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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)
科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)
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日本放送出版協会

¥ 1,176

単行本

売上ランク:47035位

2005-01

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ユーザーレビュー一覧(全21件 平均:4.5)

評価4点「とても読みやすい科学哲学入門書」 2006-03-16
レビュアー:Y. Naito(18人中17人が参考になったと回答)
科学立国の国でありながら、日本の教育課程ではそもそも「科学とは何か」を教えない。科学とは何で、神話や宗教とはどう違うのか。科学はどうしてこうも「成功」し、この星の文明に多大な影響を与えたのか。なんてことを考えるための手がかりは、ありそうであまりない。

科学哲学とは、科学という営みそのものを研究する分野だが、上に書いたような素朴な疑問を考えるために気軽に紐解けるような入門書は多くはない。そんな中で、本書は非常に読みやすく、しかもけっこう深みのある科学哲学入門書であり、他にほとんど例をみないかもしれない。

科学とは何か、を考えてみたい人が最初に読む一冊としてオススメ。
評価4点「この本でようやく「理解できた」感じになりました。」 2005-09-06
レビュアー:喧(19人中16人が参考になったと回答)
科学哲学って高度に専門的で、正直難しい。けど、20世紀、現代思想の重要な駆動力のひとつとしてかなり派手な役回りを担った分野でもあると思う。

僕はかつて「科学的であるとは誤りであることが証明可能なことだ」という実に鮮やかなカール・ポパーの議論にすっかり感心してしまったものです。うまい!と膝を打ちましたね。

科学の実際の歴史はポパーの見方のとおりには動いていないとするクーンのこれまた衝撃的な「科学的認識は反証よりも科学者の属するパラダイムの維持を最優先する」という議論も深く考えさせる力がありました。ここから反クーンの科学哲学の本流と、クーンを奉じて勢いづく社会学的な科学論(社会構成主義)との長い戦いが始まるわけですが…

本書はその科学哲学本流の議論の推移と核心をリカちゃんとテツオくんとセンセイの三人の対話形式で鮮やかに教えてくれる本。異常に飲み込みが早い二人の生徒の頭の回転がちと非現実的な気もしますが、三人の会話を丁寧に追えばそれだけでいつのまにか、古くはヘンペルの「仮説-演繹モデル」から最新の「意味論的モデル」までの科学理論の本質をめぐる終わりなき(?)議論の全体像をすっかり理解できた気になること請け合いです。

社会学に慣れると、社会構成主義ってものすごくリアルに感じられてしまうものなので、戸田山氏が本書の一部を割くアンチ構成主義の議論にはちょっと異議を差し挟みたくはなりましたし、しかも構成主義のバイブル『科学が作られているとき』をラトゥールとウールガーの共著と勘違いしておられるし(二人の共著は『実験室生活』です)文句なしではないんですが、それはともかく分かりやすさ抜群であることに一切異論はござりませぬ。

評価5点「傑作! 科学哲学入門書にして最前線」 2005-04-25
レビュアー:モワノンプリュ(20人中15人が参考になったと回答)
 科学的実在論と自然主義の立場から、科学哲学の現状の大きな見取り図を、対話形式のきわめて平易な言葉でスッキリと呑み込ませてくれる。
 主要な仮想敵として設定されるのは、思想界・哲学界で現在なお大きな影響力を保っている反実在論・相対主義・社会構成主義などで、ものすごく大雑把に括るならポストモダン派。そういう意味では本書は、アクロバティックな立論を退け、むしろ日常的な素朴な信念に寄り添っていこうとする近年顕著な思想潮流の一翼を担っている。
 ただし、言うまでもないことだけれど、本書が「素朴な信念」を擁護するために展開する議論はきわめて洗練されたもので、仮想敵たちが展開してきた議論はきちんと踏まえられている。著者自身、単純に実在論に戻れないことは承知していて、最終的には弱められた実在論(または強められた対象実在論)の立場に立つ。つまり科学の営為をモデル構築作業と捉えた上で、モデルと実在システムとの一致(同一性)ではなく、さまざまな度合いのある類似関係を想定するものだ。このように科学理論の正当化に確率的要素を導入する手法は、最近の科学哲学のトレンドでもあるようだ。
 また帰納法の有効性をめぐる議論では、「私たちはすでに帰納の中にいるのだ」という地点から出発し、その基礎付けは放棄する。p268に掲げられた2つのフレーズ、「帰納の擁護は循環するが、それは良性の循環である」「帰納の擁護は事実についての探究である」が、著者の極点だろう。文=言語的な基礎付け主義を退け、行為の中で循環を解消しようとする立場と言ってよいだろうが、私などはそこにウィトゲンシュタイン的なものを感じる。
 ただし、私なりの疑問点はある。たとえば著者はモデルを理論と見立てるわけだが、本当にそれが可能なのだろうか? p245に「グラフや図やアニメーションだって、そうした反事実的依存関係のパターンについての情報を与えることができる」とあるが、この遠慮がちで回りくどい言い方には、やはり著者の逡巡を感じてしまう。著者は反事実的依存関係を科学的説明の本質的構成要素と考えるわけだが、それは結局のところ「文」に頼らなければ表現=記述できないのではないだろうか? 著者の言う「モデル」におけるシンタックスや否定、条件の表現などの問題について、もう少し説明を聞きたいと思った。
評価5点「ずぶの素人には最高でした。」 2005-03-01
レビュアー:a-and-p(16人中13人が参考になったと回答)
物理書、数学書、また科学史、江沢洋「だれが原子を見たか」などはそれなりに読んでいるのですが科学哲学にはまったく触れたことはありませんでした。
まず、実在論、反実在論、観念論、社会的構成主義とかいう言葉について
も概ねの意味すら良く分かっていませんでした。

この本を一通り読んで、科学のあり方、考え、そのシステム、批判体系
を眺めることが出来ました。著者は科学的実在論を擁護する立場でいながら
様々なサイドから問題を説明してくれていると思います。
自分は、科学に従事するものとしてこの本を読みましたが、科学をする
人間が科学をとりあえずわからなくてもいいから興味を持って一望すると
いうのに必要性を感じました。

本の最後の方に著者の見解が述べてあります。
もう一歩、科学哲学の本を読む気にさせてくれる本です。

評価4点「ソーカル以降の科学哲学を明快に解説」 2005-02-12
レビュアー:しじみがい(15人中11人が参考になったと回答)
最近の議論を含めて,科学哲学とは何か,何が問題になっているのか,対話形式でわかりやすく楽しく解説した一冊。
社会構成主義などの何でもかんでも相対主義を,どう退けるかについて,著者の立つ科学的実在論を前面に押し出しつつ,見事に語っている。体系的な解説ではなく,素朴な疑問を発端に,素人考えの流れに即して問答をつづけるので,まったくの初学者でも読みやすい。旗色が悪いと言う実在主義陣営に多くの賛同者を得ることに大いに寄与するだろう。
最後の「意味論的捉え方」は,シミュレーションによる理解が極めて多くなってきた今の科学には,まさにぴったりの感を受けた。が,最後の最後の「帰納を許す宇宙観」はまさに「前提における帰納」で,ありゃりゃ元の木阿弥だ。けれど,本論にはあまり関係がないのでいいや。
実在派の科学哲学教科書でははじめての,楽しく読め,かつ,本格的な内容を備えた,良書だと思います。