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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
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中央公論社

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文庫

売上ランク:1190位

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ユーザーレビュー一覧(全73件 平均:4.5)

評価4点「もっともっと研究してほしい」 2004-01-25
レビュアー:かほひめ(15人中11人が参考になったと回答)
 この本を読んで最初に思ったことは、日本は戦後50年以上たっても、基本的には変わっていない、ということ。つまり、失敗から学ぶのが下手だということです。自分のまわりを見てみればよく分かると思います。その場しのぎの解決策、10年後20年後を全く見据えていない企画、これがうまくけばその次もきっとうまくいくという根拠のない自身。。。どうしてでしょう。あれだけの犠牲を出して、もっと学ぶことはなかったんだろうか。

 本を読むにつれて、あの戦争では亡くならなくてもいい人がほんとにたくさん亡くなったんだ、と哀しくなってきました。たとえ、いくつかの戦闘で勝利を収めていたとしても、結局は負けたんだと思います。でも、もう少し日本人が自分の失敗を生かす作戦を立てていたら、少しでも犠牲が少なくて済んだのではないかと思ってしまう。

 分析を6つの戦闘に限っているので、もっともっとあの戦争について分析することがたくさんあるでしょう。こういった研究をもっとすすめてほしいと思います。

評価5点「現在もなお生きる教訓!」 2005-12-12
レビュアー:アジアの息吹(15人中11人が参考になったと回答)
本書はさまざまな分野の専門家集団が、
戦史研究に社会科学的方法論を導入し、
大東亜戦争史における日本軍の失敗を分析した書である。

約20年前、1984年に刊行されているにもかかわらず、
日本軍の失敗の本質(第二章)と教訓(第三章)については
激動する国際政治・経済情勢のなかにあって
現在も尚、倣うべき貴重な示唆に富んでいる。

一例を挙げれば、「主体的に進化する能力のある組織」
=自己革新組織の創造を、日本的企業組織が
今後問われるという指摘は、シンプルながら
今も達成できていない課題だという気がする。
評価5点「戦略は組織に従う」 2002-04-29
レビュアー:tgs2001(12人中10人が参考になったと回答)
私は、日本軍を題材にした企業組織論として読みました。
本書でも結びで、日本軍が持っていた組織特性を非連続的に受け継いだのが企業組織であろうとしています。(P396)

日本軍の失敗の本質は「環境に適応しすぎて失敗した」という「適応は適応能力を締め出す」ということです。

過去の成功体験が強烈だったため、成功モデルとして教条的になり、新しい戦略が生み出せなくなってしまった・・・あなたの組織はどうですか?

アンソフの提起した「戦略は組織に従う」という命題が、日本軍は合致していたことが見て取れます。

評価4点「まだ続いている失敗の素因」 2004-08-28
レビュアー:powder1000(11人中10人が参考になったと回答)
 原著の発行から20年、文庫本化から10年以上経過した今、遅まきながらこの本を見つけた。
 多くのレビューで記されているとおり、今でも色あせない論理を持っているし、現代の企業に通ずるところがある。

 著者らの論の中で個人的体験から惹かれた記述として、過度な精神主義、彼我の冷静な戦力分析の欠如、過去の成功体験からの未脱却の3点があった。いずれも私が今まで属してきた企業組織で顕著に語られ、そして失敗の原因のひとつであったのだが、この著作が見事に類似した状況を記していることに驚きを隠せない。

 特に、真珠湾攻撃がある一定の成果を挙げたにもかかわらず、その分析が不充分で次に生かせないという記述は、あまりに私の個人経験に類似していた。20年前の著作であるので今となっては食傷気味の内容がないとは言えないが、逆に現在でも類似した状況が存在するということはこの著作にある程度の有効性がしっかりと残っている事の証左だと思う。

 この著作にかかわらず、多くの著作で失敗の原因が論じられているにもかかわらず未だに進化できない我々の行動規範に忸怩たる想いを喚起させられてしまう。
 旧日本軍を題材に失敗を論じた書籍は多くあるが、内容的な面からも価格的な面からも、概論の把握あるいは入門としてこの著作は適しているのではないかと思う。

評価5点「高度経済成長期やバブル期ではない今こそ読むべき」 2006-02-27
レビュアー:time423(12人中10人が参考になったと回答)
日本は太平洋戦争で負けたが、この本は諸作戦の失敗を
組織としての日本軍の失敗と捕らえて分析しようとする
内容である。
作戦目的のあいまいさや現地と中央のコミュニケーションの不成立、
戦闘における過度な精神主義の誇張など、現在の企業組織に通じる
要因が挙げられている。
逆に、よくそうした状況で国際連盟の常任理事国になるなど
世界の強国の一角となったものだともいえる。

序章で、「日本軍の組織的原理や特性は、すべてがいかなる
場合にも誤りではなかったであろう。日本軍の組織的欠陥の
多くは、大東亜戦争突入まであまり致命的な失敗を導かなか
ったともいえるかもしれない。すなわり平時において、不確
実性が相対的に低く安定した状況のもとでは、日本軍の組織は
ほぼ有効にきのうしていた、とみなされよう。」と書かれている。

第一次世界大戦では、英米の連合側に参加しており、しかも、
戦闘というよりも、参戦国に対する物資補給に力を注いだために
経済成長し、戦後の大国としての地位を得たと言われている。
そして、そうした環境化では日本軍の組織は問題なかったと
言うのである。

これは、まさに高度経済成長期には成功したが、ニーズや
イノベーションの変化が激しい現在において、多くの日本企業
が苦しんでいることに通じる命題だと感じる。

バブル以前に出版された本であり、出版当時に注目されたか
どうかは分からない。が、失われた10年を経てようやく景気に
好転が見られる現在、川の流れに乗って船を進めるのではなく、
自ら戦略や組織を再構築して、仮に川上に向かってでも進める
推進力を得たいと思う。

しかも、川幅はグローバルに広がってきていて、流れも
ドッグイヤーと言われるほど速くなっているのが現状である。