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書籍の詳細&ユーザーレビュー一覧

悼む人
悼む人
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文藝春秋

¥ 1,700

単行本

売上ランク:152位

2008-11-27

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本書を含むリストマニアリスト

ユーザーレビュー一覧(全14件 平均:4.0)

評価3点「より純化された天童ワールドにのれるか、のれないか。」 2008-12-08
レビュアー:hide-bon(23人中19人が参考になったと回答)
何らかの理由でこの世を去らなくなってしまった人々を訪ね悼む事を続けるひとりの青年。成仏出来るよう供養する訳でも、自身の宗教的修行と言う訳でもない。その人が他の誰とも違うたったひとりの人物だったとして、その存在を自らの心に刻み込みながら全国を回る。
あの傑作「永遠の仔」から7年の月日を経て、天童荒太待望の新作である。早速購入、一読した。
心の奥底で決して消す事の出来ない傷とそれを引きずり続ける後遺症。
今までの天童文学の延長上にあるのが、今作の蒔野や倖世。彼らはその過酷な過去にもがき苦しみ、その影響で露悪的になったり、ねじくれた感性しか持ち合わせられなくなってしまった人物たちだ。
これでもかと続く亡くなった者とその遺族たちの事例。物語は、悼む人・静人の行動を追いながら、読む者に予断を与えぬまま、登場人物たちの辛苦で沈鬱な世界観が語られる。
果たして救済されるのは誰なのか、そして、静人の旅に終わりが来るのか、終盤になっての心理ドラマは読み応えあるが、光明、愛重、安寧、ポジティブなキー・ワードが頭に思い浮かぶものの、このスピリチュアルとも言える感覚に付いていけるかどうかで、好き嫌いは分かれるんじゃないか。
「永遠の仔」や「家族狩り」と言ったミステリー仕立てではないこの壮絶、純化された天童ワールドに個人的には逃げ出したくなる部分もあるが、一読の価値はある。
評価5点「いまのお話を胸に、悼ませていただきます」 2008-12-04
レビュアー:Coffey man(18人中11人が参考になったと回答)
 事件、事故、病気、亡くなった人を訪ねて故人を知る人に「その人は、誰に愛
されたのでしょうか。誰を愛していたのでしょう。どんなことをして、人に感謝
されたことがあったでしょうか」と聞いて回っては、故人を忘れないよう胸に刻
み込み、死者を「悼む人」の旅路を縦糸に、彼の帰りを待つ母親のがん闘病を
横糸に物語は彼と関わる人の視点で淡々と進んでいきます。死者を悼みながら旅
を続ける主人公の奇妙な言動は人々を戸惑わせ、いらだたせ、また癒します。
なぜ彼は死者を悼む旅を続けるのか?その原因は読み進むうちに徐々に明らかに
なっていきます。しかし、その行為は何を意味するのかは明確に語られません。
彼の対極として描かれる雑誌記者、愛する人を殺した女性を通して語られるその
意味もひとつの解釈であり、解答ではない気がします。

 本作品は生と死といった非常に難解なテーマをシンプルに語っているので、
読者がどの段階にあってもよく分かるようにやさしく書かれています。それゆえ
誰でも、彼をどうとらえるか、死とは何か、生きる意味、死者を悼む意味について
考えることができます。誰でも読めて、読む人によって、読む時期によっても
解釈が異なる。これは漫画というやさしいメディアを使って難解なテーマを表現
した手塚治虫に通ずるものがあるように感じました。

読者の数だけ「悼む人」はいるのだと思います。
評価2点「母親に共感できず。」 2008-12-15
レビュアー:アラメンド(15人中5人が参考になったと回答)
主人公の母親坂築巡子の性格が、どうにもこうにも気色悪く感じてしまい、
読んでいてイライラした。

私は文芸評論家じゃないから、本作の文芸的な価値はわからないけど、
至極個人的な感想としては、「ああつまらなかった」である。
評価5点「物語を読み進める中で、いつしか家族、仲間を思い浮かる」 2008-12-15
レビュアー:サトマン(5人中3人が参考になったと回答)
 天童荒太氏の8年ぶりの長編だ。本書の主人公静人は、ある出来事から心理的な葛藤を起こし、全国津々浦々をまわりあらゆる死を悼む旅をするようになる。そしていつしか悼む人と呼ばれる。本書の中には数十の死を悼む主人公の行いが描かれる。とにかく死が連続する。

 その悼みの中で、賛同者として新聞記者、心を痛めた女性が共感をする。静人の家族も辛い思いの中で静人を思い出す。400ページを悠に超える大長編の死と生、そして愛についての物語を読み進める中で、いつしか自分の家族、仲間などを思い浮かべていた。

 物語は死の連続が、いつしか凝縮した愛に変わっていく。

 当たり前ですが、天童さんが8年間想いを込めてつくった作品、笑ったり、ホロリとする中で一気に読み終えます。
評価3点「印象に残らなかった」 2008-12-23
レビュアー:みそがらめ好き(6人中3人が参考になったと回答)
タイトルと、本のたたずまいに惹かれて手に取りました。
丁寧に、丁寧に、祈るように綴られた物語です。
淡々と、3日程で読み終わりました。

つまらなくはなかったですが、青年が死者を悼む理由に
それほど意外性がなかったり、物語全体が俗世を遥か離れていって
しまいそうな世界観に貫かれたりしていて、
心に深くひびくところがあまりありませんでした。

ただ、末期がん患者がどのような経過を経て最期を迎えるのかが
感情から環境に至るまで仔細に書かれていて、特に死を迎える
数日の描写がリアルでした。手遅れのガンになったとしても
こんなふうに充実した死を迎えることができるんだなと、
そこは新鮮に感じました。