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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
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中央公論社

¥ 800

文庫

売上ランク:661位

1991-08

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ユーザーレビュー一覧(全72件 平均:4.5)

評価5点「日本人の行動特性は変えられないのだろうか」 2006-03-06
レビュアー:海援隊(52人中46人が参考になったと回答)
旧日本軍がどうして第二次大戦で負けたのか、ターニングポイントとなったミッドウェー、ガダルカナルなどいくつかの代表的な戦いのケーススタディを通じてその理由と、失敗から得られる教訓を導こうとしている。共著の本にありがちな問題として、文体が変わってそれぞれの章が読みにくいという難点はあるものの、中身はなかなか詰まっている。ケーススタディを通じて、(1)自らの価値観への傾倒と過信、(2)論理性の不足を補うための精神論への依存、(3)対外的な情報収集能力のなさ、(4)組織の硬直化、(5)組織内のコミュニケーション不足など、現在の官僚組織にも通ずるような問題点を明らかにしている。一番なるほどと思ったのが、米軍と日本軍の比較で、日本軍には遊びがなかったという指摘。すべてが順調に進むことを前提に、余裕のないスケジュールと兵站で作戦を組み立てるといった物理的な余裕のなさだけでなく、戦時中にテニスを楽しむなど米軍の持つ精神的な余裕のなさの両方を指しているのだが、これも現代の日本人に通ずるところである。国民性と片づけてしまえば元も子もないが、何とかならないものだろうか。
評価5点「今、考えないといけないこと」 2003-09-29
レビュアー:livingston_montana(47人中40人が参考になったと回答)
本著は言われるまでもなく、組織論の名著であります。

今の日本は、売上の拡大や、シェアのアップなど
高度成長期と同じ成長モデルでの
企業の成長は難しくなっており

本著を通じ教え考えさせられる組織のあり方、
現在の複雑系な組織の中でも、
基本的な組織のあり方は単純なモデルであり、
そのモデルの構築をいかようにすべきか
考えさせられました。

また、10年後、経験をつんでから
再度、読み返さなくてはならないと感じました。

評価4点「社会学的な見地」 2002-11-12
レビュアー:平和(31人中29人が参考になったと回答)
失敗および組織の社会学的研究の題材として第2次世界大戦で敗北した日本軍を取り上げています。こういう見方で旧日本軍を観察することに対する目新しさを感じました。また、日本軍の組織が日本的集団主義、つまり官僚制を採用しながら情緒性を重視する中途半端な組織であったために一つの失敗が多くの失敗を誘発してしまったという考え方を一つの柱として書いています。これは旧日本軍に限ったものではなく現在の日本の政界および会社組織にも当てはまることであり、現在の日本の状況は、この本に書いてあるように失敗の本質を十分理解し、反面教師としない日本人的考え方に基づくものであるかもしれません。
評価5点「何度も読み返したい、いや読み返さなければいけないと思わされた」 2007-07-06
レビュアー:鈴木純一(43人中29人が参考になったと回答)
ノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄での6つの作戦を、戦略、情報、資源、兵站、組織といった各面から分析した組織論の好著。敵の過小評価と自己の過大評価、空気によって支配される議論、人的ネットワークだけに依存する「間柄」中心の意思決定、信賞必罰の不徹底など、いずれの作戦にも顕著な現象がそれぞれ解説される。これらは現在の組織にも散見されることであり、その意味では非常に有益であり、ときどき耳の痛いこともあり、大いに教訓的だった。

最も印象的だったのは、強烈すぎる成功体験から逸脱することを許さない定型的な教育から過剰適応がうまれ、結果として適応能力を締め出し、凝り固まった「ものの見方(パラダイム)」に縛られたこと。そして、異質なヒト、情報、偶然を取り込むことなど皆無で、結局組織的なイノベーションが起きることも皆無だったということ。

何度も読み返したい、いや読み返さなければいけないと思わされた。
評価5点「旧日本軍の組織と現代日本の組織・・・これは名著である。」 2007-05-04
レビュアー:正義の味方(32人中28人が参考になったと回答)
ハードカバーの初版から丁度23年、この書は名著である。文章は良く内容はとても面白い。様々な点で、日本人は全く変わっていないと思い知らされる。作戦司令部は兵站無視、情報力軽視、科学的思考方法軽視の風潮があり、独自の風土で硬直的に官僚的な思考で、現場を見ることなく机上でのプラン作り、その上に無責任極まりない。一方で現場に行く参謀本部作戦課の辻政信班長のように、現場で独断専行、無茶苦茶なことしてくれる。闇雲に突破一辺倒と敵戦力の過小評価の牟田口中将は科学的な数字、情報、合理的論理性がない。ある空気によって支配される議論と空気、その場しのぎの中途半端な行動、コンティンジェンシー・プランの欠如、超エリート集団の強固で濃密な人的ネットワーク、「間柄」中心の組織意思決定、その決定の遅れと重大な失敗、相手の過小評価と自己の過大評価、知識・情報の共有の無さ、士官学校、陸大での暗記中心、定型的な教育、信賞必罰の不徹底、どれをとっても現代日本の身の回りにあるようなことで、非常に参考になる。