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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家
ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家
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Muhammad Yunus[原著] Alan Jolis[原著] 猪熊 弘子[翻訳]

早川書房

¥ 2,100

単行本

売上ランク:6447位

1998-10

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ユーザーレビュー一覧(全10件 平均:5.0)

評価5点「ジンテーゼ「マイクロクレジット」を構想する知性と行動」 2004-12-11
レビュアー:ダチョウ平雅作(49人中44人が参考になったと回答)
 グラミン銀行は、現在では開発途上国の貧困層の支援策として広く世界で活用されつつあるマイクロクレジットの創始である。途上国はおろか米国等先進国における貧困層の自立支援策としても一定の広がりを見せつつあり、最近では(役所の刊行物である)わが国中小企業白書のなかでも描写されている。ムハマド・ユヌスは、そのグラミン銀行を起業し、マイクロクレジットという「ビジネスモデル」を構想、実現した人物。
 本書はその自伝であり、もとより穿った見方はできるのだが、ユヌスがどのような道程を経てマイクロクレジットを世界に広めていったかを伝える、数少ない書と言える。

 「美しい経済理論を教える教室」から一歩外に出れば「死体があふれる現実」のバングラデッシュの貧困の世界が広がる。一方で、厳格な回教の教えのもとで、貧困層の女性には自立する機会が与えられず、女性への暴力が跋扈する社会。このなかで、貧困の解決と女性の自立とを目指し、ユヌスはマイクロクレジットを構想する。
 眉唾と見ることは簡単なのだが、本書を通じてユヌスに見出せるその人間性は、経験主義と実践する力、ジンテーゼを構想する知性、Personal Missionを自覚した者が特有に持つ自己ドライブの力といえよう。
 特に、「第一級の知性と言えるか否かは、2つの相反する考えを同時に心に抱きながら、なおかつ思考を機能させる能力を持ち続けることができるかどうかで決まる」というスコット・フィッツジェラルドの言葉のとおり、その執拗なまでの思考と知性とをもって、解決困難として放置されてきた問題に対する少なくとも一つの解を見出し・実行した点は、高く評価されるべきなのだろう。
 また、マイクロクレジットが、あくまでビジネスモデルとして構想されていく過程は興味深い。

 美しい理論の視点から現実を切り捨てることは容易であり、学歴が高まるほどにこの性向には勝ち難い。しかし、ユヌスが見せたように、理論の象牙の塔に留まり現実に身を投じることなくしてはジンテーゼは生み出せない。斯様に当然のことを改めて強く認識する機会を、本書は提供する。

評価5点「徹底した実践主義」 2004-04-05
レビュアー:america_kabura(30人中26人が参考になったと回答)
単なる自伝かと思って読み始めましたがとんでもない。この本には考えるヒントがてんこ盛りでした。
そして、これまた単なる小規模金融かと思ったグラミン銀行のマイクロクレジットが、試行錯誤の末に編み出された、計算されたシステムだということも良くわかり、驚きました。高い返済率は偶然ではないのですね。

例えば毎日あるいは毎週支払いがある、という点。一見すると厳しいように思えますが、そのためにはすぐにキャッシュフローを生み出す事業を行わなくてはなりません。つまり、長期間かかる投機的な投資はこの仕組みで防いでいるわけです。

貧しい人々を信じる強い意志と、先入観を捨てた経済学者の頭脳。今まで読んだ開発関係の本の中でも有数のものだと太鼓判を押します。

評価5点「静かなる情熱の人」 2007-04-27
レビュアー:馬場伸一(23人中22人が参考になったと回答)
バングラデシュが独立を果たした1971年、「国づくり」の理想に燃えて在米のベンガル人留学生たちは争って帰国した。すでにアメリカ人の妻を迎え、米国永住権を取得していたムハマド・ユヌス博士もその一人である。しかし、帰国してチッタゴン大学の経済学部長となった博士が見たものは、戦争で荒廃した祖国と飢饉に苦しむ農民の姿であった。祖国の絶望的な貧困を目にして、博士は自分が大学で教えている『経済学』というものが一体何なのか、悩む。アメリカで身につけた華麗な経済学の大系が急速に色褪せて見えたことだろう。そして徒手空拳、「貧しい人々に元手を貸す」というマイクロクレジット事業を創建するのである。
アメリカで約束されていた学者としての将来を捨て、チッタゴン大学学部長としての安楽な生活を捨て、そしてアメリカ人の妻とも別れるという犠牲を払って。ユヌス博士は偉大なる情熱の人である。
それほどの激しく強い情熱を裡に秘めながら、日常のユヌス博士は実に静かな紳士である。評者は博士が福岡アジア文化賞を受賞されたときに接する機会を得たが、常にやさしい微笑みを絶やさず、穏やかな話し方をする人であった。ただ博士の双眸の深くて強い輝きが、知性と情熱の深さを語っていたように思う。
評価5点「エッセンスがてんこ盛り!」 2004-04-09
レビュアー:america_kabura(21人中18人が参考になったと回答)
これは単なる伝記ではありませんでした。
どのようにグラミン銀行とマイクロ・クレジットのアイデアが生まれたか、という点も興味深いですが、なぜマイクロ・クレジットが機能するか、その現実的な仕掛けのヒントも入っていますし、ある意味、非常に面白い「起業ストーリー」でもあります。

でもそんじょそこらの起業ストーリーではなく、世界の最貧層という、普通ならマーケットから見放された人たちを相手にした2重の意味での起業なんですから。一つはグラミン銀行の、そしてもう一つは借りての貧困層の人たちの。
いや面白い本でした。

評価5点「お勧めです」 2006-10-15
レビュアー:或る平和的市民(17人中11人が参考になったと回答)
著者は、本年度ノーベル平和賞の受賞が決まりました。
グラミン銀行に対しても賞が贈られるそうです。

簡単なことですが、平和を考えるための第一歩として、現実に行われている実践から
学ぶことには大きな意義があると思います。

昨今の状況とも合わせて、何が平和なのかを教えてくれる本だと思います。