壁」は私は読んでいないのだけど、前作もこのような考えが基底にあり書かれたのでないだろうかと、そんな気がした。
答えというのは、基本的に自分で考え、自分で判断するものだ。そのための「指針(または教える)」というのは存在するのだろうが、その指針から、どのように考えるかとか正しいとかというのは、その人次第だとしか言いようがない。
そしてその指針として、この本書は私の中では優秀な部類に入る。

「頭がすっきりする」 2006-01-21
レビュアー:パートリッジ(17人中8人が参考になったと回答)
書いてあるのは著者の私見ばかりである。
しかし、そこにある考え方はいつでも私たちが取り入れられるものであり、しかもそれを取り入れると、確実に世界の見え方が変わってくる。
「バカの壁」よりも最近の問題(ニートや自分探し、靖国問題等々)を扱っている分、内容は親しみやすく、取り入れやすいものになっている。
「頭でっかちにならず、こんな風に物を見たらどうですか」と優しく語りかけてくるような感じで、読後は頭も体もスッキリした。

「私の視界を広げてくれた。」 2006-01-22
レビュアー:エム(20人中8人が参考になったと回答)
著者の例題が多少突飛な部分があり、首を傾げてしまう例もあるが、
著者が言いたいことはほかの著書でも一貫性があり。
私の視界を広げてくれた。
細かい例題等に粗を探すような読み方をしなければ十分指針を示してくれる本だと思う。
私なりの解釈.
都市=意識中心の世界では「ああすればこうなる式」の考え方がはびこる。
このボタンを押せばご飯が炊けるように、なになにをすればこうなる。
人間が意識の中で生み出したことを実行した世界=都市。
草が生えれば、人間が意識して植えた訳ではないので、それはすべて雑草となる。
その一方的な考え方「ああすればこうなる式」の考え方が果ては、
一元論(自分の価値中心の一方的な考え方)となる。
その一元論の考え方が現存の戦争や宗教の段末であろう。
それがバカの壁。
自然界では「ああすればこうならない」ことが多い。
人間は自然の中に住んでいる。人間自身も自然だ。それが都市=意識中心の世界では
弊害が出てくる。
ゆえに自然に触れることを増やすことにで、一方的な考え方で考えない2言論で考えることを広げてくれる。
バカの壁の壊し方の一例である。
参勤交代により農家で働いたり、虫取りを推奨するのも著者の自然にできるだけ触れる
機会を作る為の例えであろう。
ーー
著書では「無思想の発見」「いちばん大事なこと」がおすすめ。

「常識というものの考え方を理解している人が書いた数少ない本」 2006-01-29
レビュアー:ディレッタントもどき(23人中8人が参考になったと回答)
あたりまえのことも分からないのは、まともなバカであることは、常識である。誰しもこまった人である。
「あたりまえ」「まとも」「常識」「こまった」という言葉が、養老氏の文章にはよく出てくる。
この本は「バカの壁」「死の壁」に続いて、「じゃあ、どうすればいいのか?」というこまった人の疑問に答えて書かれたという。
養老氏もさぞかし「こまった」と思われる。
お腹のすいた人には、魚を与えるのではなく、魚のとり方を教えるのが良い。
常識というものの考え方を理解してもらうには、常識というのはものの考え方であることを示すしかない。
本書には、養老氏の老人(失礼)としての知恵がたくさん書いてある。
理解や誤解のきっかけがたくさんばら撒かれている、とてもまともな本だと思う。
こんな老人のことを文化的というのでしょうな・・・。