ユーザーレビュー一覧(全274件 平均:4.0)

「読者にこびない作品でした。」 2007-08-15
レビュアー:ポンポコリン(14人中11人が参考になったと回答)
随分前に理系の数学科を卒業しましたが、そのころを思い出す作品でした。数学を美しい学問と感じていたこともありました。もっとも主人公のような天才のレベルには全くなく、純粋に数学を愛していた、すごく頭の良い人がいたなあといった感じです。一つ言えることは凡人とは感性が違うなと思ったことです。
花岡靖子及び娘の描写で、すごくきれいな人という印象が伝わらないのも、きっと万人受けする美しさではなく、主人公にとって、何らかの観点で、とてつもなく美しく感じる人だったのだろうと感じています。
というのが私の解釈なのですが、もし解釈が的をはずしていないのであれば、読者にこびることなく、自分の描きたい世界を丁寧に描写する作者の勇気に感銘します。売れることだけを考えると、なかなか書けない作品だと思います。更に、数学の世界というとても縁が遠い人間達を、あれだけ読みやすい文書で書くのもすばらしいと感じました。興味がある人は文系理系問わず読んでみてください。
読み終わって、「献身」というのは誰(何)に対する献身なのだろうと少し思いました。読み返してみます。

「拍手!!」 2005-09-01
レビュアー:ミステリー大好き主婦!(13人中10人が参考になったと回答)
今までになかったようなトリックというか 東野さんの本は”さまよう刃”みたいな精神てきなミステリアスなものが多かったように思いますが今回はすごいものでした
トリックもすごいものでしたが、容疑者の動機にはすごく悲しいものを感じました
ここまで人を愛せるなんてすごい!!
読み終わってなんだか切なくなりました
でも 湯川シリーズは初めて読みましたが すごく切れのあるキャラクターでどんどんシリーズを増やしてほしいです!

「容疑者Xの純粋な献身」 2005-09-29
レビュアー:tkselement(13人中10人が参考になったと回答)
ご存知、湯川(大学助教授、物理学者)、草薙(刑事)の名コンビシリーズ。「探偵ガリレオ」「予知夢」等で東野作品でおなじみのファンにはなじみの深い二人ですね。
で、この二人のシリーズという事で、またまた妖しげで不可思議なトリックかなと思っていたら、まったくとんでもなく予想を裏切られます。本書にはそんな小手先(決して他作のトリックが面白くないわけではありません、念のため)のトリックは存在しません。それを上回る驚くべき理論で構築された至上の推理トリックが本書には仕掛けられています。この真相にいたったときには、私は鳥肌物でした。
物語りも湯川、草薙、と過去の作品には無いくらいに人物描写が書き込まれており感情移入が大幅にアップ。容疑者が、友達であり好敵手でもあった数学学者とのことで思い悩む湯川にいままでの印象とはまったく違う一面を見れ、ただの推理ドラマではない、人間ドラマも織り込まれているという、まさにシリーズ最高の面白さだと思います。
驚かされる作品が多い東野さんの作品ですが、この作品も大いに驚嘆させられました。とてつもない才能の持ち主だとおもいます。

「東野最高!!」 2005-12-17
レビュアー:魔球(13人中10人が参考になったと回答)
それにしてもとても、ミステリーとだけでは片付けられない作品です。人生の目標を失いつつある人物へ唯一つの生きがいが存在したとき。じぶんがもしも、このような境遇に出会ったらどうなるのだろうって、頭をめぐらせることをそうぞうさせた作品です。後味も良くて、ありがとうって感じです。そしてとっても読みやすいので本当にお勧めの一冊です。

「慟哭」 2006-01-17
レビュアー:スペードのjack(19人中10人が参考になったと回答)
2005年度のこのミス、文春ミステリーベストワンに輝き、直木賞も獲得した作品。
非常によくできた本格ミステリーだが、人も描けており、その筆力の確かさには唸らずにいられない。タイトルも、これまでの東野圭吾であれば「献身」とでもしそうなところを、いかにもトリッキーな「容疑者Xの献身」としたのは作者の自信の表れという印象を受ける。
トリックについては斬新であるが、三分の一ほど残すと解けてしまった。それでも着想の面白さと探偵と犯人のやり取りの凄さ、結末に待っている感動とその余韻はまったくそがれなかった。
ただ、「白夜行」と比べると小粒の感は逃れられない。直木賞という賞の重みと「白夜行」以降の作品の充実度を考えると、東野圭吾はこの作品ではなく、「白夜行」で賞をとっておいて欲しかったと強く思わざるを得ない。「白夜行」にこそ、東野圭吾が描きたかった身を捨てて人を愛する献身のルーツがあると考えるからだ。
それにしても読み終わってかなりの時間がたった今も、犯人の慟哭が耳を離れようとしない。