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「冷静な分析に好感の持てる労作」 2003-12-05かつて、戦友の遺骸を収容する「戦場掃除」を名目に、不毛の地の国境紛争から順次発展したノモンハン事件。一司令官の妄想を妄想と知りつつ、彼の顔をつぶすに忍びないという仲間の愛情から決行されたインパール作戦。敵輸送部隊を目前に、非戦闘部隊への攻撃を潔しとせずに見逃したレイテ作戦などを見ても、この国の軍隊は結果を問わないサムライに率いられていたのだ。目的と手段との整合性に価値をおかない体質、結果への想像力の欠如、これらがあいまって行為の動機だけが重視される、世界にもまれな美的な精神史を作り上げた。さらにこの国の戦争指導者には、失敗への浪漫性のようなものがあったのではないだろうか。スターリンへ報告されたジューコフの日本軍評にある「司令部は無能」のひとことにこそ、世界の客観的な評価があると思われるのだが。
本書は社会科学の手法で旧軍の行動様式を分析したたいへんな労作だが、これからは文化人類学的な価値体系から見た分析も、もっと必要なのではないかと感じられた。
日本の軍隊は強いのだから敵を殲滅すればいいとした、いかにも臆病な都知事の辻政信的積極発言はさておいて、どうしても自衛隊をイラクに派遣するという現司令部が、失敗への浪漫主義者でないことを祈る。
「本質というよりは・・・」 2002-08-11私がこの本を読んで興味深かったのは、日本軍という組織が
実は官僚制組織として不完全であったという点である。
いわゆる下士官の独断を許す、下克上があり、
信賞必罰が徹底されなかった。
攻勢の独断は許されたが、撤退の独断は許されなかった。
攻勢のミスは大目にみられたが、消極的と見なされると厳罰が下された。
以上のような指摘は、失敗を恐れず、好機を見逃さない反面、
個人的な情緒!と無謀な攻勢がみられた日本軍の
性質をうまく指摘している。
全般的にやや失敗に傾きすぎだという点があるが、
(つまりアメリカ軍が何もかも優れているというような視点は少し問題があるような気がするが)
「日本軍がどうしようもない」だけでなく、
何に問題があり、どういう点が米軍と異なっていたか
という点についてうまくまとめられている。
「理念なき国のゆくえ」 2005-06-16
「反戦主義かどうかというスタンスで読んではならない」 2002-12-13
「少なくとも、戦史として読む本ではない」 2004-04-11だからこそ、ノモンハン、ミッドウェーといった
部分局面、それもあくまで戦術指揮官の意思決定面といった
ある意味「偏った」議論に終始するのである。
著者たちが「この6つで十分」と言い切るのも理由はそこにある。
組織論の事例以上のものではないから、それぞれの戦闘の
惨状にもさほど触れていない。
そういう目的意識でこの本は読むべきだと思う。
そこが見えていなければ、この本は議論が中途半端だ、
というだけで終わる危険がある。