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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

容疑者Xの献身
容疑者Xの献身
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文藝春秋

¥ 1,680

単行本

売上ランク:1590位

2005-08-25

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ユーザーレビュー一覧(全273件 平均:4.0)

評価2点「何故これが?」 2006-01-07
レビュアー:スカダー(90人中55人が参考になったと回答)
 世評を見ると、何だか叱られそうな雰囲気なんですが、・・・。
 正直に言って、この作品のどこが傑作なのか、とんとわかりません。トリックは全て作品の相当早い段階から見えていますから、ラストのどんでん返し、と言うほどのことでもないですし、人物造形は型にはまった作り方で全然内面に深まって行かない。だから決して物語が読者の胸を打つことも無い。スリリングにハラハラ、ドキドキという展開も、皆無です。
 「かつて、これほど純粋な、深い愛情があっただろうか」という宣伝文句なんですが、・・・。「悲しい」と何十回書いても読者にはその悲しさは伝わらないように、「これほどの深い愛情」とどれほど繰り返してもそれは伝わりません。そんな言い回しを多用するんじゃなくて、ちゃんと伝えて欲しいなあ。
 第一、僕にはそれが深い愛情になんか思えなかった。ただ思い込みの激しい人ならこういうこともするんだろうけど。それを純粋だと言って喜ぶのが本当かなあ。そうじゃないんじゃないの?。そう思いました。
 そしてまた、決定的なのが、何よりも大切な「石神の絶望」という前提が、単純な設定のみで、まるであらすじだけ書いておしまい、みたいな書かれ方でしかないこと。そこが説得力を持てば、この物語はもう少し読み手の心に迫って来たろうに・・・。
 凡庸なトリックに、深まらない人物描写、説得力を持たない登場人物の深い内面的苦しみというもの。
 すいません。僕は全然感心しないです。
評価3点「東野圭吾としては中ぐらい」 2006-01-08
レビュアー:秋村夕太郎(47人中38人が参考になったと回答)
東野圭吾としては初の「このミス1位」だが、
これが彼の代表作とはとうてい思えない。
「秘密」や「白夜行」のほうがはるかに傑作だし、
「宿命」や「どちらかが彼女を殺した」にすら劣っていると思う。

ストーリーは相変わらず面白い。
読み始めたら一気に読んでしまう。
ただ、それはこれまでの東野作品すべてにいえることで、
その点でとりたてて本作が特別優れているわけではない。
メイントリックも確かに鮮やかに決まっているが、驚愕するほどでもない。

いちばんの問題点は、動機の薄さだろう。
容疑者が献身する「心の動き」がどうしても伝わってこなかった。
こういう形の愛があることもないとはいえないが、
いくら小説とはいえ現実離れしているし、
それが異常者の行動というならまだ納得もいくが、
天才数学者の発想とはどうしても思えないのだ。

ただ誤解しないでほしいのは、本作が決して駄作というわけではなく、
そもそも東野圭吾の小説はどれもこれもレベルが高く、
その中では中程度の出来であるというだけで、
他の作家の作品と比べればやはり完成度はかなり高い。

評価も、東野圭吾としては☆3つという意味である。
評価2点「安っぽいメロドラマ」 2006-01-19
レビュアー:ミステリ読み(69人中35人が参考になったと回答)
トリックの組み立て方は確かに面白いですし、読みやすいというのはエンターテインメントとして最大の長所だと云えるでしょう。しかし、人物配置やキャラクター造形、ストーリー展開までもが、あまりにも安っぽいTVドラマのように型にはまり過ぎており、これにはうんざりさせられました。人間描写にも深みがありません。被害者はいかにも「殺されますよ」といわんばかりの単純キャラだし……。
第一、これ「純愛」ですか? あなたが靖子の立場だったら、石神のやったことに対して、本当に深い愛や感謝の念を抱くことができますか? 僕が靖子だったら、絶対石神という人間に対して強い恐怖心を抱くだろうと思うのです。「そこまでやってしまうのか、この人は。おかしいんじゃないか」と。
評価1点「現実世界の警察の捜査手法はこの小説よりも精緻なはず。」 2006-02-17
レビュアー:yukkiebeer(72人中30人が参考になったと回答)
 高校の数学教師・石神はアパートの隣人・花岡靖子に思いを寄せていた。ある日、靖子の前夫が現れ、事件は起こる。石神は花岡母娘を救うため一計を案じるのだが…。

 本来あるべき捜査手続きを都合よく省いてミステリーをこしらえた、そんな荒さばかりが目立つ小説です。未読の人の興を削がぬように、かといって読了者には私が言わんとしていることが明確に伝わるように、努めて書くと以下のようになります。

 他殺体には警察の検死解剖が行なわれるはず。直接の死因以外に外傷の有無の確認は必須ですし、過去の病歴や死亡直前の健康状態・栄養状態・衛生状態が身元確認につながる可能性もあります。被害者がレンタルルームに暮らしていた可能性がある人物ならおそらく外食をしていたでしょう。現場周辺で胃の内容物に合致する料理を出す飲食店へ聞き込みに行くのは捜査のイロハ。ひょっとしたら飲食店主が被害者を目撃しているかもしれないのですから。

 したがって本書で警察が検死解剖をしていないのは奇妙です。作者は登場人物たちにわざとその手順を省略させて、トリックが露見するのを不自然に先延ばししたと思われます。この不自然さに行き当たった途端、つまり57頁のところで、私はこの事件のカラクリがあらかた見えてしまいました。

 また様々な登場人物が「電話をかけた/かかってきた」と証言しますが、警察は通話記録を入手しようとしません。通話記録から、いつ誰がどこから何分間電話をかけたりかけられたりしているかが判明し、いくつかの証言の虚実を明らかにできるはずです。それをしないがために物語は様々な証言のウソがいつまでたっても暴かれぬまま展開してしまいます。

 私のような一介のサラリーマン読者ですらこの程度のことに思いが至るのですから、職業作家たるものもっと警察捜査の現状を取材した上で本を書いてほしいものです。
評価5点「幾重にも「面白さ」が仕掛けられている」 2006-01-22
レビュアー:ナツナオ(28人中23人が参考になったと回答)
2006年版 このミス1位
2005年 文春ミステリーベスト10 1位
第134回 直木賞

まさに2005年のミステリーを代表する作品。
アパートの隣室でおきた殺人の犯人を守ろうとする天才数学者・石神と物理学者・湯川の頭脳戦という、「本格」の謎解きという要素と、思いを寄せる犯人(女性)のために、見返りを求めずに警察の捜査から彼女を守るというためにアリバイ等を構築する石神の純粋さ、そして、この想いが成就するのか否かなど、ミステリーの枠にとどまらず、幾重にも「面白さ」が仕掛けられている。

本作で、六度目の正直で直木賞を受賞したことから、この作品に対する注目がますます高まると思うが、むしろここまで直木賞を獲っていなかったのが不思議なくらいで、(私見ではあるが)この作品より面白い作品が数多い。未読の方は是非ご堪能頂きたい。