ユーザーレビュー一覧(全65件 平均:4.0)

「いつもよりも最後のオチが浅いと感じた。」 2008-11-02
レビュアー:現代の高校生(26人中23人が参考になったと回答)
読んだらやめられなくなる、ヤミツキにさせるといった東野圭吾独特の魅力はこの作品の中にも存分に感じられる。
どんなトリックが使われたのだろうと、話が進むにつれて段々とその期待が高まっていった。
『容疑者Xの献身』では見事にその期待以上のトリックで感動し、
『流星の絆』では前者に比べると感動は少なかったものの、最後のどんでん返しに驚かさせた。
しかし今回の作品に関してはその期待の方が大きくて、消化不良に終わった感じがする。
確かにトリックはすごいが、そこまで奥の深さを感じさせない。
まぁそれが「虚数解のトリック」と言われたらそれまでなのだが。
どうもスッキリしない、最後のオチに関してはいつもより浅いのではないか。
話は本当にジワジワ進み、期待を高めるつくりになっているだけに悔やまれる。
感動を狙った話ではなく、トリック勝負ならもう少し味が欲しかった。
毎回期待に応えてくれる東野圭吾の作品ということで評価は厳しくしたが、読んで損はない一作だ。

「加賀刑事の守備範囲では?」 2008-11-08
レビュアー:真木数詞(25人中20人が参考になったと回答)
一読して、東野圭吾の近作にしては珍しい本格ミステリーだと思った。しかし、何となく釈然とせず、もう一度読み返した。二度目は事件のポイントに的を絞って。
その結果、疑問に思ったこと。
第一に、最初の現場検証で、警察(鑑識)が〇〇〇を調べなかった(少なくとも証拠保全しなかった)のは不自然。犯人が後から証拠隠滅できるとは…(絶句)。
第二に、〇〇〇についての説明が微妙。注意深く読むと、痕跡を残さずにトリックを仕掛けることが本当に不可能なのか、明確に検証されたかどうかよくわからない書き方だと思う(作者が意図的にそうしたのだろうが)。
つまり、あえて言えば、湯川の推理が本当に正しいのか、厳密にはわからないのではないか?
しかし、この作品はその点を問題にしておらず、湯川の推理は正しいという前提に立って、犯行のトリックは、動機は、と進んでいく。つまり究極的に言えば、これはミステリーではなく、犯人の心情がテーマの一種の恋愛小説なのだろう。
だとすると、この犯人が、犯行後に自分を守ろうとするとは考えにくい(そのためのトリックではない)。自首するか自殺するか、どちらかだろう。
あえて罪を暴かれ逮捕されることが、自分への制裁だと犯人が考えたとしても、その場合の追及者は、湯川や草薙刑事の役回りではないような気がする。これは加賀恭一郎刑事の守備範囲だったのではないか。
そもそも犯行のトリック自体、湯川でなくては解けない謎ではない。きちんと鑑識がサポートすれば、「文系」の探偵でも解決できると思う。『容疑者Xの献身』もそうだったが、やはり「探偵ガリレオシリーズ」の長編である以上、まず、湯川でなくては解けないトリックを周到に準備する、というのが第一条件だと思うのだが。

「「救済」の意味」 2008-10-23
レビュアー:スティービー(26人中18人が参考になったと回答)
帯に書かれている「完全犯罪」の文字に心躍らされながらも、「期待しすぎると裏切られたときの失望は大きいぞ」と諌めつつ読みました。
まさに完全犯罪!このトリックはそれ自体も素晴らしいのですが、巧みな叙述トリックにより更に解明を困難にしてます。
必死に考えたにも関わらず全くわかりませんでした。逆にわかる人がいたら素晴らしいと思います!
トリックが明かされる場面では唸りました。そして、タイトルにもある「救済」の意味が最後にわかります。
文体も今まで通り読みやすく、ストーリーもシンプルかつ面白いので読むのをおすすめします。

「待望の長編ガリレオシリーズ第2弾―<執念>という言葉が鍵概念か?」 2008-10-25
レビュアー:Tsukaya(21人中15人が参考になったと回答)
何やら神秘的な響きを漂わせているタイトルだ。本作では、前作の長編『容疑者Xの献身』では登場しなかった内海薫刑事(ドラマではお馴染み)が、なかなかの直感と洞察力を発揮している。湯川、草薙そして内海という3人が中心となって難解な事件の解決が企図されてゆく。帯の表示から犯人は「女」であることから、内海という女性刑事を加えたのだろう。事件を解決するという共通の目的を有しつつも、草薙と内海という刑事間の視点の相違(それは男性と女性の相違に帰着する)も本作の注目ポイントの1つ。ガリレオこと湯川の活躍はむろん当然だ。
レビューで詳細を語ることは野暮の極みだが、1つだけ指摘すれば、思わず「はっ」とさせられるような驚きは、前作と比較してやや乏しかったように思われた。とはいえ、驚異的ともいえる犯人の<執念>を痛切に感じずにはいられなかったし、それは草薙ら刑事にも、湯川にも妥当する。著者自身の<気迫>もまたそうである。夫と妻のあり方、夫婦にとっての子供の存在意味、結婚の目的など、決して一筋縄ではいかないテーマに真正面から挑んだ、文字通りの力作だ。前作が取り組んだ<愛>という人間にとっての普遍的価値とも本書の内容は密接に関連している。そうした人間的で情感的な問題に対して、あくまでも客観的で合理的な根拠に基づいて事件を解明しようとする湯川の心的姿勢とのコントラストが読者をまた惹き付ける。あまりに当然のことで恐縮だが。
なかなか読む手を休めることができなかったが、多くの読者も同じ経験をされると予想する。そして湯川=福山雅治、内海=柴咲コウであることを想起して、本書を読み進めるだろう。もはやガリレオシリーズは国民的作品であるといっても過言でない。しばらくは第2弾の余韻を噛み締めて、次なる将来的な第3弾の作品の誕生を心待ちにしたい。

「語りたいけど語れない面白さ」 2008-10-26
レビュアー:スナフキン(16人中11人が参考になったと回答)
ガリレオシリーズの最新作。東野圭吾と言えば、私なんかは加賀恭一郎シリーズの方がピンと来るが、今やこのガリレオシリーズはTVの影響も有ってすごい人気だ。「探偵ガリレオ」や「予知夢」が出たばかりの頃は、まだ知る人ぞ知るシリーズだったのだが。
そしてガリレオシリーズは現在公開中の映画「容疑者Xの献身」のヒットによって名実共に東野圭吾の代表作になった。それにしてもこのタイミングで小説を刊行するとは間違いなく確信犯だ。
さて肝心な中身だが、最近の東野作品には「大作なんだけど佳作」「力作なんだけど重厚さに欠ける」という内容が比較的多く、内心どうかなと思っていたが、読んでみてその不安は一掃した。
読み出したらどの場所でもやめることが出来ず、気づくと2時間で読破していた。
話はさすがよく練られており、まとまっている。今回から新キャラ「内海薫刑事」が登場するが前面に出すぎず、草薙、湯川と見事なトライアングルで活躍し、本作を引き立てている。
個人的には、今までのガリレオシリーズは警察側のキャラクターが物足りなかったので、いいスパイスが加わったという印象だ。加えてドラマの影響か小説版の湯川も福山バージョンに近づいているようでキャラクターが良い意味で明確になっているようにも感じられた。
本作は、ドラマや映画からハマった人も、昔からの東野ファンも裏切らない良作といえるだろう。
それにしてもこれだけ売れっ子になってもなお高いクオリティーを保てる東野圭吾は凄いと思う。