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容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)
容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)
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文藝春秋

¥ 660

文庫

売上ランク:45位

2008-08-05

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ユーザーレビュー一覧(全105件 平均:4.0)

評価3点「こんなの純愛扱いしていいのかな」 2008-09-11
レビュアー:ポニタン(124人中63人が参考になったと回答)
トリックの大胆さ・意外さという意味ではミステリとしてとてもよくできた作品ではあるけど、直木賞を受賞するほど文学的価値のある作品かと言われたら正直疑問を感じます。東野作品はかなりたくさん読んでいますが、他の作品同様、女性の心理描写が非常に類型的でキャラクターにも魅力を感じません。これほどの「献身」を捧げる相手が魅力的に描かれていないのはある意味致命的だと思います。「白夜行」では女性心理が書けないことを逆手にとって、女性主人公の内面を全く書かないという手法で成功していましたが、この作品ではそういうわけにも行かなかったので「女性が書けない」という彼の欠点が如実に表れてしまっているのではないでしょうか。トリックが素晴らしくても人間が書けていない作品が直木賞受賞というのは東野ファンの私にも納得できないですね。

この「献身」も純愛と考える人が多いようですが(作者がこれを純愛と思っているのかどうかはわかりませんが)、果たしてそうでしょうか。結果的に石神は靖子と美里に最初の事件以上の重荷を負わせたわけです。もし「身代わり」が成功したとしても靖子親子は一生良心の呵責と苦しみを背負わなければならなくなるということは予見できるのに、愛する人にそんな思いをさせるのが純愛なのでしょうか。石神のしたことは結局は自己満足的な自己犠牲でしかなかったと思います。ひとりよがりの愛情で相手を困らせることをする、それって正にストーカーと同じだと思うのですが…。靖子はそんなことをされても嬉しくもなければ幸せでもなかったでしょうに。そのために死ななきゃならなかった人の無念を考えるとそっちの方が泣けてきますね。

辛口で書きましたが、ミステリとしては一級品です。読んで損はありません。ただ直木賞を受賞すべき東野作品は「悪意」か「白夜行」だったのではないかと思います。
評価5点「映画化に先駆け文庫化」 2008-08-12
レビュアー:kyanonn(94人中40人が参考になったと回答)
待望の文庫化ですね。
単行本を持っているにもかかわらず、つい購入してしまいました。
しかしそれも、これが名作だからでしょう。

東野圭吾さんの本は10冊以上読んできましたが、
その中でもこの作品はとてもレベルが高いと思いました。

理系の天才二人による頭脳戦、とでも表現すればいいのでしょうか。
とにかく石神という人物が印象的です。
人によってそれぞれ全然違った、
石神という人物の姿が浮かぶことでしょう。
ですから、映画を見てしまうと、
自分が読んでいて想像した石神のイメージと食い違う可能性が高いのです。

私も映画は非常に期待しています。
決して映画を見ることを否定しているわけではありません。
ですが確実に、映画を見た後にこの本を読むのはおすすめできません。
映画と原作、両方これからという方は、
原作を先に読むことを強くおすすめします。

それだけ、石神という人物は印象的です。
評価1点「これは愛の話ではないと思う」 2008-09-28
レビュアー:sandalwood(60人中25人が参考になったと回答)
これまで自分がいいと思う作品にしかレビューを書きませんでした。
でも、この作品に対する評価は私なりにきちんと記したいと思います。

トリックは素晴らしいと思いました。

ただ殺人の動機が私には一種の「押し付けがましさ」に思えてしょうがなかった。

コミュニケーションがほとんどない相手を勝手に好きになって、勝手にその人の身を守ろうと、罪のない人を殺めてしまう。これが無条件の愛、「献身」とはとても思えないです。人の命を軽く扱っているような印象さえ受けました。

何で直木賞を受賞したのかまったく解せません。読んだ後、すぐにブックオフに売ってしまいました。

ただ、映画は面白くなる可能性はあると思います。

評価1点「最悪の小説」 2008-10-02
レビュアー:ブント(49人中21人が参考になったと回答)
いくつもの賞を受賞したベストセラー作品というのだが、私にはそうした賞賛に値する作品とは思えない。

まず、確かにトリックはよく練られていると思う。私も最後までトリックの仕掛けにきづかなかった。しかしいくら小説の中の出来事だとはいえ、あまりに必然性がない。冒頭で起きる偶発的な殺人事件を隠すために、あのような複雑で、しかも自分自身ではコントロールできない人物に負荷をかけるようなアリバイ作りをする意味はない。事実そのために破綻する。

もう一つ、これはトリックの中身にふれそうなのでぼかすしかない(ぼかしようもないとは思う)が、殺人事件の被害者の無念だとか、生命の尊厳を全く無視している容疑者を「献身」だとか「純愛」だとかで呼ぶことへのとまどいがある。罪科のない被害者は、容疑者によって道具のように殺され、さらに犯人を追い詰める側からも被害者にではなく容疑者に情けをかけられて、虫けらのように二度殺される。私にはそれが死ぬほど恐ろしい。
評価2点「物語の奥深さや幅がない」 2008-10-12
レビュアー:akira(51人中21人が参考になったと回答)
作品の内容的には最後に明らかになるトリックが話題を呼びそうだが、それまでの過程は同じような場面の繰り返しで、物語に奥深さが感じられない。
一言でいってしまえば、これは短編小説として書ける内容だ。

何故そう感じたか?
まずは登場人物像の描き方が偏っている。表面的すぎるともいえる。
数学者石神と物理学者湯川はまだいいとしても、草薙刑事の警察としての立場や行動が浅く感じられ、捜査の過程にしても素人的な見地で浅はかだ。それはこれら三人が同年代であることで、考察や物事に対する感じ方に(時代を超えた)幅がないからともいえる。
著者が描きやすい人物に仕上げただけに留まっている。

直木賞受賞作品となった小説ではあるが、読み応えが感じられなく、物語の奥深さの点からも他の一流作家の作品に比べて見劣りする。
直木賞自体年々質が落ちていっているようにも思う。